ニュースレターNo.27/2004年7月発行
第23回 JPNIC通常総会報告
2004年6月18日(金)、第23回JPNIC通常総会が東京都千代田区の大手町サンケイプラザにて開催されました。今回の総会では、2003年度の事業報告と収支決算の他に、IPアドレス事業料金体系の見直しについて、また今年は2年に1度の役員改選年にあたるため、その選任も議案として審議されました。
以下、各議案のご報告と、本総会で新たに専任された役員のミニインタビュー、および本総会をもって退任した役員からのご挨拶をお届けします。
1. 第23回JPNIC総会報告
●第1号議案:2003年度事業報告案承認の件
ドメイン名事業、IPアドレス事業、インターネット基盤事業の三事業体制に基づき、各事業報告が坪・前村・佐野の各担当理事から行われました。以下にその内容について簡単にご紹介します。
【ドメイン名事業】
JPNICのドメイン名事業の以下三つの機能強化を進めた
- ドメイン名に関する情報センター機能
- ドメイン名に関するポリシー調整策定機能
- JPドメイン名管理支援機能
【IPアドレス事業】
主に以下の点で既存業務の充実・拡大を進めた
- 新IPレジストリシステムの開発の着手
- IPアドレス事業料金体系の見直しの検討
- APNICへの審議担当者の派遣による審議基準のすりあわせ
- IPアドレス管理指定事業者(以下、IP指定事業者)との個別相談会の実施をはじめとするコミュニケーションの充実
【インターネット基盤事業】
主に以下の点で既存業務の充実・拡大を進めた
- インターネット基盤整備のための啓発・普及事業
- Internet Weekなどのイベントや講演会を開催
- 会員専用サイトを新設 - インターネット基盤整備のための調査・研究事業
- 多言語ドメイン名、ENUM研究グループ、セキュリティの分野でそれぞれ成果を報告書にまとめた
説明終了後、可否を諮ったところ原案のとおり承認されました。
●第2号議案:2003年度収支決算案承認の件
第1号議案で説明した事業報告に基づく収入支出を示した各財務諸表について、成田事務局長より説明が行われ、収支決算案についても原案のとおり承認されました。
●第3号議案:IPアドレス事業料金体系見直しの件
IPアドレス事業部門担当の前村理事より、IPアドレス料金体系の基本方針と見直し案について提案がありました。本議案につきましては、第22回総会やIP指定事業者連絡会などで、会員およびIP指定事業者の皆様にご提案し、皆様からいただいたご意見をもとに検討を進めてきた案についてお諮りしました。説明終了後、原案のとおり承認されました。
●第4号議案:役員選任の件
今回の総会終了後より約2年間JPNICの運営を担うこととなる役員候補者について、成田事務局長より紹介が行われました。今回の理事候補については、17名の候補者のうち15名が前期理事会からの推薦、また2名がJPNIC会員から推薦された候補者という内訳でした。監事候補者2名に関しては、両名とも理事会からの推薦でした。候補者数が定員20名以内であったため、信任の投票を行いました。その結果、不信任が出席正会員の議決権総数の過半数になった候補者はおらず、理事17名と監事2名の全候補者について、選任されました。選任となった役員は下表のとおりです。
総会に引き続き、恒例となりました講演会が行われました。今回は、弁護士の岡村久道先生より、個人情報保護法が2005年から施行されるのを前に「個人情報保護法とプロバイダ」というテーマでご講演をいただきました。講演会に引き続き懇親会が開催され、各理事のご挨拶などが行われました。
(JPNIC総務部 飯塚有紀子)
理事長 | 村井純 | 慶應義塾大学 |
副理事長 | 後藤滋樹 | 早稲田大学 |
副理事長 | 野村純一 | エヌ・ティ・ティ レゾナント(株) |
理事 | 淺野正一郎 | 国立情報学研究所 |
荒野高志 | (株)インテック・ネットコア | |
飯塚久夫 | エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株) | |
歌代和正※ | (株)インターネットイニシアティブ | |
江崎浩※ | 東京大学 大学院 | |
小西和憲 | (株)KDDI研究所 | |
佐野晋 | (株)日本レジストリサービス | |
鈴木幸一 | (株)インターネットイニシアティブ | |
竹村純 | システムハウスCAT | |
福田晃※ | 群馬インターネット(株) | |
前村昌紀 | フランステレコム | |
松本敏文 | T&Y Matsumoto Corp. | |
丸山直昌 | 統計数理研究所 | |
山口英 | 奈良先端科学技術大学院大学 | |
監事 | 加藤義文 | 日本電気(株) |
坂田信夫 | 富士通(株) |
2. 新任役員ミニインタビュー
歌代 和正 (株)インターネットイニシアティブ 取締役
●まずは簡単に自己紹介を…
B型。子年。乙女座。飯能→松戸→三鷹→葛飾→町田→Cupertinoと転々とした後、今は練馬区。職業コンピュータエンジニア。ISPに長く居るけどルータの設定はできない。セキュリティを少し。苦手なのは玉葱と早起きとWindows。
●趣味は?
