ニュースレターNo.39/2008年7月発行
.asiaの登録申請の受け付けが始まる ~from.Asia/for.Asia~
トップレベルドメイン、".asia"とは?
.asiaは2006年12月にICANNと.asiaのレジストリであるDotAsia Organisation Limited(以下、DotAsia)との間で交わされた契約に基づいて提供される、アジア太平洋地域用のトップレベルドメイン(TLD)です。現在、地域コミュニティ用のTLDとしては、他に、.eu(ヨーロッパ)、.cat(スペイン・カタロニア地方)が存在しています。
アジア太平洋地域向けTLDの創設は、アジア太平洋地域で開催されたインターネット関連の国際会議で、2000年頃に開始された議論が出発点です。数年にわたる検討の後、2004年にICANNが実施した新TLD創設プロセスに応募したという経緯から、.asiaは、アジア太平洋地域のインターネットコミュニティによる、アジア太平洋地域のインターネットコミュニティのためのTLDということができます。DotAsiaはこの理念を重視しており、「from.Asia/for.Asia」という標語を掲げて、日々の活動を行っています。
DotAsiaは、JPRS等のアジア太平洋地域のccTLDレジストリと、APNIC等の地域団体が共同で設立した香港の非営利法人です。会員から選ばれた私、遠藤を含む10名の理事に、CEOを加えた計11名によって理事会が構成されています。DotAsiaの日常業務は、香港を拠点とするスタッフ達が担っています。また、.asiaの登録料収入によって得られた剰余金は、人材育成支援などのコミュニティ貢献施策に用いられることになっています。
.asiaの登録申請(1):サンライズ(優先登録)
.asiaの登録は他のgTLDと同様に、ICANN公認レジストラまたは公認レジストラの代理店を通じて行います。DotAsiaは、一般登録希望者からの登録申請受け付けに先立ち、2007年10月9日から、商標権者などを対象とした優先登録申請(サンライズ)の受け付けを開始し、2008年1月31日にこれを締め切りました。 期間中、合計で約3万件の申請がありました。この3万件という申請数は、サンライズ実施が一般化した以降に新設されたTLDの中で、.infoに次ぐ大きな規模の申請数となります。現在のところ、異議申し立ては1件もありません。これは、DotAsiaがポリシー策定時から商標権者コミュニティと連携を重ねてきた成果と考えられます。
.asiaの登録申請(2):ランドラッシュ(同時登録)とゴーライブ(先願登録)
通常のドメイン名登録方法である先願登録申請の受け付けに先立ち、期間内にあった全ての申請を同一のタイミングの申請として扱う同時登録申請(ランドラッシュ)を、2008年2月20日から2008年3月12日までの日程で設けました。ランドラッシュは、自分の希望する文字列を有利に登録する最初で最後のチャンスであることもあり、2月20日の受け付け初日だけで約26万7千件の登録申請がありました。この申請数は、.asiaに対するコミュニティからの強い関心の表れということができます。ランドラッシュ終了後の2008年3月26日からは、先願登録申請(ゴーライブ)の受け付けが開始されました。
.asiaのサンライズおよびランドラッシュにおける特徴
.asiaのサンライズおよびランドラッシュにおいては、同一の文字列に対する申請が二つ以上あった場合の登録者決定方法として、申請者同士によるオークションを採用しています。オークションは、DotAsiaと提携したオークションプロバイダが提供するWebサイト上で実施され、最も高い金額を提示した登録申請者が、申請したドメイン名を登録する権利を得ることになります。申請者は他の申請者に関する情報を得た上で、オークションに臨むかどうかの判断を行います。オークションというプロセスの導入によって、紛争を可能な限り事前に防ぐと同時に、本当に登録を希望する申請者による.asiaドメイン名の登録を可能としています。
今後のDotAsia Organisationの取り組み
2008年3月26日からの先願登録申請(ゴーライブ)の受け付け開始で、.asiaのサービス立ち上げは一区切りとなりました。今後、DotAsiaは、.asiaのサービスの安定的な提供、.asiaのドメイン名としての一層の価値向上、認知度向上に努めると同時に、.asiaを創設した目的である、アジア太平洋地域のインターネットの発展に貢献するための、取り組みの具体化を行っていきます。
- □DotAsia Organisation Limited
- http://www.registry.asia/
(DotAsia Organisation 理事/株式会社日本レジストリサービス 遠藤淳)