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ニュースレターNo.81/2022年7月発行

Internet ♥ You No.16

株式会社日本レジストリサービス International Affairs Leader 高松 百合さん

タイトルバック
図:マイク JPドメイン名のレジストリ業務に携わり、 アジア太平洋地域のccTLDレジストリの連合組織であるAPTLD (Asia Pacific Top Level Domain Association)の理事も務められている、 株式会社日本レジストリサービス(JPRS)の高松百合(たかまつゆり)さんにお話を伺いました。 インターネットの世界に深く関わるようになったのは社会人になってからという高松さんですが、 どのようにして現在の道に進んだのか、ご自身の役割や業務にかける想いなどを語っていただきました。

高松さんがインターネットを知ったきっかけ

振り返ってみると、 私にとってはインターネット=パソコンというイメージでした。 20年くらい前に、父親が当時流行していたMacintoshを買ってきたのです。 その頃はダイヤルアップ接続だったので、インターネットを使うと電話が繋がらなくなり、 家族が揉めることがありました。 また、ゲームで遊んでいると、すぐにパソコンがフリーズしてしまったのですが、 直し方がわからず、コンセントを抜いていました(笑)あまりいい印象を持っていなかったと思います。

自分で意識してインターネットを使うようになったのは、 大学生になってからですが、調べ物をする程度でした。 その他には、Yahoo!メールを使ってゼミのメンバーと連絡を取ったり、 mixiで日記を書いたり、同じ趣味の人と繋がったりするために使っていました。 携帯電話は高校生の頃には持っていましたが、スマホを買ったのは社会人になってからです。

大学生の頃について

大学では、外国語学部に進学し、中国語専攻でした。 海外旅行が好きだったということがありましたが、 進学時点で何を専攻するのかを絞り切れていませんでした。 在学中に何か興味が出てきたら追加で学ぶことにし、 どんなことにも役に立つ知識を身につけるため、 外国語学部を選びました。 スペイン語と悩んだ末に中国語を選択したのは、書道を習っていたことと、 話す人口が多く今後より役立つのではないかと考えたからです。 ゼミでは中国経済に関連し、香港の物流などを学びました。

実のところ、授業はそこそこに、 ESS (English Speaking Society)でのサークル活動に力を入れていました。 ESSの活動は、 ディベート・スピーチ・ディスカッション・ドラマ・ガイドの五つのセクションに分かれていて、 私はディベートが好きでした。 ディベートの中でも、 即興性を求められるパーラメンタリーディベートに特に注力をしていました。 自分の立場に沿って意見を述べることと、勝負事として結論が出るのが、楽しかったです。 親の仕事の関係で、幼稚園の年少の頃まで2年間アメリカ合衆国に暮らしており、 日本に戻ってからは英会話教室に通っていたこともあり、 英語を話したり聞いたりすることは割と得意な方だったと思います。 英会話教室に通わせてくれた両親には、とても感謝しています。

大学卒業後の進路と、これまでのキャリアについて

進路を意識し始めたのは、大学2年生の終わりから3年生になった頃です。 大学卒業後は、地元と悩みましたが、 就職活動のしやすさを考慮して東京で就職することにしました。 広く世の中の役に立ち、せっかくなら勉強してきた外国語が活かせ、 専攻だった物流に関わることができるところとして、 海運系や運送会社などを志望していました。 そんな中で、JPRSのことを知ったのは、合同企業説明会です。 物流に関連する企業を見て、 その他に気になったところを見るというスタンスだったのですが、 JPRSがブースを開いていたのが目にとまったのです。 ブースでは社員の方とお話しできたのですが、事業内容の説明を受ける中で、 DNSの運用を24時間365日止めずに行っているなど、 日本のインターネットを支えている会社なんだなと思いました。 みんなのためになる仕事だと知ったことが、志望する決め手になりました。

JPRSには2011年に入社し、サービス開発部に配属されました。 サービス開発部は、JPRSの既存サービスの見直しや、新規サービスの企画を行う部署で、 ドメイン名の登録や審査を行う業務部と、 登録管理システムやDNSを担当する技術部門の間に立って取りまとめる役割でした。 いろいろな立場の人が一体となって案件を進める必要があるので、 上手く調整することの難しさを学びました。 この他、gTLDのポリシー改定の調査や、 さまざまな新gTLDの設立目的やサービス内容の調査なども担当しました。 入社当時はちょうどJPRSでgTLDの取り扱いを開始し、 2012年には新gTLDの募集が始まった頃でしたので、それに関連する業務です。 このような調査業務は、私自身が初めて経験することだったこともありますが、 gTLDに関するさまざまなポリシーが出来上がるまでのプロセスや、 手続きの流れを把握した上で、必要な対応を行うことに苦労しましたが、 また学びも多い仕事でした。

