ニュースレターNo.51/2012年8月発行
APRICOT 2012/APNIC 33カンファレンス報告
APNIC EC(理事会)選挙での再選を受けて
2012年3月2日(金)に行われたAPNIC総会で、EC選挙が行われ、無事ECメンバーとして再選されました。
2000年10月の臨時選挙で初当選して以来6期を務め、在任期間が10年を越えました。今回の選挙においては、所属組織であるJPNIC以外にも、ソフトバンクBB株式会社様、ラオスのNational Internet Center(NIC)からも推薦をいただいたことは、候補者として誇らしい限りでした。当選と相成ったことはまさに皆様の温かいご支援の賜物であり、篤く御礼申し上げます。
2010年3月からの2年の任期は、今までの中で最も忘れ難いものとなりました。IPv4アドレス在庫枯渇という、インターネットレジストリにとって歴史的な瞬間を迎えたこともさることながら、たくさんの重要課題に対処し、それに一定の区切りがついた2年でした。
AMMにおいて、声高に
- ICANNのGAC(Governmental Advisory Committee)に当たるような、各国政府関係者が助言等を行う組織を作るべきではないか
- 会員投票に関して、現行の票数バランスを変更(アドレス保持数による持ち票数の重み付けの排除)すべきでないか
などが主張された結果、AMMから振り出されたWorking Group(WG)の形で議論されることになりました。これらは結果的に提案者が望むような形にはなりませんでしたが、こういった組織のガバナンスに関する課題に、APNICとしてどのように対処できるのかを示すことができました。
もう一つは、インドのNIR設立です。これは、最初にその意思を聞いたのが2008年ですので、かなり長きにわたった話でした。2009年末に「in-principle recognition」として、その後の準備によって承認する用意があることを表明していましたが、このデリー会合で、ついに承認となりました。
前述のWGにより議論を実施することになった経緯も、インドの方々を中心とした主張によるものでしたので、これらもあわせて、当事者が多く集まるデリーでの結論ということで、非常に印象深いものとなりました。
事務局運営という観点では、堅調な会費収入の伸び、2010年12月の新オフィス購入と移転、またそれによる支出構造の改善と好ましく推移し、その中で事務局が、日常的な運営体制の充実にも慢心なく取り組んでいる印象を持っています。
これからの話として最も大きなものは、戦略計画(Strategic Planning)です。IPv4アドレスの在庫枯渇、本格的なIPv6時代の到来など、技術的な観点からも大きな変革の時期にあることは明らかですが、もっと重要なことは、これからのインターネットの発展の中心が、世界の人口の約半数を擁し、IPv4アドレスの歴史的割り当てを除くと最大のアドレス数を保持するAPNIC地域にあることです。インターネットに関して、アジア太平洋地域はもはや欧米に追従する立場にはなく、明らかに、世界をリードしなければならない立場にあります。
APNIC ECにおける戦略計画は既に着手済みではありますが、前述のような現況認識の下、次の時代を創るに足る戦略となるよう、さらに力を入れていきたいと思います。
このような活動を行うには、皆様からのご意見やご支援が欠かせません。すぐさまお話しできることばかりではないのですが、今後はAPNIC ECとしての活動に関して、もっと皆様に知っていただけるように、情報発信を心がけようと思います。何かお気づきの点がありましたら、メールで、また直接お会いしたときにでも、お気軽にお声掛けいただければ幸いです。
(JPNICインターネット推進部 前村昌紀)