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ニュースレターNo.64/2016年11月発行

第30回JPNICオープンポリシーミーティング報告

2016年8月2日(火)に、JPNIC会議室にて、第30回JPNICオープンポリシーミーティング(JPOPM)を開催いたしました。

今回は番号資源の管理ポリシーに関する提案はなく、6件の情報提供がありました。また、30回目の開催ということで記念講演が行われました。ミーティングには、オンサイトで約20名(関係者含まず)の皆さまに参加いただきました。ストリーミングにおいては、ユニークなアクセスは21人(セッション)、平均で10人前後のアクセスがありました。

また、今回のミーティングをもって、ポリシーワーキンググループのチェアである橘俊男氏がメンバーを退任され、この報告の筆者である豊野剛氏が新しくチェアとなりました。

本稿では、いくつかの情報提供トピックスについて報告します。

[30回記念講演] JPOPFの過去・現在・未来

今回は、2001年12月より15年にわたり続いてきたJPOPMの30回開催記念講演として、JPNICの前村昌紀氏より「JPOPFの過去・現在・未来」と題して講演が行われました。レジストリが徐々に形成されていく時代から、世界、アジアと歩調を合わせ、時に先んじて進んできた日本のポリシー策定の営みを、自らの体験と共に熱く語っていただきました。

特に、黎明期から一貫してコミュニティ主導のポリシー検討にこだわり、JPNICとは独立したボランタリな組織である、ポリシーWGがポリシーの検討を運営している日本のコミュニティを、「エクストリームボトムアップ」と表現されていたことが印象的でした。

なお、講演の資料および録音は、当日発表資料からご覧いただけます。

第30回JPNICオープンポリシーミーティングプログラム
http://www.jpopf.net/JPOPM30Program/
写真:前村昌紀
● JPNICの前村昌紀による30回記念講演

JPNICにおけるポリシー実装状況報告

前回のJPOPM29ではポリシーの変更を伴う提案が無かったため、実装についての報告はありませんでしたが、その他の報告がいくつか行われました。各RIRも含めたIR間のIPv4アドレス、AS番号移転の動向についての分かりやすい解説の他、APNIC 40でのコンセンサスを受けたIPv4 PI(プロバイダ非依存)アドレスやAS番号割り当て基準の変更への対応予定について、JPNICから説明がありました。また、JPOPM27での提案を受けた、JPNICにおいて移転を受けることを希望する組織の、Web掲載サービスの開始について報告がありました。

JPNIC IPv4アドレス移転希望者リスト
https://www.nic.ad.jp/ja/ip/transfer/wishlist.html

その他の情報の詳細については、当日発表の資料をご参照ください。

第30回JPNICオープンポリシーミーティングプログラム
http://www.jpopf.net/JPOPM30Program/

WHOIS登録情報正確性向上に向けてのAPNICフォーラムでの議論(情報提供)

APNIC 41で行われた、WHOIS登録情報正確性向上に関する議論について情報提供がありました。法執行機関からの、サイバー犯罪対応のためのデータベースとしての正確性向上の要請もあり、ICANNにおいてもWHOISの見直しが始まっています。APNIC 41においても、WHOIS登録情報の正確性向上について検討と対策が議論されており、不正確な登録情報の報告件数等の現状と、不正確な登録情報に対するサービス拒否など、今後取り得る対応策の検討について共有されました。APNICとしては、次回APNIC 42以降も継続議論とし、法執行機関と問題意識を共有するなどの取り組みを続けていくとのことです。

本件については当日も活発な議論となり、制度面、技術面、登録者のモラルなど、多岐にわたり意見が出されました。


その他、現状の日本におけるポリシー策定プロセス(PDP)の解説、各RIRのカンファレンスレポート、番号資源におけるIANA機能の監督権限移管に関する状況アップデート、自由意見交換の場であるオープンマイク等のセッションを開催しました。

ミーティングを振り返って

JPOPMも初回開催より15年が経ち、無事に30回を迎えることができました。これも積極的にご参加いただいているJPコミュニティの皆さま、会場提供や事務手続き等に関して支えていただいているJPNIC関係者の皆さまの、お力添えあってこそのことと厚く御礼を申し上げます。

今回、前村氏に記念講演を行っていただきましたが、オープンでボトムアップなコミュニティが、インターネットを形作る源泉だと改めて感じました。その重要性は、IANA機能の監督権限移管のトピック等においても示されている通りですが、その一方で、JPOPMやAPNICポリシーSIGの場において、ポリシーの提案や議論が近年低調になってきていると感じています。

ポリシーWGとして、今後ともグローバルな議論に関して日本からも積極的に参加できるように、フォーラムの機能を強化したいと考えていますので、ぜひご興味を持っていただければと思います。

APNIC 42カンファレンスについて

次回のAPNIC 42カンファレンスは、スリランカで以下の日程で開催されました。詳細は以下のサイトをご覧ください。本カンファレンスの詳しいレポートは、次号のニュースレターでお届けします。

開催地 スリランカ・コロンボ
開催期間 2016年9月28日(水)〜10月5日(水)
https://conference.apnic.net/42

写真:左から鶴巻悟氏、中川あきら氏、豊野剛氏、谷崎文義氏
● ポリシーWGメンバー(左から鶴巻悟氏、中川あきら氏、豊野剛氏、谷崎文義氏)

(ポリシーワーキンググループ/日本電信電話株式会社 豊野剛)

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