3. 最新技術情報
アドレス、ドメイン名の割り当て、JPNIC登録フォームの記入方法、 ドメインネームサーバの設定手続きについて説明します。 申請手続きなどは、適宜変更されますので、申請の際には、 最新の情報の入手をお願いします。 入手方法については、4.3節のJPNIC FAQのQ2/A2を参照して下さい。
JPNICニュースレターNo.7から3.1, 3.3, 3.4については、 各種変更があります。
○文書の有効期限について
IPアドレスやドメイン名の割当等に関する状況は日々変化しつつあり、 それに応じてJPNICの文書に修正が加えられる頻度が比較的多くなってしまっています。 公開文書に記されている最終更新の日付と有効期限は、 業務委任会員が委任業務を行なう際や、 一般の申請者が申請等を行なう際に、 必ず最新の文書を参照して頂けるようにするために設けられたものです。
最終更新の日付はその文書に変更が加えられて有効になった日付を示しています。 有効期限の日付はその文書が有効である期限を示しています。 有効期限迄にその文書に変更が加えられることが無かった場合には、 有効期限は自動的に1ヶ月更新されます。
委任業務を行なう際や、割当申請等を行なう際には必ず、 文書の有効期限を確認のうえ、 もし手持ちの文書の有効期限が切れているような場合には、 再度最新の文書をJPNICからご入手頂くようにお願いします。
3.1. IPアドレスの割当に関するガイド
IPアドレス/AS番号割当検討部会
最終更新 1996年12月18日
有効期限 1997年 3月31日
(ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/ipaddress/ip-addr-guide.txt)
0. 本文書について
この文書は、1997年 3月 1日より有効となります。
本文書は、 国内でIPアドレス(以下「アドレス」)の割当が必要になった場合、 何を考慮しなければならないか、また、どこに対して、 どのようにアドレスの申請を行えばよいのかを解説したものです。
まず本文書をご一読のうえ、 他のアドレス割当に関する一連のJPNICドキュメントをお読み下さい。
本文書では、 具体的なアドレス割当の申請手続きについては一切述べていません。 これについては第4節以下で提示される文書に詳しい解説がなされていますので、 それらの文書を参照してください。
なお、本文書に記述された内容が効力を持つのは、 本文書冒頭に示された有効期限までの期間です。 有効期限を過ぎた場合には、本文書の改定版を参照して下さい。 本文書で解説するのは、 1996年11月の時点でのアドレスの管理と割当に関するものであり、 文書中で「現在」とあるのは、 1996年11月を指すものとします。 本文書および関連する文書を読む際には、 有効期限が過ぎていないことを確認して下さい。
0.1 本文書の構成
本文書の構成は以下の通りです。
- 第1節「インターネットレジストリ」
現在のアドレス割当のシステムについての解説
- 第2節「アドレスの割当と運用に関する問題とその解決策」
現在発生しているアドレスの割当や運用にかかわる諸問題についての解説
- 第3節「割当基準」
現在のアドレス割当基準の解説
- 第4節以降
アドレスの申請をするために次に読むべき文書の提示
1. インターネットレジストリ
インターネット上で何らかのサービスを提供したり、 またインターネットに接続してそれらのサービスを利用したりするためには、 ドメイン名、IPアドレス、 AS番号などに代表される「名前」や「番号」を、 他の利用者との重複の無いように使用する必要があります。 これらの「名前」や「番号」は、 現在利用されているプロトコル上の制約などにより、 無限に存在し得るものではありません。 この意味で、これらの「名前」や「番号」は、 インターネットの利用者間で広く共有される「資源」とみなすことができます。
インターネットレジストリ(IR: Internet Registry)とは、 この有限な「資源」を有効に活用し、 インターネット全体を円滑に運営していくために、 これらの「資源」の管理や、 インターネット接続組織に対する割当を行なうための機構です。 また、その果たす機能のことを「レジストリサービス」と言うことがあります。 日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は、 日本国内でインターネットサービスを運営する組織や、 それらのサービスを利用する組織に対して、 このインターネットレジストリサービスを提供する組織です。
インターネットレジストリの構成や実際の「資源」の割当方式は、 取り扱う「資源」によって異なります。 これはそれぞれの「資源」の持つ性質によるものです。 また同じ「資源」であっても、 時代の要請に応じてその管理や割当の方式は変化します。
