ニュースレターNo.84/2023年8月発行
JPNIC会員 企業紹介
「会員企業紹介」は、JPNIC会員の、 興味深い事業内容・サービス・人物などを紹介するコーナーです。
~誠実・正直・丁寧に、お客様に寄り添い最適なソリューションを追求~
株式会社グローバルネットコア
住所 | 〒950-0916 新潟県 新潟市 中央区 米山1丁目11番地11 昴ビル |
設立 | 1998年4月1日 |
資本金 | 2億2,000万円 |
代表者 | 田中 信一 |
従業員数 | 96名(2023年4月1日時点) |
URL | https://www.global-netcore.jp/ |
事業内容 |
https://www.nplus-net.jp/
▶ インフラサービス事業 ▶ Webソリューション事業 ▶ アウトソーシング事業 |
「会員企業紹介」は、JPNIC会員の、 興味深い事業内容・サービス・人物などを紹介するコーナーです。
今回は、1998年4月の創業から今年で25年目を迎えた、 株式会社グローバルネットコアを取材しました。 同社は株式会社新潟放送を中心としたBSNメディアホールディングスグループの一員で、 データセンターなどのインフラサービスと、 Web開発を中心としたWebソリューションの双方に強みを持ち、 その両者を巧みに組み合わせたサービスを展開されています。
今回の取材では、 自社の強みを上手く組み合わせて顧客にサービスを展開されているパッケージングの妙を示した事例のほか、 社名にも込められたインターネットのコアの部分でサービスを展開しつつ、 盤石な基盤を有しながらも慢心せずに、 常にお客様に寄り添う親身な姿勢を窺い知ることができました。
インターネットをコアに置いた事業展開
▶まずは貴社の成り立ちについて教えてください。
金子:当社の設立は1998年に遡ります。 現在の当社に繋がる源流となる、株式会社新潟インターネットサービスと、 株式会社新潟オペレーションシステムズの2社が設立されました。 前者はいわゆる地域ISP事業とWebサイト制作の業務を行っていました。 後者は運用受託業務を事業として行っていましたが、 2000年に株式会社新潟データセンターに社名を変更し、 その2年後の2002年にデータセンターが竣工し、DC事業を開始しました。 その両社が2008年に合併して社名を株式会社グローバルネットコアへと変更し、現在に至ります。
当社は株式会社新潟放送を中心としたBSNメディアホールディングスグループの一員で、 グループ内でシステム関連事業を担う株式会社BSNアイネットが直接の親会社です。 私が入社した2004年頃は、 新潟インターネットサービスも新潟データセンターも同じビルの同じフロアにオフィスがあり、 壁を挟んでお隣同士、しかも当時は両社の社長が同一人物で、 完全に兄弟会社といった雰囲気でした。 その後、ISP事業のリソースと、 DC事業のリソースは統合した方がなにかと効率的だろうという流れになり、 合併して一つの会社になったわけです。
合併後は、県内他社のISPサービスをいくつか引き継いだほか、 ダークファイバーを利用した専用線サービス、VPSホスティングサービス、 ファイアウォールをはじめとするセキュリティ系ソリューションなど、 どんどんラインナップを増やしてサービスを拡充させてきました。 近年はパブリッククラウドの活用や再販に力を入れており、 2019年には新潟県内企業として初めて、 Amazon Web Services (AWS)のサービスパートナーに認定されました。
▶合併時に、グローバルネットコアという社名を選ばれた理由は何でしょうか?
