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ニュースレターNo.77/2021年3月発行

JPNIC会員 企業紹介

「会員企業紹介」は、JPNIC会員の、 興味深い事業内容・サービス・人物などを紹介するコーナーです。

地域やコミュニティとの接点を大切にし、
グループの事業を支える存在
~5Gやeスポーツの分野にも挑戦するユニークな取り組みも~
ロゴ:NIS+
イメージ:タイトルバック

株式会社コミュニティネットワークセンター

住所 〒461-0005 愛知県名古屋市東区東桜一丁目3番10号東桜第一ビル10階
設立 2000年2月2日
資本金 2億9,308万円
代表者 代表取締役社長 髙原 昌宏
従業員数 94名(2021年3月末時点)
URL https://www.cnci.co.jp/
事業内容 https://www.cnci.co.jp/company/
■デジタル配信サービス
■通信サービス
■共同調達
■ソリューション
■ケーブルテレビ事業者向け業務支援サービス

今回は2000年2月の設立で創立から21年を迎えた、 株式会社コミュニティネットワークセンターを取材しました。 同社は2008年からは東海地域のCATVを束ねる統括運営会社となり、 現在は11社を傘下に抱えています。

CATV各社に対する企画や技術の支援、一括調達などによって、 コストを抑えつつ質の高いサービスを提供する手助けをするのが同社の役割ですが、 わずか100名ほどの社員がそれらのサービスを支えているということで、 まさに少数精鋭という言葉がぴったりという雰囲気です。

今回も新型コロナウイルス感染症を巡る状況から、リモートによる取材となりましたが、 当日は新しい技術に積極的に取り組まれている同社らしく、 さまざまなお話をたくさん伺うことができました。

まとまることでスケールメリットを発揮

◎まずは貴社の成り立ちについて教えてください。

川口:当社の前身は、2000年2月に設立された、 株式会社東海デジタルネットワークセンターです。 その後、 2008年7月1日に現在の社名である株式会社コミュニティネットワークセンターへと商号を変更しました。 この時に、東海地域のケーブルテレビ(CATV) 8社を子会社とする、持ち株会社となりました。

その背景には、地上波放送のデジタル化があります。 加えて、大手事業者が放送事業に本格参入するようになり、 放送と通信の垣根が低くなったことで競争が激化してきました。 消費者にとっては選択肢が増えるという嬉しい状況ですが、 我々としてはCATVの価値を維持していくための方策を考えました。 当時は、トヨタ系、中部電力系、地元企業系といくつかのCATVが存在していたのですが、 大手事業者に対抗するためには連携強化が必要という共通認識を持つに至り、 トヨタ系と中部電力系の両グループを統合する形となりました。

当初は8社でスタートしたのですが、 2012年に名古屋市内をエリアに持つスターキャット・ケーブルネットワーク株式会社が、 2013年には子会社であるひまわりネットワーク株式会社を通じて株式会社ケーブルテレビ可児がグループ入りしました。 その後、2016年には知多半島ケーブルネットワーク株式会社が加わり、 現在はグループ11社をまとめるケーブルテレビ統括運営会社となっています。

写真:社内の様子

◎統括運営会社とはどういう役割を果たしていて、 傘下のCATVにはどういうメリットがあるのでしょうか?

川口:統括運営会社という性質上、 直接エンドユーザーとつながるのは各CATVの役割となり、 当社は自社およびグループの経営や営業支援、共同調達などを行う企画系の部門と、 技術的な支援などを行う技術部門の2本の大きな柱で事業展開を行っています。 一般的なCATVでは、局の中にすべての設備がありますが、 ひとまとめにできる共通部分は当社がやっています。 上位回線も我々が束ねることでスケールメリットを生かしています。 企画的な業務も同様です。 統括と名前は付いていますが、 どちらかと言うと統括よりもグループ会社を支援する役割の方が大きいです。

