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ニュースレターNo.81/2022年7月発行

インターネットことはじめ

GUI

アイコン:博士 1. GUIとCUI

イラスト:博士

2022年現在、パーソナルコンピュータ(以後PC)やスマートフォンでは、 画面に表示されたアイコンやメニューを、 タッチパネルやマウスなどで選択して操作する、 GUI (Graphical User Interface)が主流になっています。 GUIが使われるようになる前は、文字で命令を入力して、 その結果が文字で出力されるCUI (Character-based User Interface)が主流でした。 今回は、GUIの始まりを探ってみます。

アイコン:博士 2. スマートフォンを決定づけたのは

イラスト:ロボット

今や国民的な情報端末と化した感のあるスマートフォンは、キーボードの無い、 全面的なタッチパネルディスプレイによるGUIを基本としています。 こうした形を普及させたのは、なんといってもApple社のiPhoneでしょう。 米国では2007年、日本では2008年に発売されたiPhone以前にもスマートフォンはありましたが、 そのほとんどはハードウェアとしてのキーボードを備え、 タッチパネルディスプレイからの入力は副次的な扱いでした。 しかしiPhone以後、ハードウェアキーボードを備えるスマートフォンは、 ほぼ絶滅してしまいました。

なお、スマートフォン以前の1990年代から2000年代にかけては、 電子手帳やPDA (Personal Digital Assistant)と呼ばれる製品がありました。 こちらは群雄割拠の様相を呈しており、 完全にハードウェアキーボードに依存した文字ベースものから、 手書き文字を認識するタッチパネルディスプレイベースのものまで、 さまざまな製品がありました。 後者はほぼGUIといって差し支えなく、日本ではシャープ社のザウルス、 米国ではPalm社のPilotが代表的な製品です。

アイコン:博士3. PCでのGUI

2022年現在、PCにおいては、WindowsとmacOSがほぼ市場を二分しています。 Chrome OSやLinuxもありますが、いずれも当然のごとくGUIを備えています。

歴史的には、macOSの直接的な先祖であるMacintoshの発売が1984年で、 これが初めて商業的に成功したGUIと言われています。 一方、Windows 1.0の発売は1985年で、 Windowsが実用的になったのは1991年に発売された3.0以降です。 このことから、GUIについてはMacintoshがかなり先行していたと言えます。 このMacintoshの先駆けとなったのが同じApple社のLisaで、1983年に発売されています。

LisaのGUIはMacintoshと異なりアプリケーションを直接起動することはできず、 データアイコンをダブルクリックすると対応するアプリケーションが起動するスタイルでした。 ただ、Lisaは1万ドル弱であり、 高価と言われたMacintoshの2000ドル前後よりもさらに高額で、 動作も速くはなかったため、それほど普及しませんでした。

アイコン:博士4. PC以前のGUI

PC以前のGUIとして、Xerox社のStarというワークステーションが1981年に発売されています。 これは非エンジニア向けの事務作業用ワークステーションで、今日的なデスクトップ、 アイコンといった概念を生み出した画期的な機種であるとされています。 ただ、1台1万6000ドルで、 他にネットワークを経由したファイルサーバとプリンタを加えると5万ドルから10万ドルと高価だったため、 商業的には成功しませんでした。

Starの元になったのが、パロアルト研究所で1973年に稼働したAltoです。 これは2000台ほど生産された研究用の試作機で、 この上でさまざまなGUIが模索されました。 中でもSmalltalkが有名で、オーバーラップウインドウ、メニュー、コピー&ペースト、 複数フォントの混用といった機能をすべてオブジェクト指向でまとめた一種のOSでした。 これがLisaやMacintoshにも影響を与えたと言われた、 現代的なGUIの始まりの一つであるとされています。

Alto以前の試みとして、 スタンフォード研究所のオーグメンテーション研究センターから1968年にNLS (oN Line System)が発表されています。 これはハイパーテキストやハイパーリンク、コラボレーションツール、 WYSIWYG (What You See Is What You Get)などを含んだ壮大な構想で、 この時テキストベースながらマルチウインドウやマウスというGUIを構成する要素も提案されています。

変わったところでは1959年から1983年まで運用された、 SAGE (Semi-Automatic Ground Environment)というアメリカ空軍の半自動式防空管制システムがあります。 これはブラウン管ディスプレイと、 ライトガンというポインティングデバイスを組み合わせたユーザーインタフェースを持っており、 GUIの嚆矢と言われています。

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