ニュースレターNo.62/2016年3月発行
第44回ICANN報告会開催報告
ICANNダブリン会議を受け、恒例となっているICANN報告会を、Internet Week 2015の同時開催イベントとしてIAjapanとの共催で開催いたしました。本稿では、この第44回ICANN報告会の様子を簡単にご紹介します。
・日時:2015年11月18日(水) 16:15〜18:45
・会場:富士ソフト アキバプラザ
・プログラム:
第 1 部 ICANNの基礎(40分) |
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第 2 部 ダブリン会議の動向(70分) |
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第 3 部 ICANNを知ろう(35分) |
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ICANNに関するチュートリアル
今回初の試みとして、ICANNにあまりなじみのない方、 報告会に興味はあるものの内容が難しいとお考えの方を対象に、 ICANNの基本情報に関するチュートリアルを会の冒頭に実施しました。 アンケートをざっと拝見した限りでは、 肯定的な反応が多かったようです。
会議の全体概要
JPNICの前村より、ダブリン会議の概要と主なトピックを報告しました。 内容については前半の「第54回ICANNダブリン会議報告」で既にご紹介していますので、ここでは省略します。 また、今回は年次会合ということで、 理事が3名改選された(以下参照)ことについても触れられました。
- Ray Plzak氏→Ron da Silva氏(アドレス支持組織(ASO)選出)
- Gonzalo Navarro氏→Rafael Lito Ibarra氏(指名委員会選出)
- Wolfgang Kleinwaechter氏→Lousewies Van der Laan氏(指名委員会選出)
新gTLD関連
JPRSの遠藤氏からは、新gTLDの委任数や登録数、 文字列競合解決のためのオークションなど新gTLDプログラムの最新状況、 日本から申請された新gTLDの状況、 および次回のgTLD募集に向けた動きについて、 それぞれご報告いただきました。 また、総務省の菅田氏からは、 GACの動向として消費者保護の観点からGACが行っているセーフガード助言に関する動きや、 国際機関や地理的名称の保護に関する助言の検討状況についてご紹介いただきました。
各組織の動向
JPRSの高松氏よりccNSOの動向として、 市場動向や登録者情報の正確性確認、 IANA監督権限移管およびICANNの説明責任向上等について情報共有がなされたこと等をご紹介いただきました。 また、総務省の菅田氏からは、GAC内の動向をご報告いただきました。 CCWGが提案したメカニズムのうちGACの助言に関するストレステスト第18項について意見が分かれ、 GACが担う役割の維持などの原則については一致したものの、 具体的な見解は継続検討となったとのことです。
ICANNのKelvin Wong氏からは、 ダブリン会議中に開催されたAPACスペース、 およびICANNが進めている市民社会エンゲージメント計画について主に紹介いただきました。
質疑セッション~ICANNについて何でも聞いてみよう~
この2年ほど、ICANN報告会では最後のプログラムとして、 IANA監督権限移管とICANNの説明責任向上についてのパネルディスカッションを実施してきましたが、 今回の報告会はInternet Weekの同時開催イベントとしたことから、 初参加の方でもICANNに関することを何でも気軽に質問でき、 議論ができるようなセッションとしたいという思いがありました。 そこで、最後に、 ICANNスタッフに直接質問できる時間を設けました。
Wong氏の発表からそのまま質疑セッションに移り、 次のような質問が参加者よりありました。
- 新gTLDが既存のgTLDと同様に問題なく使えるようにする活動であるUniversal Acceptanceについての期待
- 迷惑メール対策および新gTLDの(迷惑メールの発信などではなく)健全な利用について議論できる場が欲しい
後者のうち、新gTLDの健全な利用については、 本報告会開催時にちょうど意見募集が行われているところでした。 意見募集に関連して、今後の報告会では、 報告会開催時点でのICANNからの意見募集一覧を共有するとよいのではないかというコメントもありました。 このコメントに対しては、JPNICとしても検討したいと思います。
今回のICANN報告会の各発表資料は、次のURLにてご覧いただけます。
- 第44回ICANN報告会 資料
- https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20151118-ICANN/
(JPNIC インターネット推進部 山崎信)