ニュースレターNo.34/2006年11月発行
第22回APNICオープンポリシーミーティングレポート
このたび、2006年9月4日(月)~9月8日(金)、台湾第2の都市として知られている高雄で開催された第22回APNICオープンポリシーミーティングへ参加してきました。
JPNICからの参加は私を含めた職員4名と、APNIC EC(理事)でもあるIP分野担当理事の前村昌紀というメンバーです。
高雄は南部の工業都市でもあるそうですが、街の西側を流れている愛河の周辺には小さなカフェやバーが立ち並び、街全体はのんびりしている印象を受けました。
ミーティング会場であったGrand Hi-Lai Hotelは漢神デパートと隣接した街の中心にあり、参加者からの評判もよかったようです。本稿ではこのような環境で開催されたAPNIC22の様子をお伝えします。
ミーティング概要
開催期間: | 2006年9月4日(月)~9月8日(金) |
会場: | 台湾 高雄 GRAND HI-LAI HOTEL |
参加者: | 157名 |
プログラム: |
チュートリアル、各種BoF、APOPS(The Asia Pacific OperatorS
Forum)、各種SIG、APNIC総会、懇親会
http://www.apnic.net/meetings/22/program/ |
ミーティング全体について
今回のミーティングは、少なくとも私が参加した中では内容の濃さにおいてトップ3に入るミーティングだったのではないかと感じています。
まず1点目としては、これまでのAPNICオープンポリシーミーティングはどちらかといえばポリシー議論が中心という傾向がありましたが、今回はオペレーションに関する話題が随分充実したミーティングでした。
今回初の試みとして、従来BoFセッションとして開催してきたAPOPSに水曜日のセッション枠を終日割り当て、運用に関する議論・情報共有が集中して行われました。内容も、12点の発表のうち、バングラデシュ、中国、台湾、フィリピン等、地域内の運用状況の紹介や、BotNet、DoS攻撃への対策、RIRによる電子証明書の実装等、多岐にわたるトピックスが取り挙げられ、個人的にはBoTNetとAS-pathの分析の話が興味を引かれました。
また、ポリシーSIGにおいても提案事項が9点提出され、これは過去で最多の提案数とのことです。しかしながら、提案数が多い状況にもかかわらず、議論はさほど発散せず、また、IPv6アドレスポリシーについては日本のコミュニティからいただいていた意見をスムーズに通すことができて胸をなでおろしています。
それから、過去数回にわたって議論を続けているAPNICの料金体系の見直しについては、今回のミーティングにおいても、APNICから提示された案を基に引き続き議論が行われました。現時点ではまだ新料金体系についての結論は出ていませんが、TWNICのCEO、Ching-Ming Liang氏がFEE-WGのチェアを務め、引き続きメーリングリストで議論を行うことになっています。
そして、特にAPOPSセッションにおいては、これまでの発表者を常連が占めていた状態と比べて、初の発表者が多く見受けられたことが新鮮でした。今後、APNICオープンポリシーミーティングの構成がどのように変わっていくのかはまだわかりませんが、今回のようにオペレーショナルな話題も多く盛り込むことによって、参加者層が広がっていくとよいのではないかと考えます。
提案事項の結果
[コンセンサスの得られた提案]
- prop-033-v001 IPv6における割り当てポリシーの変更について
- prop-035-v001 マルチホームネットワークへのIPv6 PIアドレスの新設について
- prop-038-v001 機能しない逆引きDNSに関するAPNICポリシーの変更について
- prop-039-v001 IANAからの新たな割り振りアドレスの到達性向上に向けての提案
- prop-041-v001 クリティカルインフラストラクチャに対するIPv6アドレスの割り当てについて
[コンセンサスの得られなかった提案]
- prop-034-v001 エンドユーザーへのIPv6 PIアドレスの新設について
- prop-036-v001 IPv6割り振り基準の変更について
- prop-037-v001 APNICデータベースにおける電子メールによる情報更新の廃止について
- prop-040-v001 非会員に対するAPNIC料金改訂の提案
参考情報
- APNIC22公式ページ
- http://www.apnic.net/meetings/22/
- 提案事項一覧
- http://www.apnic.net/docs/policy/proposals/
※ 当日の議論は公式ページより動画や、トランスクリプトでご参照いただけます。
(JPNIC IP事業部 奥谷泉)