金子:当時の社員みんなで案を出し合った結果、 グローバルネットコアという社名が選ばれました。 おそらく、我々が何も声を上げなければ、 当時の社長は「新潟インターネットデータセンター」のような無難な社名にしていたと思います(笑)。 この社名を選んだ理由ですが、まずは新潟という名称を外そうという思いがありました。 会社の所在地こそ新潟ですが、インターネットに関わる事業をやっているわけですから、 そのフィールドはグローバルだと。 また、自分たちのビジネスの核心がインターネットにあるということを示すために、 「ネット」「コア」という言葉を入れました。 説明的でわかりやすかった合併前の社名に対して、新社名は少し気取った感じがして、 最初の頃は名乗るのが少々気恥ずかしい思いもしましたが、 今となってはそれも良い思い出です。
▶ 現在の主な事業とその割合を教えてください。
金子:当社は、インターネットとWebの技術に特化したITソリューションカンパニーで、 インフラサービス事業、Webソリューション事業、 アウトソーシング事業の三つの事業を展開していますが、 現在主力としているのはインフラサービス事業とWebソリューション事業です。
インフラサービス事業は、ネットワーク、ホスティング、データセンター、 セキュリティ、クラウド、ITインフラ構築・運用がその範囲となります。 一方のWebソリューション事業は、Webのシステム開発とWebサイト・コンテンツ制作が主な内容です。 いわゆるシステム開発をやる事業者は地場にもたくさんありますが、 大半はプロプライエタリなソフトウェアを利用した、 クライアント・サーバ型の業務システムや基幹系システムを強みとしています。 一方、我々は源流がインターネットですので、 オープンソースソフトウェアベースのシステム開発に特化しており、 Webならではのデザイン性に優れたユーザーインタフェースを持つシステムを提供できる点に強みを持っています。 主な商圏は新潟県全域ですが、東京はもちろん、隣県の長野、福島、山形などにもお客様がおり、 民間企業、自治体、各種団体、大学、病院など、幅広い業種・業界のお客様とお付き合いしています。
売上比率については、3分の2がインフラサービス事業の売上です。 インフラサービスの多くはサービス提供の対価として継続的に利用料を頂戴するモデルなので、 会社の収益安定性にも大きく貢献しています。 残りの3分の1のおよそ半分がWebソリューション事業の売上になります。 売上比率は小さく見えても、 実際にはWebソリューションとインフラサービスの合わせ技で受注するケースが多いので、 Webソリューション事業も当社にとっては欠かせないものと考えています。
インフラからWebまでのすべてをコミコミでお引き受け
▶ インフラサービスとWebソリューションは密接に関連してるのですね。
金子:Webの制作会社は世の中にいくらでもありますが、 システムもやっている会社は限られます。 さらに、Webを作りながら、 そのホスティングサーバも提供することができるという会社は貴重で、 そこを一気通貫にやれるのが当社の強みです。 Webサイトは作って終わりではなく、その後の適切な維持管理も必要ですが、 お客様が大手のVPSを借りても運用しきれないことが多いんです。 我々ならWebもインフラもよく知っているし、当然あらゆる状況に対応が可能です。 今、そこを売りにしています。
契約件数で言うと数千件、 会社数で言えば1,500社以上に当社のサービスをご利用いただいています。 何かを作って納品して終わりという仕事もないわけではありませんが毎月あるいは、 毎年費用をお支払いいただいてサービスを利用するという契約のお客様が多いです。 インフラサービスだけでなく、 Webソリューションの方も保守などを含めて継続的にご契約いただくケースが増えています。 何かあった時にスポットで費用をお支払いいただくのではなく、 毎月いただいている料金の中でお客様のお困りごとに対応していくという、 流行のサブスクではありませんがそういうビジネスモデルに移行中です。
▶ 貴社ならではのサービスの特徴にはどんなものがありますでしょうか?
本間:金子が説明した、サブスク的な毎月のお支払いの中で対応するサービスでしょうか。 例えばサーバのOSが古くなるなどした場合にも、 システム保守契約をいただいていればその中で対応ができるプランも用意しています。 良いシステムをしっかり作り込んだのに、 サーバが変わることで使えなくなるのはもったいないと思います。 そこで、リプレース対応も含む定期契約をしていただくことで、 リプレースの際に大きな費用が発生することを抑えて、 月々のお支払いの範囲内でリプレースに対応することが可能です。 こういった保守契約のプランを今、当社としては積極的に提案しており、 多くのお客様にご契約をいただいています。
また、Webサイトの維持に関しても、 載せるコンテンツを定期的に変えていきたいというお客様がいらっしゃいます。 そういったニーズに応えて、 月に何回か記事や写真を変更する定期更新サービスという形で運用をお引き受けしています。 保守や定期更新といった継続的な運用に対応していく場合でも、 Webサイトは青田が運用するインフラサービスの基盤で動いているので、 社内で話をしながら連携した運用ができ、対応がとてもスムーズです。
▶ そういった各種サービスを連携した上で提供されているものが、総合ITソリューション「N-PLUS」ということでしょうか?
