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ニュースレターNo.27/2004年7月発行

2004年版・APNIC便り

アジア太平洋地域でIPアドレス管理業務を行う「APNIC」。こちらに、2003年に引き続きJPNICは職員の派遣を行いました。派遣されたJPNIC IP事業部 鈴木由佳からの現地レポートをまとめてお届けします。

◆その1(2004年3月31日)

私は、2004年3月11日から4月22日の6週間の日程で、APNICにトレーニングに来ております。APNICはオーストラリアのブリスベンにあります。オフィスの近くにブリスベン川が流れ、町並みも落ち着いており、こちらはゆったりと時間が流れる感じがします。時期としては秋ですが、まだ暑い日もあります。朝晩は比較的涼しくとても過ごしやすいです。

JPNICからAPNICへのスタッフ派遣は、2003年5月、6月のIP事業部 穂坂に続く2度目となります。今回の主な目的はAPNICとの審議基準の整合性維持とAPNIC・JPNICの業務リレーション強化です。特に後者においては2003年8月からのアドレスプール共有化実施に伴い、APNICの割り振り業務との連携の必要性が高まったため、業務についてより的確に把握することが重要になります。もちろん、APNICの審議担当者としてのトレーニングをうけ、APNICの審議方法を学び、日本の状況も伝えることも今回の目的に含まれます。

今回のトレーニングは、CNNIC※1の審議担当者と一緒です。私がAPNICにトレーニングにくる直前まで、KRNIC※2の担当者がトレーニングを受けており、私たちのトレーニングが終了した後も、再度CNNICからトレーニングにAPNICに来る予定とのことです。今までJPNICはCNNICとかかわる機会が少なかったので、今回CNNICの状況についても把握できればと考えております。

さて、トレーニングを開始して2週間が経ちました。今まで、割り当て審議申請、AS番号の割り当て申請、初回割り振り申請、WhoisDBの登録方法についてトレーニングを受けました。トレーニングは適宜JPNICの状況を伝えながら進めています。少しずつですが実際の審議申請処理も開始しました。

前回穂坂がトレーニングを受けたときと多少運用が変わっている部分もあり、定期的に状況を把握することの必要性を改めて感じました。IPアドレスの割り当ては運用あってのポリシーであり、APNICはその状況に応じて審議の進め方についてフレキシブルに対応しています。今後は、JPNICからも積極的に新たな審議方法等を提案していきたいと思います。

私はJPNICで審議を担当しているので、審議自体は問題なく進められるのですが、英語での返答に苦戦しています。APNICでは内部担当者向けの業務マニュアルやツール等が充実しており、返答の案もある程度テンプレート化されているので、私のようなノンネイティブには助かります。現時点では大まかにはAPNICとJPNICの審議基準について違いはないように思いますが、細かい運用面で異なることもあり、今後JPNICでどうするかを検討する必要があります。

写真:ホストマスターの議論
ホストマスターの議論の様子

ところで、APNICでは週1回マッサージの時間があります。希望者は実費負担(25豪ドル(日本円で2,000円弱)/30分)でマッサージをオフィスで受けることができます。APNICではスタッフが気持ちよく仕事ができるような環境を提供できるように努めているそうです。このマッサージもその一環なのでしょう。私も一度は体験してみたいと思います。

◆その2(2004年4月22日)

APNICでのトレーニングも、残すところあと数日となりました。一連のホストマスター業務の説明およびケーススタディをもとにしたトレーニングを終了し、実際の申請の審議を行っています。

IPアドレスの審議には同じケースはないため、その都度APNICのスタッフと相談をしながら進めています。ほとんどの種類の申請はカバーできたと思いますが、IX(Internet Exchange)の申請など件数が少ないケースについては実際の処理は行われず、ケーススタディのみにとどまっています。実際担当した申請の一つにNIR※3からのダイレクトメンバーアロケーション※4がありました。JPNICでは申請をする立場でしたが、このトレーニングで審議をする側になり、どのような点を中心に審議を進めているかがわかる貴重な体験ができました。

また、JPNICのアロケーションウインドウサイズの検討に参加しました。通常APNICメンバーに適用されているアサインメントウインドウと同様の形式で検討が進められました。私はAPNICの審議担当者の一員としてその検討に参加したのですが、結果としてJPNICのアロケーションウインドウサイズは /15 のままでした。

今回のトレーニングを通じてAPNICの審議基準に対する理解が深まりましたし、貴重な体験ができました。どのような観点でアロケーションウィンドウサイズ拡大の検討がなされているかが把握できましたので、次回の検討の際には、JPNICのサイズが拡大されるようにしたいと思います。JPNICの指定事業者の皆様に対するアサインメントウィンドウサイズの検討にも今回の経験を生かしていきたいと思います。

トレーニング全体を通して感じたことは、IPアドレスのポリシーは現状の運用に基づいたポリシーであるということです。ポリシーが現状の運用に適していなければ変更は可能です。APNICは常にポリシーについて改訂すべき点はないかどうかを検討しています。

また、印象的だったのは「現状の運用において、IPアドレスを割り振るという以外の解決策がなければIPアドレスを割り振る」といっていたAPNICメンバーサービスマネージャーの言葉です。IPアドレスは有限な資源であり無駄にはできませんが、まず第一に現状の運用を重視し、運用上の必要性がある限りは割り振りを行うという考え方が印象に残りました。この点についてはJPNICでも一層心がけて行きたいと思います。

今回のトレーニングによって、JPNICとAPNICの連携がさらに強化されたと信じています。今後も引き続き、IPアドレスに関するサービスについて再度見直し、スムーズなIPアドレスの割り振り、割り当てのみならず、日本の皆様に適した形でのサービス向上を目指してまいります。最後になりましたが、今回いろいろとサポートしてくださったAPNIC関係者の方に心より感謝申し上げます。

★余談

APNICでは新しいスタッフが加わったときや、私のようなトレーニング参加者が来たとき、スタッフの一人が結婚するときなど、オフィスでティーパーティーが開かれます。飲み物とスナックのみ簡単な30分程度のパーティーです。APNICのスタッフによると頻繁に開かれるものではないようなのですが、今回のトレーニング期間中に私のティーパーティを含め3回参加しました。とても心温まる時間でした。

写真:ホストマスターと
筆者の鈴木由佳(左)とAPNICのホストマスター
写真:ティーパーティー
ティーパーティーの様子。 写真中央下はAPNIC事務局長の娘さんです。

(JPNIC IP事業部 鈴木由佳)


※1 CNNIC:China Internet Network Information Center
中国の国別インターネットレジストリ
※2 KRNIC:Korea Network Information Center
韓国の国別インターネットレジストリ
※3 NIR:National Internet Registry
国別インターネットレジストリ
※4 ダイレクトメンバーアロケーション
JPNICが指定事業者からの割り振り申請に応じ、JPNICのアドレスブロックからではなく上位レジストリであるAPNICのアドレスブロックからアドレスを振り出すサービス

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