1.1 アドレスの階層的割当と管理
現在インターネットレジストリは階層的に構成されており、 それに応じた階層的なアドレスの割当と管理が行なわれています。
このインターネットレジストリの階層は、上位層から順に、IANA、 地域IR、ローカルIRにより構成されており、 それぞれの果たす役割は以下のようになります。
- IANA (Internet Assigned Numbers Authority)は、 IPアドレスを含むインターネット上で用いられるすべての番号の割当を担当する機関です。 IANAは必要に応じてIPアドレス空間の一部を地域IRに対して割当てます。
- 地域IR (Regional IR)は、
大陸などの比較的大きな地理的範囲でのレジストリサービスを行なっており、
現在、InterNIC、RIPE NCC、APNICの3つの地域IRが機能しています。
InterNICは北米地域を、RIPE NCCはヨーロッパを、APNICは、
アジア・環太平洋地域をそれぞれ管轄しています。
これらのいずれにも属さない地域に関しては、
これらのうち地理的に最も近い範囲を担当する地域IRの管轄となります。
地域IRは、IANAより割当を受けたIPアドレスを、
その地域のローカルIRやインターネットサービスプロバイダ(ISP)、
および、インターネット接続組織に対して割り当てます。
- ローカルIR(Local IR)は、 通常は国単位で作られるレジストリで、 いずれかの地域IRの管理下に置かれています。 ローカルIRはその管轄の地域IRからIPアドレスの割当を受け、 それぞれの管轄する国の中でのIPアドレスの管理と割当を担当しています。
1.2 JPNICの位置付けと果たす機能
JPNICは、アジア・環太平洋地域の地域IRであるAPNICの管理下で、 日本国内でのIPアドレスのレジストリサービスを行なうローカルIRです。
ただし、JPNICによるIPアドレスのレジストリの機能の一部は、 JPNIC会員ネットワーク(以下「会員ネットワーク」)に対して委任されています。 現在日本国内でのアドレスの割当は、 JPNICの管理下においてそれらの会員ネットワークにより行なわれています。 それ以外の形でJPNICが管理しているアドレスの割当が行われることはありません。 これには、一旦割り当てられてしまったアドレスの再割り当ても含まれます。
2. アドレスの割当と運用に関する問題とその解決策
現在用いられているバージョン4のインターネットプロトコル(以下「IPプロトコル」)では、 アドレスは32ビットの数値により表現されています。 したがって、32ビットで表現可能な2の32乗通りの数値を世界規模のインターネット全体でうまく共有し利用していかなければなりません。 また、アドレスの割当は、 インターネット上でのルーティングサービスと深い関わりを持っています。 インターネットの規模拡張性を維持しながら効率の良いルーティングを行うためには、 それを可能にするようなアドレスの割当を行う事が不可欠となります。
しかし、近年インターネットが急激に発展し、 そこに接続される組織が爆発的に増加した事により、 現在の32ビットのインターネットアドレスという「資源」が近い将来枯渇してしまうことが予測されています。 一方、インターネットの中核にあるルータのルーティングテーブルも急激に増大しており、 このままこれらのルータのルーティングテーブルが増大を続ければ、 現在のルータ技術のままでは、 近い将来これらの大規模なルーティングテーブルを管理できなくなり、 インターネットが全体の到達可能性を保持したまま成長していく事が困難になるだろうことも予測されています。
これらの問題を解決するためにいくつかの方策や新しい考え方が過去数年間に導入されています。 以下ではそれらについて簡単に解説して行きます。
2.1 Classless Inter-Domain Routing (CIDR)
上記の問題を招くに至ったアドレス割当の問題点には以下のものがあります。
a. 組織に割り当てられるアドレス空間の大きさは、 オクテット(8ビット)単位で決められていました。 これはいわゆるクラスA(3オクテット分の大きさを持つアドレス)、 クラスB(2オクテット分の大きさを持つアドレス)、 クラスC(1オクテット分の大きさを持つアドレス)の3つのクラスに対応します。 クラスCの空間(8ビットの大きさの空間)では足らない組織に対しては、 クラスBの空間(16ビットの大きさの空間)の割当が行われいました。 このため、全体としてアドレスの利用効率が低下するという問題が発生していました。
