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ニュースレターNo.66/2017年8月発行

インターネットことはじめ

第1回インターネットの先駆け、ARPANETの始まり

ARPANETが初のパケット通信ネットワーク。研究から始まり、軍事用のネットワークとして開発されたわけではない

イラスト:博士

米国の国防総省は傘下に多数の組織を擁していますが、 軍事利用のための先端技術の研究開発を行う組織として、 1958年2月ARPA (Advanced Research Projects Agency, 高等研究計画局、のちにDARPA (国防高等研究計画局; Defense Advanced Research Projects Agency))が発足しました。 ARPAは軍事目的に限らず、 一般公募によりさまざまな研究への資金提供を幅広く行っていますが、 そうした資金提供の一つとして1967年に研究が開始されたプロジェクトが、 インターネットの始まりとも言える、 世界初のパケット通信のネットワーク「ARPANET (Advanced Research Agency Network)」でした。

ARPANETで採用された通信方式である「パケット交換」は、 データをパケットと呼ばれる単位に小分けして転送し、 受信側で小分けされたパケットを集めて元のデータに復元する方式です。 小分けされたそれぞれのパケットに送信先を示す情報が付けられるため、 途中に故障した回線や中継機(ノード)があっても、 各ノードがそのパケットを迂回させて宛先まで届けることができます。 伝送路を占有する「回線交換」でよく用いられる回線を中継局に集中させる 「センター」を持つネットワークと比べ「分散型」のネットワークは、 複数の回線をメッシュ構造のようにつなげることができ、 パケット交換という通信方式を採用することで故障に強いネットワークをつくることができるようになりました。

複数の種類のコンピュータが同じネットワークにつながった

イラスト:ロボット

このARPANETは、 1969年10月に四つの拠点(4ノード)を、 IMP (Interface Message Processor)という、 現在のルーターに相当する機器を用いて接続する形で運用が開始されました。 四つの拠点とは、 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、 カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)、 ユタ大学、 スタンフォード研究所(SRI; Stanford Research Institue)です。

このARPANET上で、 データパケットを転送するために、 ホストコンピュータとホストコンピュータを結ぶプロトコルとして、 当時UCLAの大学院生であったStephan D.Crocker氏によって開発されたのが、 NCP (Network Control Program)です。 このNCPによって、 ARPANETのネットワークインターフェースが標準化され、 1971年から1972年に、 ARPANETにつながるすべての機器に実装されました。 ちなみにインターネットの標準であるRFCの記念すべき1番を書いたのは、 このCrocker氏です。

複数の種類のコンピュータをさまざまなところで管理できるように

イラスト:ロボット

このARPANETの設立以降、 ここにつなぎたいノードの番号の割り当て管理は、 SRIが一括して行っていました。 この、誰がどの番号を使っているかを公表する役割を、 Network Information Center (NIC)と呼び、 SRIが行っていたことから「SRI-NIC」とも呼ばれていました。 ARPANETでは、 ホスト名とネットワークアドレスの対応表として、 HOSTS.TXTというテキストファイルを使用しており、 HOSTS.TXTのおおもとのファイルはこのSRI-NICで保守・管理され、 FTPで公開されていました。

当時、 新しくARPANETに接続した組織は最新のHOSTS.TXTをSRI-NICから入手し、 自分のホストに導入することで相手先ホストを名前で指定できるようになりました。 自分のホストに名前で接続してもらうには、 SRI-NICに情報を送ってHOSTS.TXTを書き替えてもらう必要があります。 しかしこの方法では、 ホスト数が増えるに従って頻繁に更新が必要となり、 作業の負荷が大きくなり、 またすべての組織が最新のHOSTS.TXTを参照する状態を維持することも難しくなります。 この仕組みは、いずれ破綻することが予想されました。 これを解決するために、 名前(ドメイン名)とアドレス(IPアドレス)の対応を変換するDNS (Domain Name System)が誕生することになります。

開かれたネットワーク・エンドツーエンド・ベストエフォートの概念がでてきた

イラスト:博士

この頃になると、 ARPANET以外にも、 パケット通信の考え方を取り入れた、 独立したネットワークがさまざまなところで運用され始めていました。 これらを相互接続するために、 特定のハードウェアに依存しない「開かれたネットワーク」という概念が、 DARPAのRobert E. Kahn氏により提唱され始めました。 この概念は本来は無線ネットワークのためのものでしたが、 後にこの概念に基づきTCP/IPというプロトコルが開発され、 インターネットで広く利用されるようになりました。 TCP/IPが広まるとともに、 ネットワークの機能は単純にして、 複雑なやり取りは個々のホストに任せるエンドツーエンドといった概念や、 パケット通信をベストエフォートで運ぶ、 という考え方も広まっていきました。

次回は、TCP/IP開発の頃のお話です。

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