メインコンテンツへジャンプする

JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

ロゴ:JPNIC

WHOIS 検索 サイト内検索 WHOISとは? JPNIC WHOIS Gateway
WHOIS検索 サイト内検索

ニュースレターNo.37/2007年11月発行

IPアドレスポリシー関連報告

概要

RIPE54におけるアドレスポリシーの動向についてお伝えしたいと思います。4日半にわたって開催されたミーティングのうち、アドレスポリシーWGは5月9日(水)11時半から2時間半のセッションでした。

RIPEミーティングは、オペレーションに関わるテーマを中心に議論が進められるため、APNIC、ARINと比較すると、アドレスポリシーに関する議論が占める割合は低いと言えます。

RIPEでは、基本的にミーティングで結論を出すことを目的としておらず、ミーティングは、メーリングリストでの議論への補足的な位置付けで捉えられているようです。したがって、新規の提案に対しては、その内容紹介を中心として踏み込んだ議論や結論を求めることはせず、継続議論になっている提案に多くの議論の時間を費やす構成となっていました。

今回結論が出た提案

今回取り扱われた提案は合計12点あり、このうち施行が決定したものは次の2点です。

2006-06:IPv4 Maximum Allocation Period
http://www.ripe.net/ripe/policies/proposals/2006-06.html
現在、RIPE地域では最大2年分の需要を満たすIPv4アドレスの割り振り※1が認められているが、他の地域との公平性の観点からこれを1年に短縮する
2006-07 : First Raise in IPv4 Assignment Window Size
http://www.ripe.net/ripe/policies/proposals/2006-07.html
LIRのアサインメントウィンドウ※2を、当該事業者が初回割り振りを受けた6ヶ月後に、自動的に/21に更新する

一方、提案事項「2006-04:Contact e-mail Address Requirement」は、否決が決定しました。

Registration Desk
受付デスク(Registration Desk)の様子

IPv4アドレスの在庫枯渇に向けたポリシー

今回、JPNICとしての主な参加目的は、JPNICのIPv4アドレス枯渇対応チームが策定した提案を行うことでした。内容は基本的にAPNIC23、ARINXIXで行ったものと同じく、以下の方針を定めることを提案しています。

  • IPv4アドレスの在庫枯渇に対しては、世界的に調整の上取り組みを進める
  • 延命のためのルール変更は行わない
  • 分配済みアドレスの回収は別の議論とする
  • 割り振り終了日を前もって決めた上で周知する

なお、提案では割り振り終了日を告知日の2年後と定義していますが、質疑応答ではこの日の午前中、Plenary Session中に行われたGeoff Huston氏の発表で在庫枯渇予測日が2009年に縮まったとの発表があったため、「今から2年半後には在庫が枯渇するため、提案が機能していない」「グローバルポリシーとして施行するには間に合わない」といった指摘がありました。

時間的な制約からそれ以上コメントを受け付けることができなかったため、ポリシーWGのチェアより啓発を中心に捉える等、アプローチを変えて提案してはどうか、とのコメントがあり、セッションは締めくくられました。

本提案については、ミーティング開催中に参加者とも個別に話をしたところ、在庫枯渇のテーマそのものには関心を持っているようでしたが、新規の提案ということもあってか、ポリシーとしての今後の取り組みについては、地域内の参加者からは積極的な反応はありませんでした。その他地域からの参加者も総合した、主な意見は以下の通りです。

  • 在庫枯渇日の予測は変動するため、具体的な日付を人為的に定めることは意味を持たない
  • 分配済みのアドレス管理をより確実にするPKIによる認証導入の検討が必要
  • 現在利用されていないIPv4アドレスの有効活用も検討するべき

現時点では、最後となる割り振りブロックの扱いをどのようにRIR間で分け合うかについて、ポリシー策定の意識が高い人は一定の関心があるようですが、時期を合わせる必要性については、まだ一致した見解はないようです。

本提案については、この結果をチームに報告の上、今後の対応を検討してまいります。

その他の議論

アドレスポリシーWGセッション全体としては、IPv6に関する提案に対して最も多く議論の時間が割かれていました。このうち、既にAPNICでは適用している追加割り振り基準の変更については、おそらく次回、施行が決定すると予測されます。

2005-08:Proposal to Amend the IPv6 Assignment and
Utilisation Requirement Policy
http://www.ripe.net/ripe/policies/proposals/2005-08.html
追加割り振り申請時において、利用率を算出する基準となるHD-ratioの値を0.8から0.94へ変更する提案。この施行により、申請者はより高い利用率での追加申請が求められ、IPv6アドレスのより効率的な利用につながると考えられる。APNICでは今年3月より施行済み。

また、前回のAPNIC23でも提案され、「実際ニーズがあるとの声を聞かない」とのことから継続議論になった、初期割り振り基準についても議論が行われました。

2006-02:IPv6 Address Allocation and Assignment Policy
http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-54/presentations/Policy_Proposal_2006-2.pdf
現在のIPv6アドレス割り振り要件が、具体的な割り当て数を要件として設けることにより、IPv6アドレスの申請にあたって障壁になっていることから、要件を以下のように変更する提案。
(変更前)
2年以内に200の/48の割り当てを行う計画があること
(変更後)
2年以内に他組織に対してIPv6アドレスの分配を行う計画があること

ここではAPNIC地域で指摘された、障壁となっている具体的なケースの欠如については問題にならず、すぐに対応するべきとの支持が表明されました。一方、今回の提案における変更対象には含まれていなかった、現在のポリシーで割り振り要件の一部として定義されている割り振り空間を/32に集約して経路広告を行うことを求めている点に対しては、経路広告の方法についてはオペレーターの判断に委ねるべきとの理由から、いくつか反対意見が表明されました。これはオペレーターの参加が多い、RIPE地域の特色が現れた結果かもしれません。その後、メーリングリストでの議論を経て、2007年7月に本提案に基づいたポリシーはRIPE地域でも施行されました。

その他の提案については、ミーティング後も大きな動きはありませんでした。今回行われた提案の一覧については、以下のページをご覧ください。

RIPE54 Meeting“Address Policy Working Group Draft Agenda”
http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-54/agendas/address_policy.html

(JPNIC IP事業部 奥谷泉)


※1 インターネット用語1分解説
「割り振り(Allocation)、割り当て(Assignment)とは」
http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/allocation-assignment.html
※2 アサインメントウィンドウ
IPアドレス管理指定事業者が、接続組織にJPNIC審議を受けることなく、自主的に割り当てることができる最大のアドレス空間の大きさを示すものです。

このページを評価してください

このWebページは役に立ちましたか?
よろしければ回答の理由をご記入ください

それ以外にも、ページの改良点等がございましたら自由にご記入ください。

回答が必要な場合は、お問い合わせ先をご利用ください。

ロゴ:JPNIC

Copyright© 1996-2024 Japan Network Information Center. All Rights Reserved.