『呑む』+『喰う』≦『動く』という関係を保つようにしてます。2003年は健康で文化的な生活をテーマに、劇場映画を70本観て、10万メートル泳いだので、今年はもう少し増やせるかな。
●座右の銘は?
風が吹けば桶屋が儲かる
●現在のJPNICをどう思われますか?
10年以上前に村井理事長の研究室にしばらく厄介になっていた時に、隣でJPNICの前身となるような業務をやっていました。その時に比べるとずいぶんと立派な組織になったなあと。中身については、まだよくわかりません。
●JPNIC役員となられての抱負をお聞かせ下さい
まずは、JPCERT/CCとの連携をより実り多いものにしたいですね。同時に、セキュリティという側面を中心にして、JPNICが持つ潜在的な機能を高め、懐の深い組織にするのにいくらかでも貢献できればいいなと思います。
江崎 浩 東京大学 大学院 情報理工学系研究科 助教授
●まずは簡単に自己紹介を…
九州福岡の出身で、九州大学で電子工学修士を修了後、(株)東芝に入社。ラベルスイッチ技術の標準化と製品化を行い、その後、東京大学の助教授に就任。1998年以降、IPv6技術の普及と高度化に向けた活動を展開している。
●趣味は?
募集中(痩せてたころはラグビーでした)
●座右の銘は?
ものごとは思っているようにしかならない
●現在のJPNICをどう思われますか?
これまでJPNICとの関係自体あまりありませんので、基本的にノーコメントです。組織改革、事業改革が必要な時期なのでしょう。
●JPNIC役員となられての抱負をお聞かせ下さい
JPNICが取り組むべき新しい課題を立ち上げることを目指したいと考えています。次世代インターネット技術(e.g., VoIP/SIP技術)の相互接続性の検証と確立、ならびに、インターネットトラフィックの測定と解析を当面の目標として検討を進めていきたいと考えております。
福田 晃 群馬インターネット株式会社 取締役
●まずは簡単に自己紹介を…
群馬県でプロバイダーをやっている、群馬インターネットの福田と申します。地域(群馬県)に根ざしながら、地域ISPを約10年間運営しています。東京へは1週間のうち2日程(以前は半々)出てきてますが、主に地域系ISP のための活動を行っています。
●趣味は?
旅行。昨年からゴルフを再開しました。
●座右の銘は?
ウーン、座右の銘!!
いろいろありますが、人に語るほどのものは無し。
●現在のJPNICをどう思われますか?
どうもインターネットというのは、東京中心になりがちです。JPNICに対して、地方のインターネットのことをもっと考えてほしいと思います。
●JPNIC役員となられての抱負をお聞かせ下さい
今回、私を理事に推薦していただいた多くの地方のJPNIC会員は、JPNICに対し不満を持っています。原因は、地方会員との情報格差です。地方のどれだけのJPNIC会員がJPNICの事務所に集まり、議論したか。ここから考えるべきです。JPNICと地方会員との情報格差を無くすこと、これが私の仕事と考えます。
3. 退任役員のご挨拶
本総会をもって、理事:坪俊宏、則近憲佑、監事:新美英樹の3名が退任しました。このうち理事2名のご挨拶をお届けします。
坪 俊宏 グローバルコモンズ株式会社 代表取締役
JPNIC理事任期:2000年5月~2004年6月
6月18日開催の総会をもって理事を退任させていただきました。2000年5月に就任して以来、2期4年間ドメイン名担当の理事として務めさせていただきました。在任中は、JPドメイン名紛争処理方針の策定、汎用JPドメイン名の登録方針・手続きの策定、そして、JPドメイン名登録管理業務のJPRSへの移管作業などに参画させていただきました。コミュニティの皆さんにはいつもショートノーティスにてコメントを求めるなど慌しいコンセンサス作りの連続だったものと思います。この場をお借りして多くの皆様のご協力に感謝いたします。
則近憲佑 大阪工業大学 知的財産学部 教授
JPNIC理事任期:2000年5月~2004年6月
2003年7月から大阪工業大学・知的財産学部に赴任し、ユニークな新設学部の立上げに没頭し、さらに来春開設予定の知的財産専門職大学院の設立準備に参画する等想像していた以上の仕事量に追われて、ついに大阪赴任後は理事会に一回も顔を出すことができず忸怩(じくじ)たる思いをしていましたので、理事の退任をご承認いただいて、正直なところ内心ホッとしています。もっぱらドメイン名紛争処理手続問題の面だけの活動しかできず、しかもさしたる貢献もできませんでした。誠に申し訳なく思っております。今後ともこの種の新しい問題には積極的に取り組んで行くつもりです。引き続きどうぞ宜しくお願い申し上げます。