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JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

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ニュースレターNo.31/2005年11月発行

JPNICは今後のビジョンを明らかに

特定非営利活動法人 中国・四国インターネット協議会(CSI)
所在地:広島県広島市中区八丁堀7番地1号ハイオス広島内
設 立:1993年3月
URL:http://www.csi.ad.jp/

[参加者紹介]
■中国・四国インターネット協議会
理事長◎椿 康和氏
副理事長◎相原玲二氏
副理事長◎染岡慎一氏
■JPNIC
理  事◎丸山直昌
事務局長◎成田伸一

CSIの設立の経緯とこれまでの歴史

成田 CSI(Chugoku-Shiikoku-Internet)が設立された経緯と歴史についてお聞かせください。

椿 CSIの設立はJPNICの設立と関係しています。CSIが設立された1993年当時は、JNIC※1に加入しなければネットワークの接続サービスを行うことができませんでした。そこで、中国・四国地域におけるインターネットの接続を維持するために、大学や研究機関のネットワーク管理をしている関係者が集まって非営利のISPを作ろうということになりました。その当時、全国に20~30の地域ネットワークの接続組織が設立されました。その後1994~95年頃から、商用のネットワークサービスが全国に行き渡るようになり、ネットワーク接続の維持を目的とした非営利組織による地域ネットワークは、その役割を商用ネットワークに譲っていくことになりました。我々も、そうした中でサービス提供の継続の可否について検討していましたが、継続するための手段として、その当時、制度が誕生したばかりのNPO法人を選択し、1999年5月に法人化しました。それから2004年3月末迄はネットワークサービスを我々自身で提供し、その後は「Super CSI?」と名付けた新たなネットワークサービスの形で運用・管理をNTT西日本グループに移管しました。今後は、CSIは、地域におけるインターネットの発展、啓発普及、技術開発といった視点で活動を充実していきたいと考えています。

丸山 JPNICにおいても、2001年4月にJPドメイン名登録管理業務をJPRSに移管したことによって、非営利組織であるJPNICが何をやるべきかということを真剣に考えないといけない局面を迎えました。

成田 しかしながら、あの移管という業務は、想像していた以上に大変な業務であったため、移管業務そのものから非営利組織であるJPNICが何をやるべきかということにJPNICの組織として目が向くのに時間を要したのは事実だと思います。

丸山 ここ1~2年でようやく非営利組織としてJPNICが本来歩む道に入ってきたと感じています。どんなに商用的なところが発達しても、技術的なことは資本力があるところから出てくるとは限りません。インターネットは個人の創意工夫からボトムアップで作られてきたという伝統があります。JPNICは、そうしたところで活動していける体制が望ましいと思っています。

左から、CSI相原玲二氏、椿康和氏、染岡慎一氏
左から、CSI相原玲二氏、椿康和氏、染岡慎一氏

JPNICが真に公益的に活動をしていくためには

椿 CSIも昨年の春にISPサービスというキャッシュフローの多い事業を切り放したことにより、純粋に会費のみで活動を維持していく体制となりました。そうした中、JPNICの会費というのは、CSIの年間収入の1割にあたるわけで、我々も会員に対する説明責任があります。CSIがJPNICの活動を支えていく上で、JPNICにはより公益的な活動に注力していって欲しいと考えています。

丸山 CSIと何か協力してできるテーマがないか考えたいのですが、たとえば今年の合宿ではどういうテーマについて議論されたのでしょうか。

相原 テーマは、毎年変っています。昨年まではISP事業をいかにスムーズに移行させるかというのが大きなテーマでしたが、今年はIPv6の普及をいかに進めるかとかとか、今後この地域で本格的な技術セミナーをどのように行うかという話がテーマです。

丸山 毎年違うというのは、その時々の問題に柔軟に対応していかないといけないということですね。

相原 CSIの発足は、地方が取り残されることが、世界のインターネットにとって一番大きな損失だということが、そもそもの動機です。インターネットは、すべてが繋がってこそ全体で価値をもつインフラですから、どこかで抜け落ちるということは全体の損失なわけですね。各地域で抱えている問題は、各地域でしかわからないことなので、全国各地のそういった諸問題をJPNICがケアするというのは非常に困難です。その時々のそうした問題を各地域で柔軟に対処し補完していくのは重要な我々の仕事だと思っています。

丸山 法律的な枠組みからいうと、社団法人というのは業界団体的であってはいけないことになります。インターネットが急速に商用的な発展を遂げてきた余波で、JPNICが業界団体的に思われてしまうことは、良くないことなんだと思います。ここで、業界団体的でない何かができるかどうか、というのはJPNICそのものの存在価値に関わってくると考えています。

相原 JPNICが業界団体としてではなく真に公益的な組織を目指していくには、そのテーマやターゲットについて、その時その時で変っていかないといけないのだと思います。

