ニュースレターNo.57/2014年8月発行
インターネットのまわりの変化は続く
JPNIC監事 岸川 徳幸
日本のインターネットの普及は一段落しました。平成25年度版の情報通信白書によると、平成24年末のインターネット利用者数は、9,652万人(前年比0.4%増)、人口普及率は79.5%(前年差0.4ポイント増)です。だからといって、インターネットが安定したわけではありません。
まずは、情報の種類と量の増大です。急速にモバイル接続が多くなっています。先ほどの白書によると、端末別インターネット利用状況は、「自宅のパソコン」が59.5%、スマートフォンは31.4%、タブレット型端末は7.9%です。調査時より1年以上たっていますので、スマートフォン化がさらに進んでいます。パソコンによるアクセスはWebやメールが中心であり、情報を消費する側でした。ところが、スマートフォンは標準で10種類程度のセンサーが実装されており、これらのセンサーが出す、位置情報、加速度情報や、それら情報が加工されて出されるデータは、マーケティング等にも使えるデータとしても注目を浴びており、そのデータがインターネットを通じて集められます。スマートフォンだけでなく専用機器も増えており、それらが今まで以上の情報を発します。
次に、事業環境も変わりつつあります。まず、仮想移動体通信事業者(MVNO)が一般化し始めました。MVNO業者から従来の半額以下となる安価な「格安スマホ」が出て、利用者から熱い注目を浴びています。一方固定では、2014年5月にはNTT東西において光回線の卸売り「サービス卸」が発表され、下期にはサービスが開始される予定です。これらは、固定とモバイルを統合したサービスが実現される推進力となります。そのようになれば、利用者はいままでよりもさらに料金やスピードの制限を気にせずに使えるようになり、新たなサービスを要求されるようになるかもしれません。
そして、内部的な変化もあります。最近、運用の場において数十分程度の一時的なトラフィック増の報告が出てくるようになりました。状況からみるとDDoS攻撃のように見受けられます。従来の攻撃はサーバーに対してがほとんどでしたが、個人のFTTH回線につながれている端末に対しての攻撃が急増しています。その原因を探ってみると、対戦ゲームを有利に進めるために、対戦相手へDDoS攻撃をして反応を遅くしている?との話も聞こえてきています。さらには、金銭的被害も出ています。例えばインターネットバンキングにおいては、利用者の口座から預貯金が勝手に引き出され、別口座に振り込まれるという被害が出ています。その被害額は、今年2014年は4ヶ月あまりで約14億円となり、平成25年度の約14億600万円の実績を上回りました。これらの犯行は国外からの場合が多く、犯人をなかなかつかまえることができない状態です。
これからもインターネットは社会の基盤として、進んでいかなければなりません。利用が高度になるにつれ、また、さまざまな人が利用する状況になるにつれ、それに応じて基盤を変化させなければならない状況が出てきます。そのときに、課題を素早く認識し、スピードをもって対処をしていくことが基盤として求められます。今までにも増して、業界として課題を共有し、ともに対処していくことがますます重要になると考えています。JPNICは、インターネット資源分配を中核事業とする民間の非営利団体として、国際的にも活躍しています。業界を牽引する団体の一つとして、今後ともインターネットの発展のために寄与していくものと期待しています。