大日方:グループ局各社がまとまりトラフィックが増えることで、 CDNやクラウド事業者等のキャッシュサーバを置いてもらいやすくなるのもメリットですね。 東京-名古屋-大阪は100Gbps数本で接続していますが、 東京・大阪からコンテンツを取得するより、 名古屋に設置したキャッシュサーバから配信されると帯域の有効利用に加え、 遅延も少なくなり品質が向上します。 CNCIではCDN、動画配信やSNSなどのキャッシュサーバが置いてあります。 また、最近は海外IXとの接続にも力を入れていて、北米のAny2、 ヨーロッパのLINX (London Internet Exchange)などと接続することで、 海外トラフィックの最適化も強化しています。 インターネット以外でも、グループ局間は広域LANで接続されているので、 グループ局間のネットワークを活用したサービスを提供することができます。 例えば他の地域に遠征した高校野球の試合を、 地元ケーブルテレビのコミュニティチャンネルで配信をするなどの取り組みをしています。 また、ネットワークはリング構成となっており、 1ヶ所だけではなく複数箇所で障害が発生してもサービスに影響が出ないように、 プラスアルファの冗長化をしています。 これもグループ各社がまとまることによるメリットだと思っています。

金澤:当社に限らずCATV全般に言えることですが、 こういった小さい規模なのに、 これだけたくさんの技術を取り扱っている業種は無いと思います。 NTTがやっていることと同じことを、たかだか100人規模の会社がやっているんです。 当然、CATV局の中にはもっと規模の小さいところもありますが、 グループを構成してその中で技術をシェアすることで、 負担を抑えつつグループ全体で高い技術力を保持できています。

◎各CATV単独がやるよりも、 貴社がいることでより良いサービスが提供できるわけですね。 社員は何人ぐらいの方がいるのでしょうか?

川口:グループ全体としては1,000人以上いますが、 持ち株会社である当社の社員は100人程度です。 男女比は7:3ぐらいですが、若手だと半々ぐらいです。 統括運営会社ということでさまざまな業務があり、 1人1人に高いスキルが求められ、少数精鋭ということで業務に取り組んでいます。 また、社内でよく言っているのは「地域密着」です。 地域との接点を大事に、各CATVは単なる子会社ではなく、 それぞれの地域の特性を生かした運営を心がけています。 東海地域で市町村ごとにエリアを持っていて、エリアにより、 特性が違うところがあります。 例えば、大都市の名古屋市と工場などが多い豊田市や刈谷市では異なってきますし、 岐阜などに行くとまた雰囲気が変わってきます。 お客様のニーズ自体は大きくは変わりませんが、 行政やそれぞれのCATVの株主でもあったりする地元企業や行政とのつながりなどがあり、 「こういった分野をもっとやりたい」等、エリアごとに微妙な違いがあります。

金澤:また、企業理念にもあるように、お互い切磋琢磨していっています。 グループ共通で年1回満足度調査を行っていて、競合他社との比較だけではなく、 グループ11社も横並びでどこの評価が高いといったことが見えてきます。 元々異なる土壌を持つ各社がグループを構成していて微妙に方向性が違うこともあり、 簡単に全員一致とはいかないこともありますが、 そこは我々がグループの方向性を決めて主導していっています。

新技術を積極的に利用して、
自社の価値を高める取り組み

◎グループ各社への技術支援も主な業務とのことですが、 今力を入れている技術などありましたら教えてください。

ニコライ:大規模なシステムの運用を少人数で行うために、 仮想化技術を積極的に運用しています。 例えば、局間の高速回線を有効活用して、 VMware社のvSANを用いてデータセンターをまたいだ、 Active-Activeのストレッチクラスタ構成を国内で初めて導入しました。 仮想サーバを稼働中に別サイトに移行することができるので、 災害時だけでなく日常的な運用も大変楽になります。 他社で障害事例があったように、 無停電電源装置の入れ替えなど電源周りの作業は緊張を伴いますが、 動かしたまま問題なく作業が行えます。 現在は仮想サーバの利用拡大を進めていて、 事業用と社内用のサーバ設備はほとんど仮想化されています。 品質を維持するためには、自分達で技術をきちんと理解して、 障害発生時にベンダ依存ではなく自分たちで対応できることが重要です。 当社の強みはグループ全社をつなぐ高速ネットワークですので、 それを有効活用しつつ、サーバ設備も可用性の高い構成を作り上げています。

◎なるほど、少人数で質の高いサービスを提供するためなんですね。 ローカル5Gの実証実験も、同じような目的なのでしょうか?

