ニュースレターNo.62/2016年3月発行
第57回JPNIC臨時総会、講演会の報告
2015年12月11日(金)、 第57回JPNIC総会(臨時総会)を東京都千代田区のアーバンネット神田カンファレンスにて開催いたしました。 今回の総会では、2015年度補正予算案を、 会員の皆様にお諮りしました。 その模様を簡単にご報告します。
理事長挨拶、その他
総会の開会に先立って理事長の後藤より、 会員の皆様からのご協力のもと、 2015年11月17日〜20日にかけて開催されたInternet Week 2015は今年も多くの参加者を得て、 例年通り盛況であった旨が伝えられました。 その後、議長選任、議事録署名人指名の後、 審議事項の説明を行いました。
第1号議案:2015年度補正予算案承認の件
本議案は、 本年2015年3月20日(金)に開催の第55回臨時総会※1にて承認された、 2015年期首の収支予算に変更が生じたため、 現在までの実績と今後の見込みを反映した損益を見直した補正後の予算額についてお諮りしたものです。 変更となる経常収益、 費用などについて事務局長の林が説明を行いました。
議案の説明に引き続き議場に質疑を求めましたが、質疑は無く、 その後当議案の賛否を会場にお諮りした結果、 原案の通り可決されました。
経常収益予算 507,770,000円(当初予算比 +3,680,000円)
経常費用予算 535,530,000円(当初予算比 +5,910,000円)
最後に後藤理事長より、 「補正予算は毎年度12月の総会でお諮りしているが、ここ数年、 決算の状況は安定的であり、期首予算の急激な変動が無い限り、 補正予算をお諮りする必要性は低いと考えられる。 しかし、総会は会員の権利として議決権行使を行える場でもあるので、 来年春の総会までに補正予算作成を行うか否か検討し、 報告したい」という趣旨の発言がありました。 これをもって、総会は閉会となりました。
JPNICアップデート
総会に引き続いて、JPNICアップデートと題し、 今年度の事業や出来事の中から、 会員の皆様にいくつかのトピックスをお伝えいたしました。
IP事業部からは、IPアドレス関連の話題として、 2013年9月に導入したプロバイダ非依存(PI)アドレス・AS番号ホルダへの電子証明書更新の件やARINのIPv4アドレス通常在庫枯渇に関する話題、 2015年10月1日より開始されたRIPE NCCとのIPv4アドレス移転のお話やIPv4アドレス移転希望者リストの提供開始についてお伝えしました。 また、ルーティング関連の話題として、 RPKIシステムの試験提供の件、さらに、 11月9日より開始された逆引きDNSへのDNSSEC導入に関して説明が行われ、 両システムともにご登録をお待ちしている旨が伝えられました。
インターネット推進部からは、 「2015年のインターネットガバナンスの動向」と、 2013年10月から追加が始まり、 2年が経過する「新gTLDの最新動向」の2点を中心とした話がありました。 まずインターネットガバナンスが直面する課題について全体像を解説し、 WSIS+10やIGF等、 2015年の国際的なインターネットガバナンスに関する動向と最新情報をお伝えしました。 また新gTLDに関して、 その委任状況や国別の登録数内訳等の最新情報をお伝えしました。 加えて、7月より開始したJPNICブログとAPRICOT-APAN 2015日本実行委員会が行っている国際会議支援プログラムについて紹介しました。
最後に、会員特典について、 現行の会員特典および新規に追加する特典を紹介しました。 今回追加される特典は、JPNICの講師がご希望の場所へお伺いし、 全部で八つあるラインナップの内、 ご希望のプログラムのセミナーを開催するという特典です。 受付開始は2016年1月から行い、 実際のサービス開始は2016年4月からを予定している旨お伝えいたしました。 その後、予定通り4月1日開始ということで、 2016年1月4日から予約受付を開始しております。 既存の会員特典および今回追加される特典についても、 会員の皆様にぜひご活用いただければ幸いです。 詳しくは「~JPNIC正会員限定 出張セミナー開始のお知らせ~」をご覧ください。
総会講演会:「IoT (生活機器)のハッキングの現状と今後」
JPNICアップデートの後、休憩を挟み、恒例の講演会が行われました。 今回は「IoT (生活機器)のハッキングの現状と今後」と題し、 JPNICの理事でもある、 重要生活機器連携セキュリティ協議会 事務局長の伊藤公祐氏にご講演いただきました。
昨今の報道等においても明らかな通り、 IoTの世界は今後さらなる拡大が予想されます。 しかしながら、 モノ同士が通信し合う管理者不在のネットワークが増えると、 セキュリティの面ではさまざまな脅威が生じる可能性があります。
本講演では、 IoTシステムへの攻撃の実例や傾向等の研究について紹介され、 世界的に組織されているさまざまなWGにおける、 IoTセキュリティの標準化動向や日本における取り組みが紹介されました。 まとめとして、IoTでは、 ネットワークやクラウドのセキュリティの課題、 そして端末メーカーの実装の問題によるセキュリティの課題と、 分野の違うセキュリティが混在してくるが、 IoTのセキュリティを今後強化していくためには、 分野間の垣根を越えて、 各分野の人間が相互に情報交換や議論していくことが重要であり、 今後の課題であると締めくくられました。
この第57回総会の資料・議事録は、 JPNIC Webサイトにて公開していますので、あわせてご覧ください。 講演会の資料およびビデオについても、同様に公開しております。
- 第57回総会(臨時総会)資料・議事録
- https://www.nic.ad.jp/ja/materials/general-meeting/20151211/
- 総会講演会「IoT (生活機器)のハッキングの現状と今後」
- https://www.nic.ad.jp/ja/materials/after/20151211/
(JPNIC 総務部 手島聖太)
- ※1 第55回総会(臨時総会)資料・議事録
- https://www.nic.ad.jp/ja/materials/general-meeting/20150320/