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ニュースレターNo.55/2013年11月発行

APNIC36カンファレンス報告 全体およびアドレスポリシー動向報告

APNIC 36カンファレンスは、2013年8月20日(火)〜30日(金)、中国・西安で開催されました。

西安はシルクロードの始点として、かつて長安と呼ばれ、唐などの都としても知られている歴史のある街です。秦の始皇帝の兵馬俑が発掘されたのも、この地であることからも古くからの都であることがうかがえます。

会場周辺は唐代の皇室庭園を再現した芙蓉園や大雁塔にも近く、政府が観光誘致のために整備した地域らしく、伝統的な造りに見える建物の中にケンタッキーフライドチキンなどの国際フランチャイズ企業の入っている通りや大きなショッピングモールもある一方、広場では凧を揚げたり、夜になると老若男女が集団で踊っていたりする姿も見受けられ、地元市民の憩いの場でもあるようでした。

APNIC20周年の節目となるカンファレンス

今回のカンファレンスは、国別インターネットレジストリ(NIR)の立場からJPNICの同僚とも言える、China Internet Network Information Center(CNNIC)がローカルホストを務め、また1993年のAPNIC設立から20周年を迎えることから、そのお祝いも兼ねるものとなりました。

APNICが節目を迎えた特別な回であったことから、会期中もいくつかそれにちなんだセッションや記念グッズの配布が行われ、参加者全員に兵馬俑の置物が贈られました。これは現在JPNICオフィスに飾られています。

「APNIC 20th Anniversary Celebrations」と題した20周年記念の懇親会は、芙蓉園で行われ、司会を務めたAPNICスタッフとCNNICスタッフがそれぞれの民族衣装を着用し、普段よりも華やかな雰囲気で進行されました。さまざまな催しの中でも、20年の歴史をナレーションに合わせて砂絵で表現したショーが、APNICが組織としても活動としても時と共に次々と移り変わっていく様子が固定しない砂の特徴とも一致してよく表現されており、参加者に好評だったようです。

このAPNIC20周年記念については、この後P.41からの「APNIC20周年関連報告」の部分で詳しくご紹介いたします。

プログラム構成と今回の特徴

プログラムの基本構成は「各種チュートリアル」、「Asia Pacific Network Operators Forum(APOPS)セッション」、「各種Special Interest Groups(SIG)」、「各種BoF」、「APNIC総会」と、従来通りの構成でした。

これに加えて、昨今はテクニカルなセッションの充実に力を入れており、APNICとしては今後も、オペレーターを対象とした内容を増やしていく意向のようです。今回印象的だったトピックスをいくつか簡単にご紹介します。

IPv6関連のセッション

8月28日(水)は1日、IPv6をテーマとしたセッションが開催されました。

上記以外にもAPNIC地域内の計測データの共有と蓄積を目指したIPv6 Readiness Measurement BoF※1が開催されたり、Keynotesでは20周年にちなんでIPv6の歩みを振り返るAPNICのChief ScientistのGeoff Huston氏による発表※2もありました。

IPv6 Readiness Measurement BoFは今後、専用のメーリングリスト(ML)とWebサイトを立ち上げることも検討しているそうです。

RPKI関連のセッション

RPKIに特化して3セッション開催され、地域内のLIRの関心はまだ高くありませんが、JPNIC以外のNIRにおける認知度の向上にはつながったのではないかと思います。

Lightning Talksが盛り上がりました

地元ネタを取り上げたFacebookとGreat Firewallに関する発表やセッション中盤から飛び入りの発表もあり、躍動感のあるセッションでした。※3

NOG Update

前回に引き続き、今回もAPOPS各NOGからのアップデートがありJANOGからも発表が行われました。

APOPS Reportセッションで、IPv4アドレスのブローカーであるIPv4 Marketing社より、円滑に移転を行うコツを紹介する発表がありました。

APNIC 36での決定事項

今回のカンファレンスでの特筆すべき事項として、

  • アドレスポリシー提案3点のコンセンサス
  • 四つのポジションに対する選挙

が挙げられます。選挙では、日本から2名の候補者がチェアなどに選出されました。

アドレスポリシー提案においては、国内のポリシーフォーラムの有志により策定された提案「prop-105: 返却されたIPv4アドレスの配布について」がコンセンサスを得られたことが印象的です。これにより、APNIC管理下の事業者は、APNICに返却された/IANAから再割り振りされたIPv4アドレス在庫からの分配を受けることが認められます。

