メインコンテンツへジャンプする

JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

ロゴ:JPNIC

WHOIS 検索 サイト内検索 WHOISとは? JPNIC WHOIS Gateway
WHOIS検索 サイト内検索

ニュースレターNo.65/2017年3月発行

IPv6関連イベントレポート

JPNICでは、IPv6アドレスの普及啓発のため、セミナーの開催や関連イベントへ参画しています。
本稿では、2016年11月1日(火)および2日(水)にJPNICが開催したIPv6対応セミナー(大阪)および2016年12月12日(月)に開催されたIPv6 Summit in KANAZAWA 2016の様子をご紹介します。

IPv6セミナー(大阪)を開催し、実際に初参加してみました!

セミナーの開催概要

2016年11月1日(火)・2日(水)に、エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社様とJPNICの共催で「IPv6対応セミナー」を開催しました。JPNICでは2015年から全国津々浦々でIPv6の普及啓発に向けたセミナーを企画してきました。高松、岡山、名古屋、福岡、仙台に続き6回目となる今回は、大阪での開催となりました。

今回のセミナーで会場となったのは、グランフロント大阪北館です。大阪駅・梅田駅から歩いて数分の好立地に、ショッピングモールやレストラン、オフィスなどが併設されており、とてもきれいでにぎわっていました。

セミナーは、座学とハンズオンの2日間にわたる構成です。1日目はIPv6に関する最新動向とネットワーク構築に関する基礎的な知識を学び、2日目では実機を用いてネットワークとサーバの構築を体験するという、知識と経験の両方を身につけることができるプログラムとなっています。講師は「IPv6教育専門家チーム」のメンバーが務めるほか、1日目のIPv6の最新動向をお伝えするセッションには、総務省データ通信課からスピーカを迎えてお話しいただきました。

写真:  1日目に行われた最新動向・基礎解説セミナーの様子
● 1日目に行われた最新動向・基礎解説セミナーの様子

上の写真が1日目の会場の様子です。若手からベテランまで、多くの技術者の皆様に参加していただきました。また、2日目のハンズオンでは、機器の台数の関係上1日目より参加人数に限りが出てしまいましたが、少人数ゆえに積極的に質問がされていました。

セミナーの内容を一部ご紹介!

実は私も今回初めてこのIPv6対応セミナーに参加しました。当日はスタッフとして会場運営を手伝いましたが、せっかくの機会ということでセミナーも受講し、IPv6について勉強しました。簡単ではありますが、受講体験記ということでセミナーの内容を一部ご紹介します。

1.IPv6の最新動向について

このセッションではIPv6対応の導入編として、IPv4アドレス在庫枯渇後の世界におけるIPv6を取り巻く状況や、総務省のIPv6対応ガイドラインが解説されました。

APNICのIPv4アドレスの在庫は2011年4月15日に枯渇しましたが、IPv4アドレスはまだ最小限を貰うことができるそうです。しかし、いつまでも貰えるわけではなく、現在のペースで分配が続いた場合、あと3年程度でなくなってしまいます。一方で、移転という手段でIPv4アドレスを譲ってもらう方法もありますが、オークションサイトでのIPv4アドレスの平均落札価格も年々高くなってきているそうで、IPv4を利用し続けることも、継続的なコスト増大というリスクが発生することが分かりました。

2.入門編

IPv6入門編と題されたこのセッションでは、IPv6の主な機能や特徴の紹介と、IPv6導入にむけた設計・構築・運用の方法が紹介されました。

そもそも、IPv6はIPv4と互換性がなく、IPv4を前提として作ったプログラムはIPv6の処理ができません。また、パケット形式やプロトコルが備える機能も異なっているので、セキュリティ対策などに注意が必要となっています。

では、実際にIPv6へ対応するにはどのようにしたらよいのでしょうか。IPv4からIPv4/IPv6対応ネットワークへの移行時の検討が重要となります。その対応モデルとしては

  • IPv4/IPv6 Dual Stack Model
  • IPv4 Networkと別にIPv6 Networkを構築するParallel Stack Model
  • 一部をDual Stackに、一部をIPv4/IPv6それぞれに独立させるHybrid Model

の三つがあります。このような共存技術は、構築が比較的容易で、既存機器がIPv6に対応していなくても、Parallel Stack Modelのように、IPv6ネットワーク用機器を追加する形でも対応が可能となります。一方で、デメリットとしては、ネットワーク側でIPv4 NAT/NATPTを維持し続ける必要があり、またIPv4/v6の両方の不具合を確認するという管理コストの増大も招いてしまうことが挙げられます。