金澤:5Gが登場した時から注目していて、とにかくやってみよう、 作って触ってみようと、免許を2020年6月に取得しました。 当時、5Gのサービスはどれも実証実験でまだ実用化はされていない状況で、 我々はFWA (Fixed Wireless Access)に注目しました。 光ファイバーが通せない古い集合住宅などで、 無線を利用したサービスを提供しようというものです。 ただ、実験すると600Mbpsぐらいの速度が出ることは確認できたのですが、 利用していたのがミリ波の28GHz帯ということもあり、 200mぐらいしか電波が届きませんでした。 しかも設備が高く、サービス料金とコストを考えた時に事業として成立しないということで、 2021年1月に免許を廃止して、一旦止めることにしました。 ただ、これで終わりではなく、 今度はミリ波ではなくSub6というもう少し低い4.7GHz帯を使ったローカル5Gに取り組もうと、 今は実験に使う設備などを探しているところです。 いろいろ無線には取り組んできていますが、これまではずっと細々とやってきました 。ただ、やはりこれからは無線技術はどうしても必要で、 事業化していけるように技術本部の中に無線グループを作り、 あらためて力を入れ始めたところです。

画面:リモート取材

◎無線にあらためて力を入れられるのは、 どういうお考えからでしょうか?

金澤:危機感ですね。 我々は10Gbpsのサービスを固定回線で提供していますが、 理論上は5Gでも同じ速度が出ます。 有線と同じことが無線でもできるようになってきているので、 きっちり対応していく必要があります。 今はスマホになって、 固定回線に加入しない人が若い世代に特に多くなっています。 そうなると、我々としては手段を多様化させて、 お客様とつながり続けていかないといけません。 ドコモやau、ソフトバンク、楽天とある中で、 そういったところとは調達力が違いますし社内でも賛否はありますが、 やはり避けて通れないと考えています。 実証実験も、当初から事業化は難しそうだという見込みもあったのですが、 それでもやってみると企業や大学の方が当社が面白いことをやっていると話を聞いてくれて、 いろいろパイプを作ることもできました。 なので、やはりやってみて良かったと思っています。

◎新しい取り組みということですと、 貴社はeスポーツに参入されているそうですが、 どのようないきさつがあったのでしょうか?

金澤:元々、名古屋にBLUE BEESというeスポーツのプロチームがあって、 2020年1月に業務提携をしたのですが、2020年10月にはそこから一歩踏み込んで、 共同で「CNCI BLUE BEES」というチームを作りました。 eスポーツではゲームタイトルごとにリーグがあるのですが、 我々は「VALORANT」と「League of Legends (LoL)」という二つのタイトルで活動しています。 オンラインでいろいろできるeスポーツはコロナ禍でのステイホームとも相性が良いですし、 若年層への知名度をアップという狙いもあります。 イベントに賞金を出すという方法もありますが、我々は選手を雇用する方を選びました。 大手企業が野球チームを持っているようなもので、 選手が活躍すれば賞金を稼いできてくれたり、 グッズ展開やランセンスビジネスにつながったりするかもしれません。 まだどうなるのかなというところですが、この先を楽しみにしています。

◎いまだ厳しい状況が続きますが、 貴社へのコロナ禍の影響はいかがでしょうか?

金澤:元々、 将来のテレワーク推進を見込んでフリーアドレスを導入していたのですが、 そこにコロナ禍がやってきて、 突貫でテレワーク環境を構築したという感じです。 当社では、派遣社員も含めて全員がテレワークを可能にしています。 もちろん、テレワークならではの課題もいろいろありますが、 一つずつ潰しながらやっていっています。

