ニュースレターNo.40/2008年11月発行
第14回JPNICオープンポリシーミーティング報告
2008年7月23日(水)に、TKP秋葉原ホールにて第14回JPNICオープンポリシーミーティングを開催いたしました。JPNICオープンポリシーミーティングは、年2回、日本におけるインターネット資源(IPアドレスおよびAS番号)の管理に関するポリシーを検討・調整し、日本のコミュニティにおけるコンセンサスを形成するための議論の場として、ポリシーワーキンググループの主催により開催しています。
開催概要
日時: | 2008年7月23日(水) 10:00 - 17:50 |
会 場: | TKP秋葉原ホール |
参加人数: | 75名(事前申し込み108名) |
概要
今回のミーティングには、75名の方々(関係者除く)にご参加いただきました。ご記入いただいたアンケートの結果から、初めて参加された方が、1/4程度いらっしゃることがわかりました。ご参加いただきました皆様、暑い中のご来場、ありがとうございました。
さて、今回のJPNICオープンポリシーミーティングは、開催日程を例年より後ろにずらしました。例年夏のミーティングは、JPNICオープンポリシーミーティングで上がった提案内容をAPNICに提案するための提出締め切りに間に合うよう、7月前半に実施することが通例でした。しかし今回は、次回のAPNIC26において、日本のコミュニティに大きな影響があると思われる事項が多数提案されることが予想されたため、国内での提案募集を実施し、提案が無いことを確認の上、APNICの提案が出そろった後の開催日程としました。
その結果、ミーティング全体のアジェンダとしては、情報提供としての13プレゼンテーションと、今回の重点セッションとして位置づけた、アドレス移転関連セッションでの構成となりました。また今回も、APNICの方がミーティングに参加し、APNICの状況などについてプレゼンテーションをしてくださいました。また、前回に引き続き、今回も音声配信やJabber chatによるリモート参加を実施しました。ご協力いただきましたNTTスマートコネクト様、JPNIC技術部の皆様、ありがとうございました。
「IPv4アドレスの回収・再分配」アワー
今回は、「IPv4アドレスの回収・再分配アワー」と題して、IPv4アドレスの移転(IPv4 address Transfer)に関する議論時間を多く取りました。また、下記のプレゼンテーションを実施し、いろいろな観点から議論を行いました。
- 世界の他の地域での議論動向
- アドレス譲渡に関して問題となりそうな点の検討報告(IPv4アドレスが資産となってしまうのではないか、どのような形の取引になり得るのかなど)
- JPNICとしての意見
- IPv4アドレス在庫枯渇に絡めた移転のあり方に関する報告
- APNICに上がっている提案の紹介
APNIC提案(図1)は、IPv4アドレスの台帳であるAPNICデータベースの正確性維持を命題としており、その観点については反対意見は無かったものの、実現手段である「アドレス移転の許容」という点については賛否両論があり、実施された際の影響など慎重な検討が必要だと思われます。しかしながら、APNICでの議論の流れを見ていると、このままでは次回のAPNIC26ミーティングにおいて、アドレス移転に関する提案は、コンセンサスを得る可能性が高いと思われます。そのため、影響の大きさを考えて、日本コミュニティから拙速な判断を避けるよう、意見を述べていくことになりました。具体的には、アドレス移転に関する提案には課題が多いため、それらを検討するWGを設立することをAPNICミーティングにて求める予定です。
上記資料全体は下記URLよりご覧いただけます。
http://www.apnic.net/meetings/26/program/policy/huston-ipv4-transfer.pdf
また、その後別途臨時のオープンポリシーミーティングを開催し、APNICフォーラムにて提示するにあたって、具体的な課題について議論を行いました。
なお、以下のURLより、当日の発表資料、議事録がご確認いただけますので、ご参照ください。
- □第14回 JPNICオープンポリシーミーティングプログラム
- http://venus.gr.jp/opf-jp/opm14/opm14-program.html
ミーティングを振り返って
今回、開催時期を変更し、次回のAPNIC(APNIC26)対応を主とする予定でしたが、APNICに提出された提案の詳細内容が出そろったのが開催当日となってしまったこともあり、一部の議論のフォーカスがぶれてしまったことが残念でした。特に「IPv4アドレス移転」に関する議論では、(チェアの不手際もあり)当該議論に時間をかけすぎたこと、当日朝に掲載された提案詳細の情報共有が不十分だったことから、発散した議論になってしまったことをお詫びいたします。
また、前回、前々回に引き続き、多数の新規の方々に参加いただき、これまで以上に多くの方が、ポリシー策定に興味を持ってくださるようになりつつあることが感じられました。前回のミーティング後より、今までとは違ったチャンネルでミーティング開催の広報等を実施しましたが、今後もより広い範囲の方々にポリシー策定プロセスに参加いただけるように、このような活動を続けていこうと思います。また今回、時間配分や議論のポイントの不明瞭性など、アンケートで多くのご意見をいただいておりますので、ご指摘いただいた点についても改善するよう検討します。
次回のJPNICオープンポリシーミーティングは、Internet Week 2008会期中に開催する予定です。今回ご参加いただけなかった方も、ぜひお越しください。
(ポリシーワーキンググループ/NTT情報流通プラットフォーム研究所 藤崎智宏)