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ニュースレターNo.42/2009年7月発行

地域のインターネット活動とデジタルデバイド

JPNIC理事/東北大学サイバーサイエンスセンター教授  曽根 秀昭

私のインターネット活動の母体となっている「東北学術インターネットコミュニティ(TOPIC)」は、いわゆる非営利の地域ネットワーク組織です。インターネットが広まり始めた大昔と違って、いまのJPNICでは「地域・非営利」の会員はかなり少なくなっています。

20年くらい前に、東北地区の大学など学術系組織が電子メール交換や相互接続をしようと考えたとき、TOPICを組織して“草の根”的に接続を広めることが当然の手段でした。現在では東北地区でも、大学があるような街ならば商用インターネットサービスを利用できます。TOPICに参加する学術機関の数は、商用サービスが普及してから減りましたが、それでも、いまや“希少”な地域・非営利団体の一つとして活動が続いています。

当初のTOPICは、相互接続を運用しながら、技術的問題の解決と相互支援に取り組みました。徐々に、接続技術からキャンパスネットワーク・情報システムの構築や運用の話題に関心が移ってきました。近年は、春と秋に研修会を催し、相互の事例紹介や外部講師の講演で2日間ずつの企画を組んでいます。またこの他にも、県域単位でもセミナーなどを催しています。

このような研修活動が必要とされているのは、地方都市ゆえに、新しい情報を実感できる貴重な機会であるからだと考えています。地方都市では、総合的な規模の展示イベントはありませんし、セールスの来訪にも期待できるとは限りません。大学の密度が低いために普段の交流の機会も多くないので、情報収集の場としてTOPICの価値が続いているのではないかと考えています。研修会で互いに経験談や悩みを話す情報交換は、特に盛り上がります。接続を他に移した後もTOPIC会員を続けて、研修会に参加する大学もあります。

いわゆる「地域間デジタルデバイド」も同様の問題だと考えます。つまり、インターネット環境が次第に整備されていっても、それをうまく活用できているとは限らないようです。「Internet Week 2008」において地域情報化の成功事例をテーマとしたセッションを企画しましたが、講演を聞いていて、状況や手法は各地で様々なので一般的な解法がないこととともに、成功した地域では誰かが、効果的な役割を果たしていることに強い印象を受けました。デジタルデバイドの存在する地域では、ネットワークの整備や活用をリードできるような有識経験者が足りないのではないかと考えます。例えば、JPNIC会員数や、IPアドレス管理指定事業者やAS番号の数などのインターネット資源から見ると、東北各県はかなり低い数値です。ここに悪循環が推察されます。

JPNICがデジタルデバイド地域の解消に手助けできれば、インターネット普及の公益的な役割に合います。JPNICは今年度から、地域情報基盤整備の推進の支援として、地域情報化計画を策定検討する自治体にアドバイスするなどの取り組みを始めました。私のTOPICでの経験に加え、地域・非営利団体のご協力をいただいて、新しい取り組みを進めていく力になりたいと思っております。


執筆者近影 プロフィール●曽根 秀昭( そね ひであき)
仙台育ちで、東北大学出身。現在は、東北大学サイバーサイエンスセンター教授として、学内外のネットワーク環境などの情報基盤の整備と運用ならびに応用技術の研究開発に従事。他の研究分野は、電磁妨害などの環境電磁工学、表面接触や接点放電などの機構デバイス、情報倫理とネットワーク関連規程を含む情報セキュリティポリシーなど。2008年からJPNIC理事(地域・非営利分野担当)。

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