b. アドレス割当は、 ネットワークのトポロジーを考慮せずに行われてきました。 これにより、経路情報を階層的に集成することができず、 インターネットに接続する組織が増えれば増えるほどインターネット全体に伝搬する経路情報が増えてきました。
c. 経路数の増大につれて、 経路の不安定さが問題になってきました。 一つの経路がup/downすると、 その情報は世界中のインターネットのルータに伝達されますが、 その情報伝達に必要な帯域や、 経路を再計算するのに必要なルータのCPUなどといった資源が消費されます。 経路数が増大すると、 これらのオーバヘッドも無視できなくなってきました。
2.1.1 CIDRの意義
これらの問題を解決するために導入されたのがClassless Inter-Domain Routing(CIDR)と呼ばれるアドレスの割当方式と経路制御の方式です。
上記のaの方式に対してCIDRでは、 インターネットに接続される各組織に割り当てられるアドレス空間の大きさはビット単位で決められるようになりました。 これにより、旧来とられていたような、 8ビットの空間で足らない組織には16ビットの空間を割り当ててしまうような大雑把なやり方ではなく、 必要に応じて9ビットの空間や10ビットの空間を割り当てる事ができるようになり、 全体としてのアドレス利用効率を以前のやり方に比べて飛躍的に高めることができるようになりました。 また、組織の内部でも以前の方式では割り当てられた空間を固定長のサブネットに分割して運用することが一般的でしたが、 CIDRのもとでは、 必ずしもサブネット長は固定長である必要がなくなりましたので、 可能なかぎり可変長での運用(VLSM: Variable Length Subnet Masks)を行うことが要求されるようになります。 これにより、一つの組織の中でも割り当てられたアドレス空間の有効利用を図ることが可能になります。
また上記のビット単位でのアドレス空間の割当と、 1節で述べたような階層的な割当を同時に行うことにより、 たとえばある一つのプロバイダには16ビットのまとまった空間を割り当て、 そのプロバイダに接続される組織にはその16ビットの空間をさらに細かく分割した上で必要なビット数のアドレスを割り当てる、 ということが可能になります。 これにより一つのプロバイダに接続される組織に対してどのようなアドレス割当がされようと、 そのプロバイダ全体で利用されているアドレス空間は一つのまとまった16ビットの空間に集成(aggregate)されることになります。 したがってそのプロバイダから外部にアナウンスされる経路情報は理想的には一つに集成することが可能になり、 全体の経路情報の数を減らす事が出来ます。
CIDRに基づく経路の集成は、 インターネット全体の経路数を低減するということだけではなく、 経路の安定化という点でも大きく貢献します。 一つの集成された経路は、対応する個々の経路のup/downに関わらず、 一つでも有効な経路があれば、 集成された経路はアナウンスされ続けます。 そのため、経路の変動が覆い隠され、 経路変動に対応するために必要な資源を大幅に節約することができます。
もちろんこれらのビット単位でのアドレス空間の割当と階層的なアドレス割当および経路情報の集成は、 利用されるホストやルータのIPのソフトウェアや、 ルーティングプロトコルでサポートされていなければなりません。 現在ではほとんどのホストやルータベンダではCIDRをサポートするようになってきています。(参考文献[3]参照)
今後インターネットがこれまで同様のスピードで発展し続けていくためには、 CIDRに準拠したアドレスの割当と経路制御を推進して行く以外に現実的な解はないとされています。
このようなCIDRに頼るのではなく、 プロバイダが高速な回線と高性能のルータを導入すればすむのではないかという反論も見られます。 現在の状況だけを考えると確かにその通りですが、 現在のインターネットの種々のパラメータ(ユーザ数やホスト数、 ネットワーク数やトラフィックなど)は半年から一年で倍増していると言われています。 これは計算機の性能向上やメモリの集積密度の向上の速度を大きく上回っています。 従って、明日のインターネットが機能していくためには、 CIDRのようにアドレスや経路制御の効率を改善するような方式は不可欠であることをご理解下さい。
CIDRのもとでは、/の前半部分に、 割り当てたアドレススペースの先頭アドレス/の後半部分に、 ネットワークマスクのビット長を記述し、アドレス空間を表します。
例えば、202.0.0.0 - 202.255.255.255までのアドレス空間は、 202.0.0.0/8と表されます。 またこのように表されるひとまとまりのアドレス空間の事をプレフィクス(prefix)と呼びます。
