ニュースレターNo.65/2017年3月発行
第31回JPNICオープンポリシーミーティング報告
2016年11月30日(水)に、東京・浅草橋のヒューリックホール&ヒューリックカンファレンスにて、Internet Week 2016との同時開催イベントとして、第31回JPNICオープンポリシーミーティング(JPOPM)を開催いたしました。今回は番号資源の管理ポリシーに関する提案はなく、8件の情報提供がありました。ミーティングには、オンサイトで約34名(関係者含まず)の皆様に参加いただきました。リモート参加では、ユニークなアクセス数は63、平均で15人前後のアクセスがありました。以降、情報提供された中から、三つのトピックスについて報告します。
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Prop-116:Prohibit to transfer IPv4 addresses in the final /8 block紹介と意見交換
2016年9月下旬から10月上旬にスリランカにおいて行われたAPNIC 42で提案され、コンセンサスに至らず継続議論となったProp-116に関して、提案者の藤崎智宏氏(日本電信電話株式会社)から提案内容の紹介が行われました。Final /8ポリシーとして今までとは異なる配布がされている103/8が、新規事業者向けに分配するという本来の目的ではなく、そのアドレスそのものを移転することを目的に取得されているように見えることから、Prop-116では103/8ブロックの移転を禁止する等のポリシーの改定提案が行われています。
WHOIS登録情報正確性向上に向けての動向と意見交換〜法執行機関からの要望への対応〜
WHOISは昨今、ネットワークトラブルシューティング目的で技術者が利用するだけではなく、公安・サイバー犯罪対策のために法執行機関にも利用されています。
WHOISに現状登録されている情報は、正確と言い難いものも散見され、その状況を重く見た米国FBIのJesse Schibilia氏から、WHOIS登録情報正確性向上に向けて、現状の課題や事例の紹介が行われ、また、法執行機関の連携によるWHOISに関するポリシー提案の現状や、今後の予定などが説明されました。Schibilia氏らは、2017年秋の施行を目標に、五つのRIRでWHOISに関するポリシー提案を進めていくとのことでした。
米国政府からのIANA機能監督権限移管完了のご報告
米国政府からグローバルインターネットコミュニティへのIANA機能監督権限移管が、2014年3月の米国政府からの発表から約2年半の期間を経て、2016年10月1日についに完了しました。今回は、この課題に長期にわたり深く関わってきたJPNICの奥谷泉氏から、全体のまとめとして、これまでの経緯や各方面の動き、振り返りなどの発表が行われました。その他、現状の日本におけるポリシー策定プロセス(PDP)の解説、APNIC 42やARIN 38、NANOG 68のカンファレンスレポート等のセッションを開催しました。
ミーティングを振り返って
今回のJPOPMはポリシー提案はなかったものの、WHOIS登録情報正確性向上やIANA機能監督権限移管完了等、興味深い話題が多数話されました。特にWHOIS登録情報正確性向上については、各RIRでの提案が予定されていることや、仮にWHOISのポリシーの変更が行われた場合に関係する方々に大きな影響が予想されることから、今後のJPOPMでも継続的に取り上げていくことになると思います。
当日行われた議論に関しては当日の議事録をご参照ください。また、今回のJPOPMでは新しい試みとして、ポリシーWGメンバーからの発表として「知らないと損するIPアドレスの話」と「アドレスポリシー解説」を行いました。どちらの発表も、みなさんがポリシーを読み解いていくための足掛かりとなるような発表を目指しました。
当日の発表資料、議事録および録音は、次のサイトに掲載しております。
- 第31回JPNICオープンポリシーミーティングプログラム
- http://jpopf.net/JPOPM31Program
なお、第32回JPNICオープンポリシーミーティングについては2017年7月をめどに開催を予定しております。詳細が確定し次第、IP-USERSメーリングリストにてお知らせいたします。
- IP-USERS メーリングリスト
- https://www.nic.ad.jp/ja/profile/ml.html#ipusers
次回のミーティングでも、アドレスポリシーに関してご意見をお持ちの方の提案や、プレゼンテーションのご応募をお待ちしています。今回ご参加いただけなかった方も、ぜひともご参加ください。
(ポリシーワーキンググループ 谷崎文義)