ニュースレターNo.4/1995年7月発行
3.最新技術情報 English Page
アドレス、ドメイン名の割り当て、JPNIC登録フォームの記入方法、 ドメインネームサーバの設定手続きについて説明します。 申請手続きなどは、適宜変更されますので、申請の際には、 最新の情報の入手をお願いします。 入手方法については、5.3節のJPNIC FAQのQ1/A1を参照して下さい。
3.1. アドレスの割当について
近年のインターネットの急激な発展により、 ルーティングテーブルの爆発の問題や、 32ビットのIPv4アドレスの枯渇の問題がいよいよ深刻になってきています。 これらの問題がIPv6により根本的に解決されるようになるまでの間、 少しでも長くIPv4のアドレス体系を用いたインターネットの利用が続けられるよう、 関係各方面ではさまざまな努力が行われています。
このような動きの一つとして、 接続された組織に対する経路情報をプロバイダレベルで集約し、 インターネット全体に流れる経路情報の数を押えようというものがあります。 これは、今後インターネットが提供する広範囲な相互接続性を維持していく為には必要不可欠な方策であると考えられています。
1.1 アドレス割当業務のプロバイダへの委任
プロバイダレベルでの経路の集約を効率良く進めていくためには、 各プロバイダに接続される組織に対してどのようにIPアドレスを割り当てて行くかということが重要になります。 接続されるプロバイダを意識したIPアドレスの割当を円滑に行うために、 各地域や国のNICでは、 プロバイダに集約可能なClass Cのアドレスブロックをあらかじめ割り当て、 各組織は、 接続されるプロバイダのアドレスブロックの中から必要な数のClass Cのアドレスの割当を受ける、 という方式が採用されています。
JPNICでも、 このプロバイダレベルでの経路の集約を推進する為のパイロットプロジェクトを行なってきました。 これは、ある程度の大きさで集約可能なアドレスブロックをプロバイダに対してあらかじめ割り当て、 さらに、そのプロバイダに接続される組織からの申請に対するアドレスの割当業務もそのプロバイダに委任するというものです。
この結果が良好であったため、 1995年6月末日をもってパイロットプロジェクトを終了し、 1995年7月1日から正式な業務委任としてこれを開始します。 アドレス取得に関わる手数料の徴収代行業務とあわせてより多くのプロバイダに業務委任を受けて頂くようお願いいたします。
このアドレス割当の業務委任に関しては、
「IPアドレス割当業務委任について」
(ftp://ftp.nic.ad.jp/pub/jpnic/ip-addr-delegation-guide.txt)
を参照して下さい。
また、どのプロバイダがアドレスブロックの割当委任を受けているかは、
「IPアドレスの割当に関するガイド」
(ftp://ftp.nic.ad.jp/pub/jpnic/ip-addr-guide.txt)
を参照して下さい。
1.2 プロバイダに対するアドレスの予約
割当業務の委任を受けることが不可能なプロバイダは、 JPNICに対してアドレスブロックの予約を申請することが可能です。 そのプロバイダに接続される組織に対しては、 この予約されたブロックから割当を行います。 この場合の申請は、 プロバイダ経由でJPNICに提出してもらうことになります。
どのプロバイダがアドレスブロックの予約を受けているかは、
「IPアドレスの割当に関するガイド」
(ftp://ftp.nic.ad.jp/pub/jpnic/ip-addr-guide.txt)
を参照して下さい。
1.3 JPNICによるアドレスの割当
IPアドレスの割当は、 これを受けた組織のネットワークに対する経路制御と深く関わりを持つものです。 インターネット上でより広い範囲への到達性を維持する為には、 接続されるプロバイダに応じたアドレスの割当を受けることが今後ますます重要となってゆくでしょう。 このため、今後はJPNICから直接に割当を受けることを避け、 プロバイダに委任もしくは予約されたアドレスブロックの中から割当を受けることが望まれます。
