ニュースレターNo.26/2004年3月発行
RIPE 47
RIPEとは、ヨーロッパ、中近東、北アフリカ、アジアの一部を受け持つ地域インターネットレジストリ(RIR)です。2004年1月26日から30日まで、オランダ・アムステルダムにて開催されたRIPE 47ミーティングにおける、IPアドレスポリシーの動向をお届けします。
RIPEミーティングの特徴として、アドレスポリシーに関する議論よりも、WhoisデータベースやDNSの運用など、どちらかというとオペレーションについての議論の方に時間が割かれていることを挙げることができます。ミーティング自体に関しては、スタンドマイクの前に常時1人もしくは2人の発言者が陣取ってコメント、質問を投げかけており、議論はされつつも淡々と議事が進行していく、という印象を持ちました。
今回、アドレスポリシー上でアジア・太平洋(AP)地域に影響を与えそうな決定事項、提案事項はありませんでした。以下、主要事項についてご紹介します。
アドレスポリシーワーキンググループ(以下、WG)での議論
RIPEミーティングでは現状、提案の提出に関して明文化された規定はなく、例えばミーティングの直前に出された提案も、正式な提案として議論されます。これは柔軟で迅速な提案を可能とする一方、参加者にその提案の内容を検討する時間を十分に与えることができないという問題もあります。今回、このポリシー策定プロセス自体の明文化について、WGのチェアから提案がなされました。方向としては、他RIRのプロセスを参考にしながらも、提案締切日等の規定は設けず柔軟性を残そうというものでした。会場からは、もっと明確に規定しておくべきとの意見も出て、結論はメーリングリスト(以下、ML)での議論へ持ち越されました。
また上記に加え、「ccTLD※1管理組織に対する、IPv4で/24、IPv6では/32 のプロバイダ非依存アドレスの割り当てを認めてほしい」という提案が提出されましたが、割り当てを認める妥当性が判断できないなどの意見が出され、これも継続してMLで議論することとなりました。
その他、アジェンダでは現行のIPv6ポリシーの問題点について議論することとなっており、私も楽しみにしていたのですが、時間の関係でML行きとなってしまいました。残念ですが、次回に期待したいと思います。
またIPv6 WGでは、あるISPに対しIPv6で「/27」という広大な空間の割り振りが行なわれたという報告がなされました。RIPE地域のIPv6割り振り数は4RIR の中でもトップですが、改めてそのことを認識させられるものでした。
所感
現在APNICでは、IPv6ポリシー文書の補完を行うガイドライン文書の策定に取り組んでいますが、JPNICもこの策定に参加しています。今回、ドラフト段階の文書に関し、IPv6 WGのチェアとの意見交換もできました。これを今後の文書策定に生かしていきたいと思います。
また、RIPEスタッフともIRR※2やLIR portal※3に関する情報収集、意見交換を行うこともできました。今回の参加はミーティングでの議論内容はもちろんですが、それ以外の交流のところでの収穫が多かったと思います。今後もこういった活動を通じ、グローバルなポリシー提案、情報収集が必要となった場合に備えて、世界のコミュニティとのネットワークの確立を図っていきたいと考えております。
(JPNIC IP事業部 穂坂俊之)
- ※1 ccTLD
- Country Code Top Level Domain
- ※2 IRR
- Internet Routing Registry
- ※3 LIR portal
- 自身の情報の参照や、登録作業を行なうLIR専用のポータルサイト