ニュースレターNo.63/2016年7月発行
報道関係者向けトークイベント
「インターネットは誰が管理するのか? ~米国管理からの脱却に向け前進~」
ICANN報告会の直後には、「インターネットは誰が管理するのか? ~米国管理からの脱却に向け前進~」と題した報道関係者向けトークイベントを開催しました。ここからは、トークイベントの様子をお伝えします。
このイベントは、2016年1月にAPAC-Hubの総責任者に新たに就任した、Jia-Rong Low氏の来日に合わせてイベントとして設定されたものです。
JPNICが取り扱っている話題は、IT系の専門メディアでも専門的とされるのですが、特集2や先にお伝えした通り、ICANNマラケシュ会議では、IANA機能監督権限移管とICANN説明責任強化に向けた二つの提案がICANN理事会に承認されNTIAに提出されるという、インターネットに取って歴史的な転換点であり、かつ政治的な動きも巻き込んでいました。そういったテーマを多くの方に知っていただきたいと考えました。結果、今回のイベントは、全国一般紙の記者が勢ぞろいする異例のものとなり、多くのメディアで記事として取り上げていただきました。
このイベントでは、JPNICの山崎信が現状を説明した後、ICANNのLow氏が、ICANNを中心に進められた移管後体制検討の概要を説明しました。続いてJPNICの奥谷泉と、APIDE (Asia Pacific Institute of Digital Economy)のOmair Qazi氏が、今後の米国政府・議会の承認プロセスの見通しを論じ、最後にLow氏、Qazi氏、奥谷に、東京大学教授でJPNIC副理事長、ISOC理事でもある江崎浩氏を加えたパネルディスカッションを持ちました。
イベントでは記者の皆さまからも積極的に質問がなされ、IANA監督権限移管がいろいろな角度から議論され、充実したものとなりました。ICANNからは、Low氏の他にシンガポールにあるAPAC-Hubのスタッフが3人と、ジャパン・リエゾンの大橋由美氏も参加しました。Low氏のチームとは、イベント以外にも打ち合わせなどを持ち、仕事以外の話も含めて交流と親睦を深めることができました。Low氏はAPAC-Hub総責任者に就任してまだ3ヶ月といったところでしたが、気さくな語り口の中にもしっかりとしたメッセージが随所に見受けられ、頼もしさを感じました。APAC Hubの皆さんとは今後ともいろいろと協力していけると確信した、2015年度大詰めの1日でした。
(JPNIC インターネット推進部 前村昌紀)