ニュースレターNo.40/2008年11月発行
第5回 江崎 浩のISOC便り
今回のISOC理事(BoT)会合は、パリで開催されました。本会合は、前任者の任期満了に伴い新しく選任されたBoTが初参加する会合になります。この会合は、2007年と同様ICANN会合の後に開催されました。以下の4名が任期満了となり、Fred Baker氏、Glenn Ricart氏の両氏が退任、Daniel Karrenberg氏とAlejandro Pisanty氏の両氏は、選挙によって、再選されました。
- Fred Baker
- appointed by the IETF
- Term 2002-2008 退任
- Daniel Karrenberg
- elected by Org Members
- Term 2005-2008 再任
- Glenn Ricart
- elected by Org Members
- Term 2002-2008 退任
- Alejandro Pisanty
- elected by Chapters
- Term 2007-2008 再任
今回の選挙で、IETFからのメンバーは、Fred Baker氏からBert Wijnen氏(Alcatel-Lucent社)に交替、Glenn Ricart氏のポジションには、LACNICのRaul Echeberria氏が選挙で選任されました。 以上のように、任期満了の4名中2名が再任、2名が新任となりました。 なお、今回の会合の最初に、ISOC BoTの議長の選任が行われ、Daniel Karrenberg氏が再任されました。今回退任した、Fred Baker氏は、筆者にとって長年の付き合いがあり、ISOC BoTでの活動において、心強い存在でしたので、氏の退任は少々残念であったというのが正直な感想です。
今回の会合では、新しいBoTの構成で、1年間の活動の役割分担が議論されました。 筆者は、今回、BoT選挙のNomcom(Nomination Committee)の議長を引き受けることになりました。Nomcom委員会のメンバー構成を決め、年末から行われるBoT4名の改選にあたり、候補者の選定作業の責任を負うことになりました。Nomcomのメンバー構成によって、候補に挙がる人材の質が決まるわけであり、予想以上に重要な仕事であることを実感しています。2008年9月中にNomcom委員会メンバーの選定を行い、BoTの承認を得て、具体的なNomcomの活動を開始することになります。
ISOC BoT会合に先立って開催されたICANN会合においては、I-DNS(International Domain Name Service)に関するccTLDサービスの推進が正式に決議されており、日本でも、早急な対応が行われなければなりません。 関係組織ならびに関係諸氏のご理解とご高配、ならびにご協力をお願い申し上げます。今回のI-DNS ccTLDサービスは、民主導での運用を、官が裏書き(Endorse)するという形態の運用の実装を行うことを目指しています。通常のccTLDにおいては、少なからぬ国において、国家権力の小さからぬ介入等が行われたとの認識が一般的です。今回の多言語化対応のccTLDにおいては、この反省に鑑み、国家権力の干渉を極力小さくし、民による統治と運用がI-DNS ccTLDに関して実現されることを目指しています。インターネットが、社会と産業活動のインフラ基盤と認識されるに至った現在においても、国家との関係における中立性を維持するという意味において、非常に重要なマイルストーンとなる可能性も小さくありません。