ニュースレターNo.50/2012年3月発行
Internet Week 2011「とびらの向こうに」およびIP Meeting 2011開催レポート
2011年11月28日(月)?12月2日(金)の5日間、富士ソフトアキバプラザにて、Internet Week 2011(以下、IW2011)を開催しました。まさに「Week」の名にふさわしく、四つの併催イベントもあわせ、ウイークデー5日間の開催、延べ2,700名もの方にご来場いただきました。これは、前年比140%の方にご来場いただいた計算となります。本稿では全体概要とともに、最終日に行われた「IP Meeting 2011」のパネルディスカッションの模様をお送りします。
“とびらを開く一助となるイベントに”
~IW2011 に込めた願い~
今回のテーマは、「とびらの向こうに」。このテーマは、
- 我々の前には開いているトビラも閉じているトビラもある
- 開いているトビラを前にしては、それをくぐり、一歩一歩進んでいこう
- 閉じているトビラを前にしては、それを開く勇気を持とう
と、プログラム委員会で考えたものです。このコンセプトの下、20名のプログラム委員に11名のJPNIC職員を加えた総勢31名が、このIWの準備を進めてきました。特にIPv4アドレスの在庫枯渇に向けたIPv6ディプロイメントの問題は、よく“鶏と卵”に例えられることがありますが、そうした課題にも、「我々が様子見モードではいけない、とびらは開いていくものだ」という意識がありました。
特にこれを体現したプログラムの一つに「ここまで来ているIPv6インターネット!」があります。このプログラムは、サービスやプロダクトなどでIPv6対応を進めている事業者やベンダー22社に勢ぞろいいただき、各社が導入状況を語ることで、文字通り、インターネットにおけるIPv6対応の最新動向を総覧し、今後の展望を議論するというものです。この企画については、プログラム委員会でも実現可能性を案じた議論もありましたが、担当プログラム委員の尽力により、今回のIWの目玉とも呼ぶべきプログラムとなりました。
その他、今回もインターネットのインフラに関わる話題をベースに、バラエティ豊かなプログラムを提供しました。2011年は、震災という未曾有の体験から、ディザスタリカバリやインターネットのBCPの話や、またスマートフォンを意識したWebの見せ方やセキュリティ、HTML5、仮想化技術などにも話は及びました。なお今回は、「チュートリアル」「最新動向セッション」と、セッションの性格を整理し、プログラムのわかりやすさにつなげました。開催実績としては、有料セッション22、ランチセミナー2、BoF 6、その他無料セッション7、懇親会と、昨年よりも10セッション多い、計38セッションとなりました。
今回の新規取り組み
また、今回新規に取り組んだことは、主に以下三つです。
- Pre Internet Weekを設け、ドメイン名、IPアドレス、DNSなどのインターネット資源管理の基礎について学ぶ時間を設け、それにより、IW本体への導入とした
- 四つの併設イベント「第21回JPNIC Open PolicyMeeting」「第32回ICANN報告会」「GlobalI PBusiness Exchange 2011 Autumn」「OpenIDSummit Tokyo」を同時に開催した
- 最終日にプレナリ的に開催される「IP Meeting 2011」において、今回のIWのプログラム中における13の「最新動向セッション」のサマリーを、各担当プログラム委員に5分のライトニングトークとして発表してもらった
最初の2日間に、IPアドレスやドメイン名、DNSを無料で解説するセッションを設け、そのあとにアドレスポリシーを議論する「JPNIC Open Policy Meeting」や、「ICANN報告会」を開催する仕立てを導入しました。インターネット資源管理自体は地味ですが、知ってもらうことで、インターネットの運用が円滑に進むため、導入の解説を行った後に、実際のポリシー議論を行うことで、今後につながる情報提供ができたのではないかと感じています。
また、「IP Meeting 2011」でのライトニングトーク集「どーんといきましょ!IW2011総括!!」は、ストリーミングでも提供しました。これを見ることで、2011年のインターネットやIWをクイックにつかむことに役立ててもらえると考えたからです。なお、ストリーミングではお届けできませんでしたが、ライトニングトーク終了後に、「今回一番とびらを開けたと思うセッションは何か?」の投票を実施しました。投票結果では、「押さえておきたいインターネット法 2011」が1位となりました。
会場などの雰囲気
IW2010から、講演資料についてはWebサイトからダウンロードしてもらう方法に変えています。今回は、その方式に対する認知が進んだこともあるからか、会場内におけるPC、iPad等の端末利用率が全体的に高かったように見えました。ネットワークチームの報告によると、11月30日のネットワーク利用率はかなり高く、8割くらいの人がPCを持ち込んでいたのではないか、との推測が成り立つとのことです。
