ニュースレターNo.31/2005年11月発行
村井純 ポステルアワードを受賞
第63回IETF(7月31日~8月5日)にて、2005年度のポステルアワード(Postel Service Award)をJPNIC理事(前理事長)の村井純が受賞しました。
同賞は、1998年に急逝したジョン・ポステル氏※1にちなんでインターネットソサエティ(ISOC)が1999年に設置した賞で、インターネットに多大な貢献をした人に贈られます。
今回の受賞は、IPv6等の技術開発とその普及、およびアジア太平洋地域でのインターネットの発展と普及への貢献が高く評価されたことによります。また、世界では7人目、アジアでは初めての受賞者となります。
- 参考:http://www.isoc.org/awards/
- http://www.isoc.org/isoc/media/releases/050816pr.shtml
受賞にあたり村井がコメントを発表しておりますのでご紹介します。
「ポステルアワード受賞に寄せて」
JPNIC理事 村井純
それぞれのネットワークが自律的に運用され、それが連結して作られるインターネットの環境は、グローバルなインターネット全体に対していかに貢献するかについて、常に考える人たちの力で成立しています。この理念のシンボルとして私たち初期のインターネットの構築に携わった多くの研究者を導いたのがJon Postel氏です。特に私は、彼と米国に主体があったインターネットを世界全体に広げるための再設計のような議論を長くした経験があり、彼の貢献と奉仕の精神に幸運にもたっぷりと触れることができたのです。
今回のポステルアワードの受賞はそんな私にとっては自分が取り組んできたことへの、最も本質的な評価として受け止める事ができ、最高の喜びです。この視点で評価をしてくださった推薦者、選定委員会、インターネットソサエティの方々に深く感謝をするとともに、このすばらしい賞を私と一緒に努力をしてきたすべての人、特に日本を含めたアジアの仲間達と分かち合わせていただきたいと思います。そして、今日本はインターネットの未来に対して、人と社会に更なる貢献をする最高の環境にあるわけですから、これを機会に新しい力と一緒に、新たな挑戦と努力を続けていければと願っています。
「JPNICの創設につながるアドレスの割り当てやccTLDの起源となる試行をPostel氏の元に通い議論しました。 世界の規範となるJPNICの仕組みができた一連の歴代のJPNICの皆さんの活動が評価されたという意味で誇りを感じます。」
- ※1 ジョン・ポステル(Jon Postel)
- インターネットの創始者の1人。1969年カリフォルニア大学ロサンゼルス校在籍中に、米国防総省のプロジェクト(ARPANET)に参加。IPアドレスの管理業務を政府より委託され、IANA (Internet Assigned Numbers Authority)を創設するなど、インターネットの発展に貢献した。