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ニュースレターNo.66/2017年8月発行

INTERNET ♥ YOU No.1

■プロフィール

NTT America, Inc./吉村 知夏

NTT America, Inc. Solution Development Engineer. 北米市場におけるネットワーク関連のプロダクトマネージングを務めている。 米国カリフォルニア州シリコンバレー地域在住。 専門は、BGPルーティング、トラフィックエンジニアリング、 SDWANおよびネットワーク技術全般。 2012年1月からJANOG運営委員、2015年9月からJANOG会長。

タイトルバック

日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ(JANOG)の会長であるNTT America, Inc.の吉村知夏さんに、ご自身のインターネットとの出会いやキャリアパス、 インターネットコミュニティへの想いをうかがいました。

吉村さんとインターネットとの出会い

中学時代の塾の先生が、慶應義塾大学の村井研究室所属でした。 その先生が凄く優しくて人間的に好きで、 その人と何かを一緒にやりたいと村井研に進みました。 ただ、インターネットという言葉を知ったのは高校2年の時でしたし、 高校時代は放送部で映像編集に没頭していました。 映像系と迷った末にSFCを選びました。

インターネットにハマったエピソード

2000年1月に2000年問題の危機管理組織Y2KCC/JPに、 記録係のスタッフとして参加したことです。 12月30日から大手町のビルに泊まりこんで、 世界各国のスタッフと連絡を取りながら対応しました。 結局大きな問題なく終わりましたが、いわゆる業界の第一線の人たちが、 会社の関係を越えて協力し合っていたことが印象的です。 オープンマインドな雰囲気の中で、 当時学生だった私にも親切に色々なことを教えてくださいました。

これまでのキャリア

学生時代は、ドメイン名紛争やインターネットのガバナンスに興味がありました。 2003年にNTTコミュニケーションズに入社してからは、 OCNの運用部隊に配属され、DNSなどサーバのオペレーションを担当しました。 実は、当初希望していた職種とは異なりましたが、 トラフィックの増減などを見るのが楽しく、運用に「どハマり」しました。 次にバックボーン部隊に移り、ISPのネットワーク開発に携わりました。 BGPを用いたピアリング設計を担当していましたが、 ピアリングの世界は人と人のつながりが大事で、これも「どハマり」しました。 国際ピアリングの設計時に、米国にいる弊社のチームと協業することがありました。 これをきっかけに、相手の世界を見に行ってみようと、 自ら希望して2012年の秋に米国駐在員として赴任しました。

米国在住5年目。日米の違いに感じること

米国人は自分の意見をしっかりと持っていますが、 他人を尊重しながら相手に敬意を払う伝え方をするなど、文化は違えど、 日本人と同じだなと思う部分もあります。 違う点は、米国と日本では得意分野が異なること。 米国では、完成度よりも、 アウトプットそのものが求められることが多い気がします、 0から1を作るのが得意な印象です。 優先度の低い問題はばっさり切り捨てるなど、見切りを付けるのも早いです。 一方、日本は精度を高めるのが得意だと思います。 1から10に高めていくのが上手です。 同じ問題が二度と発生しないよう、プロセスを改善しながら対応します。 チーム全体の底上げや情報共有にも優れており、 チーム内でノウハウがたまるという面もあります。 日米で仕事するにあたり、仕事に対する考え方を切り替える必要があります。

JANOGの会長や、APNICカンファレンスのプログラム委員など、コミュニティ活動で大切にしていること

オープンマインドで心を柔らかくすることです。 コミュニティ活動でお会いする方々は、ビジネスではお客様だったり、 競争関係にある会社だったり、有象無象の関係性があります。 そういうことを一旦横に置いて、 ポジティブで明るい気持ちで人と接することを一番に考えています。 コミュニティ活動は、結局は自分のモチベーションに繋がっています。 人と人の繋がりを感じられたり、他の人が頑張っているのを見ることで、 自分のやる気が高まるのを感じます。 個々人の得意分野を持ち寄りながら、多くの人が活躍できるのも、 コミュニティ活動の良いところだと思います。

吉村さんからインターネットへ愛情のこもったメッセージ

最後は日本のために何かをしたいと思っています。 自分が日本人だというアイデンティティは不思議と年々強くなります。 でも今は、海外のやり方や視点を身につける時期だと認識しています。 インターネットは本来、人と人を繋ぐコミュニケーションの手段であり、 人を楽しく笑顔にするもの、人の生活を豊かにするものなのだと思います。 日々の仕事に一生懸命になると、そういう大きなことをつい忘れがちになりますので、 いつも心に留めています。 リモートワークや日米間のコミュニケーションなどで、今、 人生の中で最もインターネットの恩恵を受けている時期だと思います。 「ありがとう」と言いたい。 これからもずっとインターネットの仕事に携われるように、頑張りたいです。

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