ニュースレターNo.59/2015年3月発行
Internet Week 2014
~あらためて“みんなの”インターネットを考えよう~ 開催報告
2014年11月18日(火)から21日(金)まで、JPNICは毎年恒例のInternetWeekを開催しました。本稿ではその模様を簡単に振り返ります。
2013年をさらに超えたプログラム数
今年の総プログラム数は、42(有料プログラム26、無料プログラム10、懇親会1、同時開催イベント5)となりました。会場を横浜から東京に移して以降、最多だった昨年2013年を一つ上回り、わずかではありますが、またしても最多記録を更新しました。
最終的な参加者数は、Internet Week 2013と同水準の約2,650名(延べ人数、同時開催イベントの参加者数を含む)となりました。今年もたくさんの方にご参加いただいたことに、この場を借りて御礼申し上げます。
あらためてインターネットを考える場に
「あらためて“みんなの”インターネットを考えよう」。これが今年のInternet Weekのテーマでした。
実行委員会でテーマを考えていたのは2014年4月上旬。ちょうどOpenSSLの脆弱性が発覚した直後で、今年のInternet Weekは間違いなくセキュリティの話題が中心になるだろうと話していたものです。技術的な話題以外にも、その前月の3月中旬に米国政府がDNSの管理権限を移管する意向を明らかにするなど※1、インターネットガバナンスの分野でも大きな動きがありました。ちょうどこの時期、多くの人の関心を集めていた二つのトピックのどちらにも当てはまるのではないかということで、近年まれに見る早さで決まったのがこのテーマです。
今年の2本柱:セキュリティとインターネットガバナンス
前述のテーマの下、検討されたのがInternet Week 2014のプログラムです。
最近ではすっかりInternet Weekの常連となった、各種サイバー攻撃の現状と対策を紹介するプログラムはもちろん、SOC (Security Operation Center)とCSIRT (Computer Security Incident Response Team)の相互理解を促進してより良いインシデント解決をめざすプログラム、最近のセキュリティ人材育成の取り組みを紹介するプログラムなどの新顔も。毎年恒例のDNS DAYでもセキュリティの対応に大きく時間を割くなど、ほぼ毎時間帯、どこかのプログラムでセキュリティの話題が取り上げられていた、と言っても過言ではないかもしれません。
もう一つの柱であるインターネットガバナンスは、「第4回日本インターネットガバナンス会議(IGCJ)」と、「IP Meeting 2014」で取り上げました。2014年6月に発足したIGCJは、Internet Weekまでに3回の会合を重ねてきました。今回は単独開催時よりも幅広い方にご参加いただき、有意義な情報提供と議論を行うことができたのではないでしょうか。「IP Meeting 2014」では、「ビジネスの観点から見たインターネットガバナンス」と題したパネルディスカッションを行いました(内容については「IP Meeting」のところで後述しています)。遠い世界の難しいことに思えてしまう「ガバナンス」ですが、実際にそれを意識してビジネスをしている方の具体的なお話を聴き、ガバナンスの話題をこれまでより身近なもの、今後注意を払っておいた方がいいものだと感じていただけていれば幸いです。
有料プログラムを検討する場であるプログラム委員会ですが、今年は少しメンバーが替わり、若手メンバーが増えました。JPNICのメールマガジンをお読みの方の中にはお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、9月より毎月、定期号に掲載されるコラムの執筆を、若手メンバーの一部にお願いしていました※2。Internetに対する熱い想いや、他のプログラム委員のアドバイスを受けながらプログラム企画に取り組む姿などが、コラムからもうかがい知ることができるのではないでしょうか。若手に刺激され、ベテランのプログラム委員もこれまで以上に活動した、例年以上に活気のある、近年で最多数のプログラムを生み出したプログラム委員会でした。
学割導入!
昨年度の参加者アンケート※3を眺めると、40歳以上の参加者の割合がついに全体の3割を突破しました。チュートリアルプログラムを強化した近年は20代の参加者が増えてきてはいるのですが、それでもまだ年齢層の偏りも見られます。
これからのインターネットを担う若手が参加しやすくなる仕組みはないか、昨年度参加者などに事前アンケートを行い、まずは今年、学割を導入してみようということになりました。対象は25歳以下の学生の方、割引率は事前登録料金より9割引でした。社会人となった後、上司や先輩の勧めなどで参加するのではなく、学生のうちからInternet Weekに興味を持っている方がいるだろうかという不安はありましたが、想定より多くの方に利用されていたようです。Internet Weekのプログラムに参加し、大学の講義とはまた一味違った体験をして、何かを持ち帰っていただけたとしたらうれしい限りです。
最後に
Internet Week 2014の講演資料、参加者アンケート結果、BoF開催報告書などは、公式Webサイトにて公開しています。
またInternet Week 2015は11月中旬に開催予定です。
2015年は、2月にAPRICOT-APAN 2015が福岡で、11月は94th IETFが横浜で開催されるなど、大きな国際会議が日本にやってくる年でもあります。最新の国際動向に触れ、また国際舞台で日本の技術をアピールし、パワーアップした参加者のみなさま、講演者のみなさまと2015年のInternet Weekを迎えられると思うと、今から楽しみです。
APRICOT-APAN 2015 Webサイト
http://www.apricot-apan.asia/
Internet Week 2014 開催概要
【正式名称】 | Internet Week 2014 |
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【テーマ】 | 「あらためて“みんなの”インターネットを考えよう」 |
【開催地】 | 富士ソフトアキバプラザ 東京都千代田区神田練塀町3 富士ソフト秋葉原ビル http://www.fsi.co.jp/akibaplaza/cont/info/access.html |
【開催日程】 | 2014年11月18日(火)から21日(金)の4日間 [同時開催イベント] |
【開催目的】 |
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【対象者】 | インターネットの技術者およびインターネット技術と社会動向に興味のある方 |
【内容】 | インターネットに関するチュートリアル、 最新動向セミナー、ランチセミナー、BoF等 |
【主催】 | 一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター |
【協賛】 | 株式会社日本レジストリサービス TATA COMMUNICATIONS 株式会社DMM.comラボ NTTコミュニケーションズ株式会社 Asia Pacific Network Information Centre(APNIC) 株式会社SRA 日本インターネットエクスチェンジ株式会社 Internet Corporation For Assigned Names and Numbers(ICANN) |
【後援】 | 総務省/文部科学省/経済産業省 ICT教育推進協議会(ICTEPC) IPv6普及・高度化推進協議会(v6pc) 一般財団法人インターネット協会(IAjapan) Internet Society Japan Chapter(ISOC-JP) 仮想化インフラストラクチャ・オペレーターズグループ(VIOPS) 一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) 一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ) 一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC) 一般社団法人情報サービス産業協会(JISA) 独立行政法人情報通信研究機構 (NICT) 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA) 一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA) 日本シーサート協議会(NCA) 日本セキュリティオペレーション事業者協議会(ISOG-J) 日本DNSオペレーターズグループ(DNSOPS.JP) 一般財団法人日本データ通信協会(Telecom-ISAC Japan) 日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ(JANOG) 特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA) 日本UNIXユーザ会(jus) フィッシング対策協議会 WIDEプロジェクト(WIDE) |
【URL】 |
Facebook https://www.facebook.com/InternetWeek |
(JPNIC インターネット推進部 坂口康子)
- ※1 米国商務省電気通信情報局がインターネットDNS機能の管理権限を移管する意向を表明
- https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2014/20140317-02.html
- ※2 News & Views Colum
- https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/column/
- ※3 Internet Week 2013 アンケート集計結果
- https://www.nic.ad.jp/iw2013/enq/