CIDRに関するこれ以上の詳しい情報は参考文献[1]、 [2]を参照してください。
2.1.2 アドレスownershipの考え方とrenumberの必要性
CIDRの効果を最大限に引き出すためには、 アドレスの割当はできる限り階層的に行われる必要があります。 ところが前節でも述べたように、 CIDRが導入される以前のアドレス割当は、アドレスの利用効率や、 インターネットのトポロジを考慮したものではありませんので、 そのようなアドレスを利用している組織では、 できるかぎりCIDRの方式に準拠したアドレスに移行する事が要請されています。
また、一旦CIDRに準拠したアドレスの割当を受けた組織が、 プロバイダを変更した場合には、 以前のプロバイダから割当を受けていたアドレスを返却して、 新たに接続するプロバイダからアドレスの割当を受け直す必要があります。
つまりCIDRのもとでは、 アドレスは組織が恒久的に所有するものではなく、 インターネットに接続を持っている間だけ借り受けるものという考えが主流になってきています。 この考え方を受けて、 JPNICでも以前はアドレスの「取得」という表現をドキュメントの中でも取っていましたが、 現在はすべて「割当を受ける」という表現に変更されています。 (このアドレスの所有権の議論に関しては参考文献[5]に詳しい記述があります。)
この考え方にもとづけば、 ネットワークトポロジーの変更やプロバイダの変更に伴うアドレスの付け替え(renumber)は、 日常的に行われなければならないことになります。 このアドレスの付け替えに際してどのような点に気を配りながら作業を進めなければ行けないかの実務的なノウハウは、 現在IETFのPIER (Procedures for Internet/Enterprise Renumbering)というワーキンググループを中心に具体的な事例も含めてまとめる努力がなされています。 詳しくは参考文献[6]、[7]を参照してください。
2.2 不要なアドレスの返却
過去に割当を受けたけれども現在使っていないアドレスは、 そのアドレスの再利用を可能にするためにも、 プロバイダもしくはレジストリに対して返却を行う必要があります。 参考文献[8]を参照してください。
2.3 インターネットプロトコルバージョン6 (IPv6)
いくら効率の良いアドレスの利用を進めても現在の32ビット固定長のインターネットアドレスは将来枯渇してしまう可能性があります。 この問題については新しいバージョンのインターネットプロトコル(IPv6)による解決が期待されています。 IPv6では、 現在の32bitに比べて飛躍的に大きな128ビットのアドレス空間が定義されています。 IPv6に関しては、参考文献[10]、[11]等を参照してください。
ここで注意が必要なのは、 IPv6が利用可能になるまでにはまだかなりの時間がかかることが予想されており、 それまでは現在のIPv4のアドレスを節約しながら使い続ける必要があるということです。 また逆に言えば、少しでも長くIPv4を使い続けることは、 現在進められているIPv6の仕様設計、 ルータやホストでの実装、 IPv4からの移行方式の立案などに十分な時間が確保できることになり、 結果的に、 次世代のIPの体系としてより良いものを作り上げることが可能となるわけです。 このため、 少しでも長くIPv4のアドレス体系を用いたインターネットの利用が続けられるよう、 現在のインターネットの全ての利用者が努力してゆく必要があります。
3. 割当基準
本節では、 日本国内でアドレスの割当が行われる際の割当基準に付いて述べます。 なおこれらの割当基準は、RFC2050で述べられている内容や、 JPNICの上位レジストリであるAPNICや、 その他レジストリで現在採用されている割当基準をもとに定められたものです。 ここで述べる割当基準はあくまで現在のインターネットコミュニティにより妥当とみなされているものであり、 時代や情勢の変化によって、将来変更が加えられる可能性があります。
3.1 アドレス利用率
割り当てられるアドレスの大きさは、 申請されたホスト数とサブネット数に対して、 以下の2つの条件をともに満たすように決められます。
a) 割り当て直後に 25% の利用率
b) 一年以内に 50% の利用率
ここでの利用率は、
割り当てられた空間の中からホスト等に割り当てたアドレス数の合計 利用率 = -------------------------------------------------------------- x 100 割り当てられたアドレス空間の大きさ - サブネット数 x 2
により計算されるものとします。 また a) の割り当て直後とは、 アドレスが割り当てられた日から半年以内を指すものとします。
