ニュースレターNo.59/2015年3月発行
第41回ICANN報告会開催報告
ICANNロンドン会議の開催を受け、恒例となっているICANN報告会をIAjapanとの共催で開催しましたので、簡単にご報告します。
今回の報告会は、当該週に開催されたInternet Week 2014との同時開催プログラムの一つであったこともあり、会場はほぼ満席となりました。今回もまた、シンガポールにあるICANNアジア拠点のKelvin Wong氏にご登壇いただき、ICANNスタッフと日本のユーザーが直接意見を交換する、貴重な機会ともなりました。
- 日時:2014年11月19日(水) 16:15〜18:45
- 会場:富士ソフトアキバプラザ(東京・秋葉原)
右のプログラムのうち、特徴的なものを次ページ以降でご報告します。
プログラム: (話者 敬称略)
ICANNロサンゼルス会議概要報告
JPNIC 奥谷 泉
ICANN政府諮問委員会(GAC)報告
総務省総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課 山口 修治
新gTLD関連報告
株式会社日本レジストリサービス(JPRS) 遠藤 淳
ICANN APAC Hubとジャパン・リエゾンについて
ICANN Kelvin Wong
ICANN国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告/ICANNルートサーバー諮問委員会(RSSAC)関連報告
株式会社日本レジストリサービス(JPRS) 堀田 博文
ICANNのアカウンタビリティに関するパネルディスカッション
モデレーター:前村昌紀(JPNIC)
パネリスト:奥谷泉(JPNIC)、北村泰一(ISOC-JP)、Kelvin Wong(ICANN)、堀田博文(JPRS)、村上嘉隆(株式会社ブライツコンサルティング)、山口修治(総務省)
ICANN政府諮問委員会(GAC)報告
総務省の山口氏より、GACの動向に関して、主に次の3点についてご報告いただきました。
- 次世代WHOIS:課題(正確さ、国内法との関連、プライバシー/プロキシー認定の課題、言語サポート、理事会での扱いなど)との関連性と、今後必要となる作業を並べたスケジュール表を要請
- IANA監督権限移管およびインターネットガバナンスの今後の展開:GACとして理事会に助言すべく、包括的な原則を作成することで合意
- 新gTLD関連のGACロサンゼルス助言
- 消費者保護の観点等からセーフガード助言を行った文字列
- 政府間機関(IGO)名称の保護、および赤十字/赤新月社の各国内関連名称等の保護
- 新gTLDのセカンドレベルにおける2文字名称解放
- 将来の新gTLD申請に向けた、現行新gTLDプログラムのレビュー作業
ICANN APAC Hubとジャパン・リエゾンについて
ICANNのKelvin Wong氏より、まずはじめにICANNのグローバル化を実現するための一環である、アジア太平洋オフィスの状況をご報告いただきました。続いて、日本に対するエンゲージメント強化の一環として、これまで日本を含むアジア地域のアウトリーチなどを担当しているWong氏に加え、大橋由美氏がジャパン・リエゾンとして任命され、日本のコミュニティに特化した情報提供を開始したことが紹介されました。当日は大橋氏も会場に来られており、ご挨拶いただきました。その他には、2014年9月に東京にて新gTLDレジストリ向け、およびレジストラ向けの会合を開催したことなどが報告されました。
ICANNのアカウンタビリティに関するパネルディスカッション
パネルディスカッションでは、ICANNのアカウンタビリティについて議論しました。ICANNのアカウンタビリティ機構の現状などについてJPNIC前村より説明した後、各ステークホルダーより、ICANNのアカウンタビリティに対するお考えをお話しいただきました。パネリストからの主な発言は次の通りです(括弧内は所属コミュニティ)。
[Kelvin Wong氏(ICANN)]
コミュニティからのフィードバックをいただきたい。
[村上嘉隆氏(ビジネス/GNSO 知的財産部会)]
ICANNが規模が拡大した結果、アカウンタビリティに関する明確化の声がより高まっている。
[堀田博文氏(ccTLDレジストリ/GNSO gTLDレジストラ部会)]
アカウンタビリティの定義の明確化が必要ではないか。
[奥谷泉(ASO/GNSO ISP部会)]
ICANNはマルチステークホルダーと言いながら、欧米中心で議論しており、また、技術コミュニティからの意見があまり見受けられないなど、地域やステークホルダーが偏った議論になっているように思う。
[山口修治氏(GAC)]
複雑な状況の中で組織運営をよくやっており、徐々にではあるが改善もしてきていると思う。一方、ICANNにおける日本のプレゼンスは高いとは言えず、これを改善していく必要がある。
少々時間が不足気味でしたが、活発な議論を行うことができました。
最後に
もしかしたら「ICANNのアカウンタビリティ」というような大きなテーマをきちんと話すためには、もっとディスカッションする時間が必要だったのかもしれません。こうした重要なテーマについては、ICANN報告会という場にとどまらず、日本インターネットガバナンス会議(IGCJ)の場なども利用し、今後、そうした議論が日本でもっと活発にできる土壌や雰囲気を生成していけるよう、JPNICとしても努力してまいります。
日本インターネットガバナンス会議(IGCJ)
https://www.nic.ad.jp/ja/governance/igconf/
(JPNIC インターネット推進部 山崎信)