ニュースレターNo.30/2005年7月発行
歴史的経緯を持つプロバイダ非依存アドレスに関する取り組み
歴史的経緯を持つプロバイダ非依存アドレス(歴史的PIアドレス)とは
IPアドレスの割り当ては、現在はIPアドレス管理指定事業者(以下、IP指定事業者)経由で行われることが一般的ですが、APNICやJPNICなどから直接割り当てられているIPアドレスもあります。IP指定事業者を経由しないで割り当てられているIPアドレスのうち、現在の、IANA(ICANN)-APNIC-JPNIC-IP指定事業者-割り当て先組織といった階層的なIPアドレス管理体系が確立する以前に割り当てられたIPアドレスを歴史的経緯を持つプロバイダ非依存アドレス(以下、歴史的PIアドレス)と呼んでいます。
歴史的PIアドレスを取り巻く課題
歴史的PIアドレスの一部には、WHOISで公開されている情報が古く、ネットワークトラブル時に連絡がつかないことがあります。あるいは、管理が不明確であることなどからハイジャックの対象や、スパム・ハッキングの踏み台とされるケースもあることが海外から報告されています。
また、IP指定事業者経由で割り当てられたIPアドレスに関する情報の更新は、2004年4月より申請者をIP指定事業者に限定し、ID/パスワードによる認証を経て行うようになりました。こうして登録情報の保護が以前より確実に行われるようになる一方で、歴史的PIアドレスについては電子メールアドレスによる申請者確認に留まっていました。
JPNICでの取り組み
そこで、JPNICでは、2004年度後半より歴史的PIアドレスの割り当て先組織を再確認・明確化し、ID/パスワードによる情報更新時の申請者認証を導入する活動を進めています。具体的にはJPNICから割り当て先組織へ連絡をし、割り当て先組織にて歴史的PIアドレスの使用に関する規約の内容をご確認の上、規約に同意する旨の書面をご提出いただきます。そして書面をご提出いただいた組織へ、順次ID/パスワードを発行・発送しています。
2005年6月10日までに、JPNICに登録されている歴史的PIアドレスの割り当て情報件数の約3割について書面をご提出いただき、ID/パスワードを送付しました(図1)。しかしながら、依然手続きがお済みでないものも多く、中には登録情報が古いため連絡がつかないものもあります。JPNICから各割り当て先組織のご担当者様宛に2回電子メールでの連絡を行いましたが、電子メールアドレスが未登録、または古くなっているために、いずれのご担当者様にも電子メールが届いていないと思われるケースが1回目には全体の約44%、2回目では約35%ありました。
JPNICでは、お待たせしているID/パスワードの発行・発送を順次進めるとともに、引き続きこの活動の周知を進め歴史的PIアドレス割り当て先組織の皆様に、必要な手続きを行っていただきたいと考えています。
歴史的PIアドレスの割り当てを受けている皆様へ
歴史的PIアドレスの割り当てを受けている皆様、ID/パスワードの受領はお済みでしょうか。まだの方はIPアドレスをお書き添えの上、以下の窓口までご連絡いただければ幸いです。また、ご使用のIPアドレスが上記の手続きの対象となる歴史的PIアドレスに該当するかどうか分からないなど、ご不明な点がありましたら遠慮なくお問い合わせください。ご協力のほど宜しくお願いいたします。
歴史的PIアドレスに関するお問い合わせ窓口:
hr@nic.ad.jp
(JPNIC IP事業部 佐藤 香奈枝)