ニュースレターNo.56/2014年3月発行
今度こそIPv6
JPNIC理事 藤崎 智宏
レジストリにおけるIPv4アドレスの新規在庫がなくなってから既に数年、IPv6の導入が進むか、と思いきや、まだまだこれから、というのが実情でしょうか。アジア太平洋地域で各国・地域のIPv6普及状況、導入推進活動を見ても、数年前との違いがわかりにくく、状況に大きな進展はないように見えてしまっています。
思えば、IPv6の開発・普及推進に関わり始めてからほぼ17年。その中でIPv4アドレスの在庫はほぼ予想通りの時期になくなりましたが、IPv6は想定通りに広まってはいません。「狼少年」という単語が気になる今日この頃です。
IPv6が想定通りに広まらない理由はいろいろと考えられますが、さて、最近状況が大きく変化してきている、という実感(期待?)もあります。一つは、日本では、ほぼ足回りが整ったこと。IPv6インターネットへの接続性が欲しいと思えば、日本中、ほぼどこでも買うことができるようになりました。しかも、多くのISPでは、IPv4の付加サービスとして無料で提供しています。さらには、既存IPv4ユーザーを、IPv6に移行しようという努力。既にいくつかのISPでは、お客様のネットワーク環境を、自動的にIPv4/IPv6デュアル環境に移行しています。
この結果、IPv6に対応したユーザー数は着実に増加し、IPv6の実トラフィックは順調に伸びているようです。
が、そのトラフィックの行き先は、国外が大部分、というのが現状ではないかと想像します。GoogleやFacebookがIPv6に対応しているのは、既に多くの方がご存じかと思います。日本のコンテンツ提供者に頑張っていただきたいところです。
あとは、携帯系。米国携帯キャリアは将来を見据え、網のIPv6化等に取り組んでいるように見えます。日本の携帯キャリアにも頑張っていただきたいところです。
さて、もちろん拙宅の家庭ネットワークは、IPv6/IPv4デュアルスタックです。スマホ、タブレット、Windows PC等、家族が常時使っていますが、特に苦情はありません。が、今のところ、特に嬉しいこともありません(爆)。「リモートデスクトップアプリケーション等がIPv6に対応してくれるとよいのに」等、やはり、「IPv6だと嬉しいよね」が欲しいところです(2013年末、Google+で、某アイドルグループの放送系コンテンツへのアクセスが速かった、とかメリットが皆無ではないことは、個人的に強調したいところです)。
というわけで、「今度こそ」IPv6。2014年以降、大ブレイクの予感です。