ニュースレターNo.57/2014年8月発行
第39回ICANN報告会レポート
ICANNシンガポール会議の開催を受け、恒例となっているICANN報告会を、一般財団法人インターネット協会(IAjapan)との共催にて2014年5月29日に開催いたしましたので、簡単にご報告します。
ICANNシンガポール会議ではインターネットガバナンスに関する議論が中心となったということで、ICANN報告会においてもインターネットガバナンスに関するパネルディスカッションを中心に据えました。
- 日時:2014年5月29日(木) 13:30〜17:00
- 会場:シスコシステムズ合同会社 東京本社会議室
プログラム:
ICANNシンガポール会議概要報告
JPNIC 奥谷 泉
ICANN国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告
株式会社日本レジストリサービス(JPRS) 高松 百合
ICANN政府諮問委員会(GAC)報告
総務省総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課 山口 修治
TLD名前衝突(Name Collision)などに関する動向 JPNIC
是枝 祐
ICANN At-Large Structureについて
インターネットソサエティ日本支部(ISOC-JP) 藤崎 智宏
ICANN in Asia Pacific and Japan
Internet Corporation For Assigned Names and Numbers (ICANN) Kelvin Wong
パネルディスカッション
パネリスト:
前村 昌紀(JPNIC)(モデレーター)
奥谷 泉(JPNIC)
堀田 博文(JPRS)
山口 修治(総務省)
Jacob Williams(株式会社インターリンク)
加藤 朗(WIDEプロジェクト)
橘 俊男(ISOC-JP)
Adam Peake(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)
Kelvin Wong(ICANN)
報告会の前半では、まずはじめにJPNICの奥谷からシンガポール会議の全体概要をご報告した後、JPRSの高松氏からIANA監督機能移管を中心に議論されたccNSO評議会での検討内容を、総務省の山口氏からは新gTLDに関するGAC勧告の状況およびインターネットガバナンス全般などに関するGACでの検討をご紹介いただきました。
続いて、JPNICの是枝から名前衝突問題に関する動向をご報告し、その後、ISOC-JPの藤崎氏よりAt-Largeの状況を、ICANNのWong氏からはアジア太平洋地域におけるICANNの取り組みについてご紹介いただきました。
パネルディスカッションには、さまざまな立場を代表する方々にパネリストとして加わっていただき、IANA監督権限の米国政府からの移管およびNETmundialについて議論しました。パネリストからの主なコメントは次の通りです。
IANA監督権限の米国政府からの移管
- 米国政府(NTIA)は必ず監督権限を移管するとは限らず、適切なマルチステークホルダーによる移管の受け皿ができたときに限って移管するだろう
- NTIAはアカウンタビリティが保証されれば移管するといっているが、アカウンタビリティの定義がなく、コミュニティに対するアカウンタビリティを誰が判断するのか
- 日本のコミュニティがこの件について議論して意見を発していく必要がある
NETmundial
- 成果文書を残せたのは大きく、早速後に続く国連のインターネットガバナンス関連会議でも議論は分かれたものの参照しようという動きが見られた。成果文書に正統性はないかもしれないが、多く参照されればデファクト標準的なものとなるだろう
- IGFを改善してそれを中心として皆で(インターネットガバナンスの課題を)議論していくということがコンセンサスとなったことはよかった
- 政府とそれ以外のステークホルダーが同じ土俵で議論したこと
この第39回ICANN報告会をはじめとした各報告会の発表資料は、JPNIC Webサイトにて公開しています。
(JPNIC インターネット推進部 山崎信)