詳しくは、以下の「アドレスポリシー提案への対応と結果」「選挙結果」で取り上げます。

アドレスポリシー提案への対応と結果

アドレスポリシーにおいては3点の提案がAPNIC 36カンファレンスに向けて提出され、8月29日(木)のアドレスポリシーSIGセッションで議論が行われました。

http://www.apnic.net/community/policy/proposals

これらポリシー提案については国内でも、ポリシーワーキンググループ主催による「Opinion collection meeting about proposal in APNIC 36 hosted by Policy-WG」※4を8月19日に実施し、議論を行いました。当日参加者からいただいた意見はポリシーワーキンググループチェアの橘氏よりAPNICのMLでご紹介しています。

結論としてはいずれの提案もAPNIC 36参加者のコンセンサスが得られました。

prop-105: 返却されたIPv4アドレスの配布について

103/8からの分配とは別に、APNICへの返却/IANAからの再割り振り在庫からも、1組織最大/22の分配が認められる

prop-107: AS番号の移転提案

APNIC地域内および他RIR地域とのAS番号の移転が認められる(他RIRで認めていないので、他RIRとの移転は現在実質不可)

prop-108: APNICにおけるポリシー策定プロセスの変更

メーリングリストでのコンセンサス最終確認期間を現在の8週間から、4週間に短縮(APNIC 37から適用)

※当初の提案内容から一部変更の上、コンセンサス

アドレスポリシーにおける今後の影響

prop-105:さらなるIPv4アドレスの分配

このポリシーは既に103/8在庫から/22の分配を受けており、さらなるIPv4アドレスを必要とする組織が対象です。これによりAPNIC管理下の事業者は、現在のポリシーで認められている103/8からの/22とは別に、さらに最大で/22のIPv4アドレスの分配を受けることが認められます。このポリシーに基づく分配は、103/8レンジとは別に管理される、APNICへの返却/IANAからの再割り振り在庫から行われます。103/8から/22の分配を受けていることが前提となり、その他分配基準は103/8在庫からの分配と同じです。

prop-107:AS番号の移転

このポリシーにより、APNIC地域内におけるAS番号の移転が可能となります。

IPv4アドレスのリース

提案ではありませんが「IPv4アドレスのリース」が行われている事例がAPNIC地域で確認されており、これに対応するためにAPNICのポリシーを改定するべきかの議論も行われました。今後、対応するポリシーを策定する方向で、次回のAPNIC 37カンファレンスで議論が行われる見込みです。

今後のプロセス:

今回コンセンサスが得られたポリシー提案3点は2013年11月6日までの8週間のコメント期間を経て、大きな問題がなければAPNIC理事会の承認をもって、APNICによる施行が正式に決定する流れとなります。

prop-105およびprop-107の国内での施行については、2013年11月26日開催の第25回JPNICオープンポリシーミーティングで議論される予定です。

選挙結果

四つのポジションに対する選挙があり、選挙結果は以下の通りです。

NRO NC:藤崎智宏氏(再選)

各RIR地域から3名選出され、ICANN理事会がグローバルポリシーを承認する上でアドバイスを行います。

Policy SIG Chair:Andy Linton氏(再選)

アドレスポリシーの提案について議論・コンセンサスの確認を行うSIGです。

NIR SIG Chair:橘俊男氏
同SIG Co-Chair:Jessica Shen(再選)、Ajay Kumar

NIRに関するポリシー文書の改定に関する提案の議論・コンセンサス確認を行うSIGです。

国内からは藤崎氏と橘氏が当選されました。おめでとうございます!

どちらも国内のアドレスポリシーフォーラムにおいて大きく貢献してくださっているお二人です。今後のご活躍をお祈りいたします。

写真:筆者
● SIGチェアを退任する筆者に対して記念品をいただきました

APNIC 36に関する情報

ここでご紹介したセッションの資料はすべて公開されており、ビデオ、発言記録(トランスクリプト)も掲載されています。参加されなかった方でも質疑応答も含めて会場の様子を感じることができると思いますので、気になったセッションがありましたら、ぜひご覧になってみてください。

http://conference.apnic.net/36/program

次回のAPNICカンファレンス

APRICOT 2014と併せて2014年2月24日(月)〜28日(金)にタイのバンコクで開催予定です。

http://www.apricot2014.net/

また、2015年のAPRICOTは福岡での開催です。お楽しみに!

(JPNIC IP事業部 奥谷泉)


※1 IPv6 Readiness Measurement Session
http://conference.apnic.net/36/program#session/61707
※2 Summary of IPv6 Readiness Measurement BoF
http://conference.apnic.net/data/36/summary-ipv6_readiness_measurement_bofv4-for-amm-final_1377839388.pdf
Opening Ceremony & Keynotes Session
http://conference.apnic.net/36/program#session/61659
※3 Lightning Talks Session
http://conference.apnic.net/36/program#session/61768
※4 Opinion collection meeting about proposal in APNIC 36 hosted by Policy-WG
http://jpopf.net/Opinion%20collection%20meeting%20about%20proposal%20in%20APNIC%2036%20hosted%20by%20Policy-WG

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