また、プログラム実施中につぶやき(Twitter)を、サイドのサブスクリーンに投影して共有する光景もIW2010から始まったもので、今回は見慣れた感がありましたが、それを導入していないプログラムでも、水面下ではTwitterやFacebookなどがよく使われていたようです。実は、IW事務局でも、開催の間際にFacebookページを立ち上げましたが、設置時期が遅かったこともあり、イベントの魅力を十分に伝えきれなかったのではと反省しています。イベントはオンサイトならではの魅力が多いものですが、オンサイトを楽しむためにも、SNS等を利用したオンラインでの情報共有も欠かせないのだな、と感じました。
他に目立った光景としては、お昼休みを利用した協賛企業によるランチセミナーや、夕方のBoFについても、例年にも増して、盛り上がっていたように見えました。運営側の不手際とも言えるのですが、ランチセミナーの入場には100メートル近く並んでいただいたり、BoFも全体的に参加人数が多く、終了時間後も議論が尽きない様子が見て取れました。
2012年に向けて
日程および場所ともに確定していませんが、2012年のIWも11月4週目(19日(月)?22日(木))もしくは11月5週目(26日(月)?30日(金))に秋葉原で開催したいと考えています。
アンケートでも「今回のIWは良かった」という声をいただきました。運営サイドの一人として、このイベントに関わった誰一人がかけても、今回のIWは成立せず、そういう意味で、本当に皆様によって作り上げられているイベントだ、そう感じています。「不易と流行」ではありませんが、プログラムの内容や提供形態そのものは、時流を捉え、フレキシブルに形を変えながらも、しかし、皆様に支えられ共に作り上げていくIWであるという点は、ずっと変わらない部分として継続してきました。これからもそれを守っていきたいです。お運びいただいた皆様をはじめとして、講演者の皆様、協賛企業の皆様、プログラム委員の皆様、関係者の皆様に、この場を借りてお礼を申し上げます。
IW2011の講演資料、参加者アンケートの結果、BoF開催報告、写真につきましては、次のURLにて公開をしておりますので、よろしければご覧ください。
http://www.nic.ad.jp/ja/materials/iw/
Internet Week 2011 概要
【会期】 | 2011年11月30日(水)~12月2日(金)3日間 ※ 2011年11月28日(月)? 29日(火)はプレイベントであるPre Interenet Week 2011 を開催 |
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【会場】 | 富士ソフト アキバプラザ 東京都千代田区神田練塀町3 富士ソフト秋葉原ビル http://www.fsi.co.jp/akibaplaza/cont/info/access.html |
【URL】 | https://internetweek.jp/ |
【主催】 | 社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC) |
【企画】 | Internet Week 2011 プログラム委員会 |
【協賛】 | NTT コミュニケーションズ株式会社 株式会社日本レジストリサービス エクイニクス・ジャパン株式会社 株式会社SRA さくらインターネット株式会社 日本インターネットエクスチェンジ株式会社 グーグル株式会社 |
【ネットワークスポンサー】 | シスコシステムズ合同会社 富士ソフト株式会社 |
【後援】 | 総務省/文部科学省/経済産業省 ICT 教育推進協議会(ICTEPC) IPv6 普及・高度化推進協議会(v6pc) 財団法人インターネット協会(IAjapan) 一般社団法人OpenIDファウンデーション・ジャパン(OIDF-J) 仮想化インフラストラクチャ・オペレーターズグループ(VIOPS) クライメート・セイバーズ コンピューティング・イニシアチブ(CSCI) 一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) 社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ) 一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC) 社団法人情報サービス産業協会(JISA) 独立行政法人情報通信研究機構(NICT) DNSSECジャパン(DNSSEC.jp) 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA) 社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA) 日本DNS オペレーターズグループ(DNSOPS.JP) 財団法人日本データ通信協会(Telecom-ISAC Japan) 一般社団法人日本電子認証協議会(JCAF) 日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ(JANOG) 特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA) 日本UNIX ユーザ会(jus) WIDEプロジェクト(WIDE) |