2012年に企画部に異動になり、対外的なプレゼンテーションも担当するようになりました。 最初は、自社サービスのプロモーションや、 ドメイン名レジストリを取り巻く法制度の海外への紹介といった内容でしたね。 異動後も引き続き動向調査業務を担当し、そこに国際的な調査も加わりました。 その関係で、ICANN等の国際会議に出席するようになりました。 ICANN会議に初めて参加したのは、2012年6月にチェコのプラハで開催された第44回会合です。 それ以降、ICANN報告会での発表も継続して行っています。 ICANN会議では、今でこそ担当者レベルの参加者もいますが、 私が初めて参加した頃は、CEOやCTOの経営層の方ばかりで、 ここで自分に何ができるのだろうと、緊張していたことを覚えています。

ICANN会議では、他のccTLDと最新動向などの、情報交換や議論を積極的に行っています。 最近のトピックとして、 DNSの利用やドメイン名の登録手続きに関連した悪用行為であるDNS Abuseについて、ccNSO(国コードドメイン名支持組織)として取り組めることはないか、 逆にやってはいけないことはないかという議論が行われています。 ccTLDは、gTLDと違って、各国政府の方針などと直結することが多いです。 全世界で統一の対応方法といったものは、 各国ccTLDの組織形態や取り巻く環境の違いがあるため作ることができないと考えられています。 私も社内で議論しながら、会議やメーリングリスト等で意見を述べています。 gTLDはルールが決まっていて何事も一律の側面がありますが、 ccTLDは必要な規律や整合性を保ちながら、 それぞれの国が特色を活かしたサービスができればいいなと思っています。

APTLDの理事としての活動について

2022年3月に、APTLDの理事に就任しました。 2022年1月に理事改選があったのですが、4枠に対して立候補者が3人で、 1枠が空席になっていたところ、現職の理事の方から推薦していただきました。 APTLDで継続的に発表を行っていたことや、 年齢が比較的若かったことも推薦いただいた理由だと感じています。 私のことを推薦してくれる人がいるならということで立候補し、 理事会内での投票を経て決まりました。

理事としての役割には、日々悪戦苦闘しているところです。 理事会内では、新鮮な目線で意見を述べることを期待されています。 JPRSは、APTLDの中では運用経験が豊富なccTLDレジストリであることも踏まえ、 さまざまな観点でのアドバイスが求められているのだと感じています。

APTLDの会員には、ccTLDの運用経験が少なく、登録数や支払う会費が少ないところがあります。 このような会員からは、 トレーニングやキャパシティ・ビルディングをやってほしいという要望があり、 これに応えていく必要があります。 一方で、運用経験が豊富で、登録数や会費が多い会員にも、 メリットを得られるようにしなければいけません。 そういった点は、現状会員の間では問題になってはいないのですが、課題と感じています。 日本のコミュニティの協力を得ながら、APTLDの活動に貢献していきたいです。

今後の目標について

将来的にも、グローバルなインターネットに仕事として関わっていくのが、 おもしろいかなと思っています。 一個人としては、人の話を聞き、いろいろな状況と自分の方針を踏まえた意見を述べ、 建設的な議論・提案ができる人、 自分が関わることで何かプラスになるような人になりたいです。 日本では、欧米と比べて議論に慣れていない人が多いと感じています。 欧米では、「ここはいいんだけど、こっちはこうすればよくなる」といった感じで、 次に繋げていけるような議論の進め方が自然にできています。 ESSで鍛えられた経験から、相手がどう思っているのか、 発言の裏にどういう考えがあるのかと、慮ることが大切だとは分かってはいるのですが、 まだまだ足りないなと感じています。

高松さんがプライベートではまっていること

お散歩です。 週末には必ずと言っていいほど、外を歩くようにしています。 外の空気やお花が好きで、季節を感じられるし、水場がある近所の公園で、 風に流される鴨などを見て癒やされています。

最後にインターネットに対する愛情のこもったメッセージをお願いします!

この場を借りて、みなさんに感謝を伝えてもいいですか? インターネットは、今となっては、すごくお世話になっている存在です。 インターネットは「水とか空気みたいな存在」と言われることがありますが、 あまり好きではありません。 水や空気は人間がコントロールできず、自然が動かしているものです。 でも、インターネットは人が作り、人が動かし、人が支えているものです。 そしてそのインターネットの上で、新しいサービスを作ったり、考えたりしている人がいます。 インターネットが水や空気と同じくらい自然に感じられているのは、 これら多くの人々による努力の結果です。 繋がって当たり前ではなく、繋がることができるのは本当に凄いことなんだということを、 世の中の多くの人に知ってもらえるといいなと思っています。

写真:CCNSO会合
▲2013年、南アフリカのダーバンで開催されたICANN47でのccNSO会合の様子
写真:CCNSO会合
▲2014年、イギリスのロンドンで開催されたICANN50でのccNSO会合の様子
写真:風に流されるカモ
▲暖かい週末で、お昼寝しているカモが風に流されていました
写真:散歩の友
▲早朝にコーヒーの入ったコップをもってよくお散歩に行きます

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