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ニュースレターNo.37/2007年11月発行

インターネット歴史の一幕:
APNICの誕生

東京大学 情報基盤センター 准教授/中山雅哉

APNIC(Asia Pacific Network Information Centre)は、世界に五つあるRIR(Regional Internet Registry)※1の一つであり、アジア・太平洋地域におけるIPアドレスの管理を行っています。

またJPNICは、NIR(National Internet Registry)として APNICの下で日本国内におけるIPアドレス管理を行っていることは、御存知のことと思います。今回は、このAPNIC誕生にまつわる話を紹介します。

RIR誕生に関する時代背景

そもそも、インターネットが米国政府の強力な財政的援助を受けて発展していた1990年代初頭までは、NICとは、世界で唯一の「The NIC」(SRI-NICあるいはその後身のnic.ddn.mil)のことでした。ここでは、接続する組織のIPアドレス割り当てやネームサーバへの登録など、全世界からの申請を一手に引き受けて処理していました。

しかし、インターネットの急速な発展に伴い、集中管理型のNIC構造に変化が生じました。NICに階層構造を持たせて、グローバルなThe NICから地域的なNIC(RIR)への管理業務の分散化が図られるようになったのです。

具体的には、従来The NICが各組織に対して直接割り当てていたIPアドレスをブロック化し、割り当て業務を地域ごとのNICに委任するようになりました。この措置には、IPアドレスの地域的なまとまりを重視したCIDR技術の導入に対応する意味もありました。

最初に登場したRIRは、1992年4月に発足したヨーロッパ地域を統括するRIPE(Reseaux IP Europeens)/NCC(Network Coordination Centre)です。そして、1993年4月にThe NICは、InterNICとして新たなスタートを切りました。InterNICは、従来のグローバルNICとしての役割を引き継ぐとともに、北米および周辺地域を統括するRIRとして、RIPE/NCCと協調してIPアドレスの割り当てサービスを実施することになりました。

APNIC実験プロジェクト

このような状況の中、1993年1月にホノルルで開催された APCCIRN(Asia-Pacific Coordinating Committee for International Research Networking)会議において、アジア・太平洋地域の RIRにあたるAPNIC設立に向けた調査・実験が提案されました。当時は、既にNIRとしての活動がJPNICの他にもKRNIC、AUNICなどで始められており、その他の国々でもNIR設立が進められている頃でしたので、APCCIRNに参加する各国の間でも、この地域のRIR発足を望む声が多くありました。そこで、1993年8月にサンフランシスコで開かれたAPCCIRN会議において、実験プロジェクトの期間を1993年9月~1994年6月と定め、APNIC機能の検討と試行運用が始まりました。

このAPNIC実験プロジェクトは、当時、JPNICの作業部会の一つだったAPNIC WGのメンバーを中心として、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなどの各国NICからもAPNICに関心を持つ人々に作業スタッフとして加わっていただき実施されました。また、複数の国の人々の協力を得て実施されていたAPNIC実験プロジェクトの連絡先として、当時のJPNIC事務局に専用電話を設置し対応していました。

ここでは、RIRへのIPアドレス申請書式の整備や、各国における今後のIPアドレス需要予測調査に伴う、NIRへのIPアドレスブロック割り当て方式の検討など、IPアドレスの登録管理業務に関する検討が中心でした。また、アジア・太平洋地域の経路情報を管理するデータベース作成に関する検討や、他地域RIRとの協調体制整備に関する検討、そして、APNICを組織として立ち上げるための財政基盤モデルの検討も行われました。

実験プロジェクトの活動成果については、1993年12月に台北で開かれたAPCCIRN会議で中間報告が、1994年6月にプラハで開催されたAPCCIRN会議で最終報告が行われました。この年、APCCIRNはAPNG(Asia-Pacific Networking Group)に改組され、APNIC組織化に伴う会員構成モデルの議論は、APNG会議で半年間継続されることになりました。そして、1995年1月にバンコクで第1回APNIC会議が開催され、APNICが独立した組織としての産声を上げることとなりました。

このようにAPNICは、JPNICの方々をはじめとして、各国にわたるさまざまな方々のサポートにより構築することができました。当時APNIC実験プロジェクトの調整役だった者として、APNICの立ち上げに携わっていただいた方々に心より感謝いたします。

※1 2007年8月末現在

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