ニュースレターNo.26/2004年3月発行
第2回ドメイン名紛争とその対応セミナー報告
2004年1月30日、3回シリーズで行われている「ドメイン名紛争とその対応セミナー」の第2回目をJPNICにおいて開催しました。当日は、JPNIC会員を中心に、実際に申立を行ったことのある企業の担当者や弁護士など17名の参加がありました。
折りしも、WIPO(世界知的所有権機関)におけるドメイン名紛争の取扱い件数が6000件を越えたというニュースがあった直後であり、ドメイン名紛争をテーマにした本セミナーにとっては絶好のタイミングでの開催となりました。
本セミナーは、ドメイン名紛争の基礎知識から裁定の最新動向までを3回に渡り網羅的に把握していただくことを目標としており、第1回セミナーでは、シリーズの導入部としてドメイン名紛争の全体像および基礎知識を中心にご紹介しました。今回の第2回目では、第1回目での基礎知識を基にして、実際にドメイン名紛争処理方針に基づいて下された裁定事例の紹介・分析を行いました。
まず、ドメイン名事業部の中島より、「テーマ別ドメイン名紛争裁定事例分析」と題して、裁定事例の紹介を行いました。これまでに下された多くの裁定事例の積み重ねは、パネルの判断の統一性をより高めるのに役立っていますが、それでもなお、パネルによって判断が割れる論点が存在しています。こうした論点を整理するという観点から、テーマ別に論点および論点に関連した裁定事例の紹介を行いました。
続いて、第1回セミナーにおいても講師を務めていただいた鹿児島大学法文学部教授の久保次三氏より、「UDRP・JP-DRPの裁定の動向(2)」と題した講演が行われました。久保氏は、中島の紹介した論点を更に深く掘り下げる形で「リバースドメイン名ハイジャッキング※1に関する事例」、「表現の自由と正当な非商業的使用または公正な使用の関係に関する事例」、そして「使用時の不正のみで移転が認められた事例」の三事例を紹介し、どのような場合に移転が認められ、どのような場合に認められないかの境界線についての解説を行いました。特に、表現の自由に関する事例では、「批評を行うためのドメイン名登録がすべて正当な利用として認められる訳ではない。ドメイン名を見ただけで批評サイトとわかるものでなければ、ユーザーの誤認を招き、ドメイン名の正当な非商業的使用とはならない。」といった有益な情報提供が行われました。
(JPNIC ドメイン名事業部 中島隆)
参照URL
- 第2回ドメイン名紛争とその対応セミナー資料
- http://www.nic.ad.jp/ja/materials/drp/20040130/
- 第1回ドメイン名紛争とその対応セミナー資料
- http://www.nic.ad.jp/ja/materials/drp/20031128/
- ※1 リバースドメイン名ハイジャッキング
- ドメイン名紛争処理方針を不正の目的で利用して、登録者からドメイン名を奪い取ろうとする行為