これらの利用率に関しては、 アドレスの申請時に根拠のある予測を示さなければなりません。 また、この利用率に照らし合わせた結果、 割り当てられるアドレス空間が/24よりも長いプレフィクスになることもあり得ます。 また、詳細な理由を提示しない限り、 機器が対応していないことによる例外措置は適用されなくなります。 アドレスの割当は、VLSMが実装されているか、 実装予定であることを仮定して行われます。 さらにこの利用率の計算は、 基本的にはそれまでにその組織に割り当てられているIPアドレス全体に対して行なわれます。
申請者はアドレスの申請に際して、 利用率の計算のために具体的なネットワーク構築計画を提出することが必要になります。
また、 過去に割当を受けたアドレスに関しても今後できるかぎり現行の基準に照合して、 効率的に運用されていることが望まれます。 とくにCIDR以前に割り当てられたアドレスは、 経路情報の集成効果が期待できないアドレスですから、 CIDRアドレスにrenumberすることがインターネット全体の寿命を伸ばすことになります。 これがひいてはインターネットを利用するうえでの自己の利益にも繋がるということをぜひご一考下さい。
なお、 業務委任会員からCIDRアドレスの割当を受ける場合の利用率を計算する際にすでに割り当てられているアドレスの経路情報をその業務委任会員経由で外部にアナウンスしない場合に限り、 そのアドレスが割り当てられているホストを、 ホスト数から除外することができます。
3.2. 割当を受ける必要の無い場合(プライベートアドレスの利用)
インターネットに接続を持たないネットワークでは、 一般的にIPアドレスの割当を受ける必要はありません。 特にこのような場合にアドレスの割当を受けることなしに使用できるように、 特別なアドレスがRFC1918によって予約されています。(参考文献[9])
RFC1918によって、予約されているアドレスは以下の通りです:
10.0.0.0 -- 10.255.255.255
172.16.0.0 -- 172.31.255.255
192.168.0.0 -- 192.168.255.255
ただしこれらのアドレスはインターネット上の経路制御の対象にはならない点に注意してください。 つまり、これらのアドレスを持つホストは、 インターネットには直接接続できないということです。
以上のような状況、 およびインターネットに対するセキュリティ問題を回避するための典型的な方法として、 組織内部のインターネットから直接接続されない部分にはRFC1918に示されているアドレスを用い、 インターネットから直接接続可能な、 いわゆる防火壁(firewall)の部分にはプロバイダから割り当てられたアドレスを用いるという方法もあります。 詳しい方法については、接続に際して、 プロバイダに相談することをお勧めします。
4. IPアドレスの割当申請
JPNICは、InterNIC/APNICと協調して、 管理を委任されたアドレス空間全体の割当に責任を負います。 割当てられたプレフィクスで表現される空間に含まれる個々のアドレスの管理は、 その空間を割当られた組織にさらに委任されます。
現在JPNICは、 会員ネットワークのうち一定の条件を満たすものに対してのみアドレス空間の委任を行っています。
4.1 CIDRアドレスの割当
プロバイダレベルでの経路の集成を効率良く進めていくためには、 各プロバイダに接続される組織に対してどのようにIPアドレスを割り当てるかということが重要になります。 接続されるプロバイダを意識したIPアドレスの割当を円滑に行うために、 APNICのような地域レジストリやJPNICのようなローカルレジストリは、 プロバイダに集成可能なアドレス空間をあらかじめ割り当て、 各組織は、 接続されるプロバイダのアドレス空間の中から必要な大きさのプレフィクスの割当を受ける、 という方式が採用されています。
JPNICでも、 このプロバイダレベルでの経路の集成を推進するためにアドレス割当業務委任を1995年7月1日より開始しました。 これは、ある程度の大きさの集成可能なアドレス空間を会員ネットワークに対してあらかじめ割り当て、 その会員ネットワークに接続される組織からの申請に対するアドレスの割当業務をその会員ネットワークに委任するというものです。
このような会員ネットワークが割当を行うアドレスは、 3節に述べたCIDRに準拠したアドレス割当となり、 このようなアドレス全体をCIDRアドレスと呼びます。
現在、 JPNICから委任を受けている会員ネットワーク(以下「業務委任会員」) とそのアドレス申請窓口の一覧は、 次の文書に記されています。