写真:受付

大日方:トラフィックも大きく増えました。 2020年3月の休校要請で増え、4月の緊急事態宣言でぐっと増え、 宣言解除で一旦は減ったのですが、 お盆に愛知県独自の宣言が出されたことによってまた戻ってしまったという感じです。 ただ、2021年1月の2回目の宣言下では、前回ほどトラフィックの変化がありません。 これは、テレワーク環境の普及が進んだからかもしれません。 つまり、前回は自宅で仕事をする環境が整っていなかったため単に自宅待機で動画視聴など をしていた人が、 今回はリモートで仕事ができているという可能性です。 動画視聴などと違い、テレワークだとそこまでトラフィックが増えない傾向があります。 ただ、Web会議などは品質に関わってきますので、 そこは注視して最適に流れるようにしています。 インターネットはベストエフォートの世界ではありますが、 Web会議やオンライン授業など使われ方が変わってきていて、 ある程度品質も意識する必要があります。 一方で、ゲームのアップデート配信などでトラフィックのスパイクが頻繁に起こるようになり、 以前とは傾向が異なってきたことを強く感じています。

ニコライ:そういった背景もあり、 我々はイベントやユーザ会等を通して他の通信事業者との情報連携を大事にしています。 JPAAWG (Japan Anti-Abuse Working Group)やInternet WeekのBoF、JANOG、DNS Summer Dayなどに積極的に参加しています。

インターネットは生活に不可欠な、
そして彩りを与えるもの

◎Internet Weekの名前が出ましたが、 JPNICへのご意見やIPv4/IPv6アドレス関連で お困りごとなど何かありますでしょうか?

大日方:Internet Weekには毎年参加しています。 メインセッションの他にピアリングBoFなどにも参加していますが、 オンラインではできないコミュニケーションなどもあり、 参加にメリットを感じています。 また、2017年には名古屋でInternet Weekショーケースが開催されましたが、 このような他の地域での開催もありがたいと感じています。

IPアドレスに関しては、比較的大きなCATVではIPv6対応を行っていますが、 すべてのコンテンツのIPv6対応という問題もあるのでキャリアグレードNAT (CGN)も活用しています。 小さなCATVではCGNでの対応が難しいところなどもありますが、 そこは移転で対応したり、 グループ内の他社で浮いたアドレスを融通したりして対応しています。 移転の場合は、当社が仕入れて、グループ各社に使ってもらうこともあります。 この辺りは、グループを構成しているメリットでしょうか。 ただ、移転市場ではIPアドレスの値段が1アドレスあたり3,000円ぐらいにまで値上がりしてきていて、 その辺りは少し気になっています。

◎ご意見ありがとうございます。 最後になりますが、あなたにとって「インターネット」とは?

川口:あらためて考えてみて、 私個人にとっては食事みたいなものかなと思い至りました。 最初は空気みたいな存在かとも思ったんですが、 生きるために必要な点は同じなものの、 朝と昼は普通に食事を摂るけれど夕食はお酒を飲みながらちょっと楽しくといった感じで、 私の活力の素になってもいます。 インターネットには仕事で直接関わってはいますが、 家に帰るとまたそれとは違った形で、 子供とゲームをやったり動画を視聴したりといった形で触れています。

金澤:もう今の川口さんの話で良いんじゃないかと思いましたが(笑)、 私にとってはライフラインですかね。 電気やガス、水道と同じレベルで、 もうインターネットは無いと生活できないものという位置付けです。

ニコライ:私にとっては道路みたいなものでしょうか。 スーパーハイウェイ構想という言葉がありましたが、 自分を世界やいろいろな情報、エンタテイメントといったものとつなぐための道です。 インターネットから切断されたら、 止まってしまったら生死に関わるほどではありませんが、 昔と違ってもう私の生き方がインターネットに大きく依存してきています。 世界と私をつなぐ、重要な役割を果たすものですね。

大日方:エンジニアの立場から言うと、 インターネットは使われ方がかなり変わってきて、 重要な社会インフラになると同時に、ビジネスや教育、 エンタテイメントなどすべてのところで必要不可欠なものになってきています。 ただ、インターネットには絶対的な管理者は不在で、 各ネットワークが自律・分散・協調の下で運用されています。 それゆえに我々が不安定にさせてしまうと世界全体に影響が及びます。 そういった意味では、我々のような小さなISPでも責任は重大で、 インターネットに関わるエンジニアとして、 またそこから利益をもらっている企業の一員としても、 インターネットを安定的に運用し、 また継続的に成長、発展させていくことが責務だと考えています。

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