ニュースレターNo.76/2020年11月発行
インターネットことはじめ
SNS~人と人のつながり~
1. 世界のSNS
SNSはSocial Networking Serviceの略で、 人と人とのつながりをサポートし、 社会的ネットワーク構築の手助けをするサービスです。 この定義だといにしえの公開掲示板やパソコン通信も含まれそうですが、 実際には個人を特定しやすくするために会員制の登録サイトの形態をとっているものがほとんどです。
世界的に見ると、SNSとして最も初期に有名になったのは、 2002年にサービスを開始したFriendster※1です。 個々のメンバー同士で写真やコメントの共有が可能でした。 その後英語圏では2003年にLinkedIn※2とMySpace※3、 2004年にFacebook※4が続きます。 ただ、これらのサービスは当初英語のみのサポートだったため、 日本ではあまり流行しませんでした。
2. 日本のSNS
日本においてSNSの先駆けとなったのは、 1996年ごろに開設された「この指とまれ!※5」と目されます。 といっても当時SNSという概念は無く、 同窓会をサポートするサイトとして始まりました。 2000年代に入るとSNSを自称するサイトも登場し始めて、 2004年にGREE※6とmixi※7が相次いでオープンします。 GREEと言えばゲームのイメージが強いですが、 元々は交流の場を提供するSNSとしてスタートしているのです。
3. SNSの普及
世界ではFriendsterから始まったSNSは、 やがてMySpaceからFacebookへと移り変わり、 2000年代後半以降はFacebook一人勝ちの状態になりました。 2011年には鳴り物入りでGoogle+がスタートしますが、 2019年にサービスが終了しています。
日本においては英語の壁が厚かったこともあり、 2000年代はGREEとmixiが普及しました。 mixiの「あしあと」など、独自の機能も開発されています。 その後2008年にFacebookが日本語化されたことで、 日本においても事実上の世界標準となったFacebookを利用する日本人が増え始めました。
4. リアルタイムへのシフト
現在でもFacebookは一定の支持を得ていますが、 2006年にサービスを開始したTwitter※8は、 短い発言を特定多数のユーザー間でほぼリアルタイムに共有するという、 新しい体験を提供しました。 Twitter社自身は「コミュニケーションネットワークであって、SNSではない」と定義していますが、 一般的にはSNSの一種として捉えられています。
Twitterは基本テキストベースで始まりましたが、 最初から写真や動画をメインにしたInstagram、TikTok、 Pinterestといったサービスもあります。 こちらはFacebookよりはリアルタイムで、 Twitterよりはノンリアルタイムといった位置づけで、 世界で数億人以上が使うサービスに成長しました。
またチャットサービスであるLINE、WeChat、 WhasAppなどもSNSと呼ばれることがあります。 これらはFaceboookやTwitterよりもプライベートなコミュニケーションのためのサービスですが、 会話することを主目的としているので、 リアルタイム性は最も高くなっています。
5. オープン化の試み
元々のインターネットは、 大規模サービスのサーバはどこかにマスターがあるわけではなく、 オープンな標準に則った互いに対等なサーバが多数林立、 協調するスタイルが主流でした。 メールやネットニュース、Webなどがその例です。 これに対してSNSは、たとえWeb上でとはいえ、非公開独自仕様、 1社独占一極集中型のサーバになっていることがほとんどです。 例えばFacebookはFacebook社のみのサービスですし、 TwitterはTwitter社のみのサービスです。
一方で、オープンなSNSという動きもあります。 代表的なところではOpenPNE※9、 Mastodon※10が挙げられます。 OpenPNEは、いわゆるオープンソース化されたSNSサーバソフトウェアです。 OpenPNEを使えば、誰でもSNSを開設できます。
Mastodonは2016年に開発された、 Twitterに似たミニブログサービスを提供するソフトウェアです。 オープンソースとして開発されており、誰でも動かすことができます。 そして、複数のMastodonサーバの間で投稿を共有する、 連合・分散型のSNSを構築できます。 アカウントは特定のサーバに作る必要がありますが、サーバ間での引っ越しが可能です。 そのため、個々のサーバーが停止した場合も、 サービス全体が停止しないように運用することができます。
インターネットの後ろには人々の活動があり、 インターネットはネットワーク同士のつながりによって、 その活動を支えてきました。 この点においてSNSは、インターネットとの親和性が高いサービスであるとも言えます。 SNSは今後も、 ネットワークやサービスの形態を変化させながら「人と人のつながりをサポートし、 社会的ネットワークを構築できるようにするためのサービス」であり続けることでしょう。