「IPアドレスブロックリスト」
(ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/ipaddress/address-block-list.txt)
これらの業務委任会員に接続を予定している場合は、 接続時にその業務委任会員に割当が委任されたアドレス空間の中からアドレスの割当を受けることになります。 JPNICが直接割当を行うことはありません。
したがって、 CIDRアドレス割当の申請はいずれかの業務委任会員に対して行なう必要があります。 アドレスの申請用紙等は、業務委任会員によって異なります。 アドレス割当に関する技術的なコンサルテーションを受けたり、 申請手続きを行ったりする際に、 当該業務委任会員に問い合わせてください。
会員ネットワークがアドレス割当の業務委任を受ける方法については、
「IPアドレス割当業務委任の申請手続きについて」
(ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/ipaddress/ip-addr-delegation-request.txt)
を参照して下さい。
またこれまで、 IPアドレス割当業務委任を受ける為の技術的条件は満たしているが、 何らかの理由で手数料徴収代行業務を実施できない会員ネットワークに対しては、 特別措置としてJPNIC側でその会員ネットワークに接続される組織のためのアドレスブロックを予約してきました。 このようなIPアドレスブロック予約会員に接続される際にもCIDRアドレスの割当を受けることができます。
IPアドレスブロック予約会員ネットワークに接続を行う際にアドレスの割当が必要な場合には、 接続する予約会員にご相談して下さい。
どの会員ネットワークがアドレスブロック予約会員であるかは、 上記の「IPアドレスブロックリスト」を参照して下さい。
4.2 非CIDRアドレスの割当
業務委任会員に割り当てられた空間以外から割り当てられるアドレスは全て非CIDRアドレスと呼ばれます。 これらのアドレスは、 CIDRに準拠して階層的に割り当てられたものではありませんので、 アドレス空間の有効利用や、 効率的な経路制御には寄与できないアドレスということができ、 2節で述べたような現在のインターネットが直面している問題を解決するためには役立たないものです。
しかし、極めて限られた場合においては、 非CIDRアドレスの割当を受けることが認められる場合があります。 このような場合のアドレス割当申請については、 以下の文書を参照してください。
「IPアドレス割当申請に付いて(非CIDRアドレス)」
(ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/ipaddress/ip-addr-noncidr.txt)
5. IPアドレス割当に関する情報について
JPNIC及びInterNIC/APNICは、アドレスの割当が行われた場合には、 申請書に記入された事項のうち、ホスト数、サブネット数、 インターネット接続予定、アドレス割当詳細情報、 備考欄以外の全ての情報を、 それぞれが管理するデータベースに登録し管理しています。 JPNICが管理するデータベース(以下「JPNICデータベース」)に登録された情報のうち、 一般的なネットワーク管理上必要とみなされるものは、 JPNICの情報サービスの一部として公開されます。
なお、申請の際の申請者とのやりとりは、 申請者の許可なく公開されることはありません。 また、申請する際にはホスト数やサブネット数の現在値、 予測値は誠実に記入するものとし、 虚偽の申請に関しては割当を取り消すことがあります。
JPNICデータベースに登録される内容は、 JPNICが国内でのアドレス割当全体を管理して行くうえで必要な情報です。 したがって、 できるかぎりJPNICデータベースの内容を最新のものに保つように心がけて下さい。
割り当てられたアドレスに関してJPNICデータベースに登録されている内容に関して変更があった場合には、 すみやかに変更申請を行ってください。 この変更申請に関しては、以下の文書を参照してください。
「IPアドレスに関する変更申請について」
(ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/ipaddress/ip-addr-change.txt)
JPNICは、割当済みIPアドレスの技術連絡担当者に対して、 JPNICデータベースに登録されている情報の確認を行うことがあります。 技術連絡担当者に対する連絡が、 連続して2回以上取れなくなった場合、JPNICは、 IPアドレスの割当を解除することがありますので注意してください。
6. アドレスの返却