丸山 はい、教育や普及啓発など地域を越えたテーマとしてJPNICが取り組んでいけることがあるのではないかと考えております。また、今回の合宿でもIPv6の地域における普及といった議論があったということですが、そうしたことでもJPNICとして協力ができることがあるのではないかと感じました。

JPNICは今後のビジョンについてメッセージを発信し賛同を得て会員の増加を目指すべき

相原 我々は一歩先の次のプランを常に考えていたいと思っています。たとえば、今でしたらIPv6だとか、最新のセキュリティ対策などがあるわけですが、それは時代とともに変っていくのだと思います。

JPNICも、JPドメイン名登録管理業務を移管し収入構造が大きく変った今、早い段階で今後のJPNICについてのメッセージを発信し、みなさんの賛同を得るということをしていくべきなのではないでしょうか。その上でJPNICの活動への支持者=会員を増やしていくことが重要なのだと思います。今のJPNICは、我々から見て、まだそういうメッセージが出されていないように思うのです。JPNICは、はっきりした目標をたてて、会員を増やすことについて努力していくべきです。

椿 全国各地にかつて燃え上がった地域ネットワーク活動の関係者の方々がまだ沢山残っておられると思います。末端のところで元気がないと全体のアクティビティーが上がらないという考え方でいくと、そうした活動に対してJPNICはどのように連携・サポートしていこうと考えているのでしょうか。

成田 何かしていきたいという気持はあるのですが、地方で顔がわかるのは会員の方に限られますし、どこを切口にしてアプローチしていけるのか手探りな状況というのが正直なところです。

椿 たとえば「この指とまれ」で全国各地に、何かやってみようと呼び掛けてみることもできるのではないでしょうか。

丸山 JPNICが何か活動する時、その事業の効果は会員に限らず社会全体を目標とするわけですが、それを進めるには会員のみなさまの労力的協力が軸になります。そういう意味で、会員のみなさまのご意見を聞いて進めていかないといけないと考えています。

相原 会員が窓口となるのであれば、極端な話会費なしでも会員を増やす必要があるのではないでしょうか。はっきりした目標をたてて、会員の増加を目指すことについて努力しないと、すべて絵に書いた餅にしかなりません。

成田 JPNICは社団活動を推進していくことで、活動目的に賛同する会員を増やすことを目指しています。しかし、社団活動には、多種多様な意見を抱え込むためにコンセンサス、意見の一致を見ることが難しいという一面があります。その一方で、スピーディーな運営が求められるわけで、それらを見据え現在は将来に向けた組織運営の効率化を進めているところです。

地域IXと人材育成

丸山 ここ何年か、地方の方と話をすると地域IXという話が出ます。地域IXというのはビジネス的な収支構造を無視しては考えられない分野で、ユーザがどれだけ多いかというのが関係します。それをJPNICが非営利組織と協力して地方で展開していくことが適切なテーマになるのか、検討して来ましたが結論を出せないでいます。

相原 地域IXは、トラフィックの分散という面では、確かにそれほどの効果は期待できないと思いますが、技術者の養成の場としては意味があります。IXのような高い技術レベルを必要とするものが全国の各地域にあることは好ましいことです。その規模の大小ではなく、全く同じメカニズムのものが身近なところにあることで人が育つというのは、過去のインターネットの歴史が物語っています。相互接続の難しさをきちんと実感できる人が地方にも育つことがもっとも重要なことで、そういう意味では、各地方で地域IX的な活動をぜひとも手がけるべきだと思っています。

丸山 そこは誤解をしてました。地域IXをやることはトラフィック的にメリットがなさそうという意見の中で、いやトラフィック的に利益があるという人がいて、意見の一致がなかなか見出せないのが現状と思っていました。しかしながら、相原さんがおっしゃったように、教育的な意味のメリットを考えると、再検討の価値がありますね。人材育成という視点からメリットがあるということですね。

染岡 今、昔のCSIの活動を掘り起こす作業をしているのですが、それをやって気づくのは、やっているメンバーがあまり変わっていないということです。その意味では、若手の人材育成が焦眉の急という問題意識は強く持っています。

椿 CSIとしては、この地域における人材育成に関わっていくことは大きな意義があると考えています。しかし、我々のような小さな組織にとって、自分達の手で人材発掘や育成の枠組みを作ることは、人も資源も必要なので非常に困難です。JPNICには、全国を見渡して次の世代の技術者を育てるための枠組みをデザインして、それを我々も利用できるようにしていただくよう、大いに期待しています。是非、宜しくお願いします。

丸山 なるほど、ぜひ今後のJPNICの組織としてのあるべき方向性を考えていく上で考えていきたいと思います。

丸山・成田 本日はどうもありがとうございました。


※1 JNIC
1991年12月に発足したJPNICの前身となる組織。その後、1993年4月に任意団体JPNICへと発展的解消をとげた。

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