三つの共存技術を紹介しましたが、実際の運用としては、IPv4で構築した機器にIPv6のプロトコルスタックを共存させる「IPv4/IPv6 Dual Stack Model」を採用することが多いようです。

3.ネットワーク構築編

2日目のハンズオンセッションでは、まずIPv6のネットワークを構築しました。実機を触る前に、座学でIPv4とIPv6におけるアドレス設定やルーティングの違いが解説されました。特にIPv6ではアドレスの自動設定がIPv4と異なるため、注意が必要だそうです。

ハンズオンでは、ルータにIPv6アドレスの設定、OSPFv3の設定をした後、経路切り替えの確認を行いました。ルータを設定することが初めての経験だったので、特にルーティング設定方法の話を聞いても最初は、難しくてよく理解できませんでした。しかし、講師の方に教えてもらいながらコマンドを入力してみることで、なんとかIPv6のネットワークを構築することができました。実際に自分の手を動かしてみると、より理解が深められるなあと改めて感じました。

4.サーバ構築編

ハンズオンセッション後半のサーバ構築編では、DNS (BIND 9)、SMTP (postfix)、POP (dovecot)、Apache、NTPなど、基礎サービスの設定方法を学び、ハンズオンではApacheの設定を行いました。ApacheはRHEL5/CentOS5以降、標準でIPv6 Readyになっているそうで、IPv4とIPv6環境でそれぞれWebサイトを作って、異なるサイトが表示されるかアクセスしてみるデモを行いました。

5.セミナーを受けてみて

IPv6対応セミナーに参加する前までは、「IPv6対応セミナーって、ものすごい専門家が、ものすごく専門的な講義をするんだろうな。聞いても分からないのでは?!」と少し不安に思っていました。しかし実際に受講してみると、入門編ではIPv6の特徴や運用する際に気をつけるポイントが紹介されていたり、ハンズオンでは実機を触りながら自分の手でネットワークやサーバを構築できたりと、かなり実践的でわかりやすい内容でした。

また、ハンズオンでは一歩進んだ中級用の資料も用意されており、IPv6についてある程度詳しい技術者の方々にとっても、さらに知識を深めることができる内容だったのではないかと思います。私のようなIPv6初心者でも、2日間のセミナーを通して、IPv6の最新動向から設計・構築・運用についてまで、幅広く学ぶことができました。

終わりに

一部しかご報告できず恐縮ですが、もしセミナーにご興味を持った方がいらっしゃいましたら、今後も各地で開催予定ですのでぜひ一度足をお運びください。また、「もっとこんなことを学びたい!」「当地でもぜひ開催して欲しい!」などなどご要望がございましたら、tech-seminar@nic.ad.jp までご連絡ください。
最後になりましたが、今回大阪でのIPv6対応セミナーには、エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社様の多大なご協力を賜りました。この場を借りてお礼申し上げます。

(JPNIC インターネット推進部 塩沢啓)

IPv6 Summit in KANAZAWA 2016 レポート

2016年12月12日(月)に石川県金沢市で、一般財団法人インターネット協会の主催によりIPv6 Summit in KANAZAWA 2016が開催されました。当日は午前にチュートリアルを実施した後、午後はIoTをテーマに基調講演とパネルディスカッションが行われました。

このIPv6 Summit in KANAZAWA 2016の模様をJPNICブログでご紹介しています。レポートは次のURLからご覧ください。

IPv6 Summit in KANAZAWA 2016 レポート
https://blog.nic.ad.jp/blog/ipv6_summit8/
写真:  新善文氏、渡辺露文氏、丹康雄氏、大野裕之氏、井澤志充氏
● 右手がコーディネータをつとめるアラクサラネットワークス株式会社の新善文氏
パネリスト:左手前から、IPv6普及・高度化推進協議会の渡辺露文氏、北陸先端科学技術大学院大学の丹康雄氏、金沢大学の大野裕之氏、一般社団法人コード・フォー・カナザワ理事の井澤志充氏

このページを評価してください

このWebページは役に立ちましたか?
よろしければ回答の理由をご記入ください

それ以外にも、ページの改良点等がございましたら自由にご記入ください。

回答が必要な場合は、お問い合わせ先をご利用ください。

ロゴ:JPNIC

Copyright© 1996-2024 Japan Network Information Center. All Rights Reserved.