IPアドレスはインターネットの利用者の間で共有される有限な「資源」です。 もし以前に割当を受けたアドレスを何らかの理由で利用する必要がなくなった場合には、 そのアドレスの返却をお願いします。
アドレスを返却する場合の手続きは、
- JPNICから直接割当を受けたアドレスの返却申請は割当を受けた組織からJPNICに提出する。
- 業務委任会員から割当を受けたアドレスの返却申請は、当該業務委任会員に対して提出する。
となります。 申請書の記入の方法は、以下の文書を参照してください。
「IPアドレス返却申請について」
(ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/ipaddress/ip-addr-return.txt)
7. 質問、問合わせ
IPアドレスの割当て、管理に関する質問・問合わせは、 以下の方法で行うことができます。
電子メール: query@ip.nic.ad.jp 郵送: 〒101 東京都千代田区神田駿河台 2-9-18 萬水ビル 3F 日本ネットワークインフォメーションセンター IPアドレス/AS番号割当検討部会 FAX: 03-5684-7256
JPNICに対する質問、問い合わせの際には、 受付番号が発行されますので、 それ以降のJPNICとのやりとりには全てこの受付番号を記入したうえで行ってください。 (電子メイルによる場合は、Subject: 欄に受付番号を記入してください)。 また、FAXの場合は、1ページ目に、JPNICのIPアドレス割当グループ宛であることを明記してください。
参考文献
[1] Y. Rekhter, T. Li, "An Architecture for IP Address Allocation with CIDR", 09/24/1993. RFC1518 27p.
[2] V. Fuller, T. Li, J. Yu, K. Varadhan, "Classless Inter-Domain Routing (CIDR): an Address Assignment and Aggregation Strategy", 09/24/1993. RFC 1519. 24p.
[3] F. Baker, "Requirements for IP Version 4 Routers", 06/22/1995. RFC1812 175p.
[4] Y. Rekhter, "CIDR and Classful Routing", 08/04/1995. RFC1817 2p.
[5] Y. Rekhter, T. Li, "Implications of Varius Address Allocation Policies for Internet Routing", INTERNET DRAFT
[6] B. Carpenter, Y. Rekhter, "Renumbering Needs Work", 02/28/1996. RFC1900 4p.
[7] H. Berkowitz, P. Ferguson, W. Leland, P. Nesser, "Enterprise Renumbering: Experience and Information Solicitation", 02/28/1996. RFC1916 8p.
[8] P. Nesser, "An Appeal to the Internet Community to Return Unused IP Networks (Prefixes) to the IANA", 02/29/1996. RFC1917 10p.
[9] Y. Rekhter, R. Moskowitz, D. Karrenberg, G. de Groot, E. Lear, "Address Allocation for Private Internets", 02/29/1996. RFC1918 9p.
[10] S. Deering, R. Hinden, "Internet Protocol, Version 6 (IPv6) Specification", 01/04/1996. RFC1883 37p.
[11] Y. Rekhter, T. Li, "An Architecture for IPv6 Unicast Address Allocation", 01/04/1996. RFC1887 25p.
[12] K. Hubbard, M. Kosters, D. Conrad, D. Karrenberg, J. Postel, "INTERNET REGISTRY IP ALLOCATION GUIDELINES", 11/05/1996. RFC2050 13p.