また、インターネットに接続しないネットワークでは、 一般的にIPアドレスの割当をNICから受ける必要はありません。 特にこのような場合にアドレスの割当を受けることなしに使用することができるように、 アドレスがRFC1597によって予約されています。
このRFC1597を翻訳したものとして、
「閉じたインターネットの為のアドレスの割り振り」
(ftp://ftp.nic.ad.jp/pub/jpnic/ip-addr-rfc1597.txt)
というドキュメントがありますので、必要があれば、 こちらを参照して下さい。
申請書の中の[インターネット接続]の項に記入されているプロバイダが既にアドレスブロックの割当委任を受けている場合や、 そのプロバイダに対するアドレスブロックが予約されている場合には、 申請はそちらのプロバイダに転送されます。 アドレスの申請を出される時には事前に接続予定先プロバイダとよくご相談下さい。
また、[インターネット接続]の項に記入の無い申請に対しては、 RFC1597のご検討をお願いすることになりますのでご注意下さい。
1.4 アドレスの返却
IPアドレスは、 インターネットの利用者の間で共有される有限な資源と見なすことができます。 もし以前に割当を受けたアドレスを何らかの理由で利用する必要が無くなった場合には、 そのアドレスを返却することをお願い致します。
また、IPアドレスは組織が所有するものではなく、 組織のネットワークがいずれかのプロバイダに接続を持ち、 インターネットを利用する際に貸与されるものであるという認識が広まってきています。 すなわち、IPアドレスは極力、 接続を行なうプロバイダを経由して割当を受け、 接続を失った場合にはそのプロバイダに返却を行なわなければならないというものです。
いずれの場合にもアドレスの返却をされる場合の手続きは、
- JPNICから直接割当を受けたアドレスの返却申請は割当を受けた組織からJPNICに提出する。
- プロバイダから割当を受けたアドレスの返却申請は、プロバイダに対して提出する。
となります。申請書の記入の方法は、
「IPアドレス返却申請について」
(ftp://ftp.nic.ad.jp/pub/jpnic/ip-addr-return.txt)
を参照して下さい。
なお、アドレスの返却には、 返却申請を提出してから3ヶ月の猶予期間が設けられます。
2. 手数料制の導入について
1995年6月1日よりIPアドレス申請には、 申請手数料を頂くことになりました。
原則として、アドレス空間を広げる申請を有料とします。
- IPアドレス新規取得申請 <有料>
- IPアドレス返却申請 <無料>
-
IPアドレス空間の拡大
アドレス空間を広げる変更は<有料>となります。
例: 4Cを返却して8Cを申請 -
IPアドレス空間の縮小
アドレス空間を縮小する変更は<無料>とします。
例: 1Bを返却して16Cを申請 -
IPアドレス変更
インターネット上の経路情報の急激な増加を少しでも緩和するため、 次のような場合は<無料>とします。- 接続先の変更により、 前の接続プロバイダあるいはJPNICへ返却して、 新接続プロバイダのCIDR BLOCKの中のアドレスへ移行する
- 2の冪乗を境界としないアドレスを返却して、 2の冪乗を境界とするアドレスへ移行する
-
DB登録内容変更 <無料>
IPアドレスに関するDBフィールドの変更
注意して欲しい点は、 手数料が<無料>とみなされる申請が必ずしも認められるということではないということです。 例えば、2の冪乗を境界としない3つのクラスCを返却のうえ、 2の冪乗を境界とする2つのクラスCを申請した場合、 必ずしもその2Cの申請が認められるわけではありません。 新たな割当の分に関しては、あくまで、 「IPアドレスの割当に関するガイド」に記述されている基準に則って判断されることになります。 もちろん申請が認められた場合は手数料は無料となります。
手数料の詳細につきましては、
「IPアドレス申請と手数料について」
(ftp://ftp.nic.ad.jp/pub/jpnic/ip-addr-fee.txt)
を参照して下さい。