金子:元々、N-PLUSはインフラサービスのブランドで、 Webソリューションの方にはサービスブランドという考え方はありませんでした。 2021年に当社のブランド戦略を再策定した際に、 当社はインフラとWebの一気通貫提供が特徴であり、 当社が持つサービスすべてを組み合わせたものがN-PLUSであるべきだという結論に至り、 統一サービスブランドとして打ち出していくことにしました。 そういうわけで、サービスサイトは「nplus-net.jp」、 コーポレートサイトは「global-netcore.jp」と、 ドメイン名を使い分けています。
本間:の提供商材の中では、マネージドサービスが最大の売りです。 ファイアウォールであればファームウェアのアップデートや日々の運用、 Webならばミドルウェアのバージョンアップやアクセス過多への対応まで、 すべて能動的に対応できます。 例えば、イベントなどでWebサイトへのアクセスが急激に増えることが事前に予想される場合でも、 当社にご相談いただければWebサイトがダウンしてしまわないよう適切に対応を行うことができます。 こういうところは他社では難しいところだと思います。
金子:我ながら、当社はかなり親切に対応をする会社だと思います(笑)。 お客様にはどんどん頼っていただきたいです。 例えば、怪しいアクセスがあった時にログを調べてくださいと言われたら、 もちろんしっかり対応しています。 ログを細かく調べてご報告するのは、 お客様が思われている以上に結構大変な作業なんですけどね(笑)。
青田:インフラの専門家とWebの専門家の両方が社内にいることで大きなメリットがあります。 問題があった時に、インフラ側が原因ではなさそうだ、 でもコンテンツ側が原因だとも言い切れない、そんなケースがあります。 他社のサービスでは、 インフラ側に原因がない時点でお客様側の問題ですと切り捨てられる可能性が高いところですが、 当社であれば社内にWebエンジニアがいるので、 システム側からの視点で問題点がないか調査することが可能です。 100%原因を探り当てて解決できるとは限りませんが、少なくとも調べることはできます。 こういったところも、他社にはない強みですね。
お客様も我々も幸せになれるビジネスができた時の喜び
▶ 貴社の提供されているサービスを拝見すると、いろいろなものを組み合わせてパッケージング化して提供するというのがとても上手に感じます。
本間:当社が提供しているサービスに、 ガス事業者が行う定期保安検査のWeb受付システムがあります。 ガスを利用する機器については、法律で4年に1度の検査が義務付けられているのですが、 従来は検査の受付を電話で対応しており、 その煩雑な受付業務がガス事業者の負担になっていました。 そのような中で、新潟県のあるガス事業者様からWeb受付システムの発注を受け開発した結果、 手間がかかる受付業務の効率化が実現。 実際にシステムを利用されたお客様にも大変喜んでいただけました。 さらに、発注元のガス事業者様から、「全国の多くのガス事業者が、 自分たちと同じように定期保安検査の受付業務を負担に感じているはず。 この便利なWebシステムを一緒に業界全体に広めていきませんか」とお声がけいただき、 共同でサービス展開を進めていくことになりました。 業界イベントでのブース展示や業界紙への記事掲載を行ったところ、 全国のガス事業者様から数多くの引き合いをいただきました。 やはり、業界の中では、この部分はまだDX化されていなかったのです。 お客様からお声がけいただいたことが、 自社開発システムのパッケージ化と普及の大きなきっかけとなりました。
金子:最初は、お客様のご要望に沿って作った一品もののシステムだったのですが、 そのお客様にもの凄く気に入っていただけて、これは絶対売れるから、 とパッケージ販売の後押しまでしていただきました。 手前味噌ですが、このシステムはUIも使いやすいですし、 何よりシステムの導入によって、ガスを使っているご家庭、ガス事業者、 検査員の3者すべてにとって大きな改善が得られます。 これは最近では一番の好事例で、 作った側としても冥利に尽きるというものですね。
▶ 最近はランサムウェアなどの被害がよく聞かれますが、貴社におけるセキュリティに関する取り組みはどのようなものがありますでしょうか?
金子:特別なことをしているわけではありませんが、 やるべきことはきちんとやっているつもりです。 昨今の一番のセキュリティリスクはランサムウェアですが、 我々自身が対策ソフトを入れた上で、同じものをお客様にも提案しています。 自社でも使っているんですよと説明できますし、 実際に使っている分ノウハウもありますしね。 サービスとしてはUTM (Unified Threat Management)やWAF (Web Application Firewall)、 メールフィルタリング、EDR (Endpoint Detection and Response)など、 一通りのものは提供しています。
こういったセキュリティ対策については、導入されている企業や団体は多いものの、 買って設定したらそれっきりというところがとても多いんです。 セキュリティを担保するために導入したのに、 適切な管理を怠ったことでそれ自身の脆弱性を突かれて侵入されるという事態が多発しています。
そこで、先ほど説明した「マネージド」のサービスです。 これならお客様の手は煩わせません。 以前はセキュリティと言えば、 「興味はあるが最小限の費用で」という風潮が強かったのですが、 最近は危機意識の高まりからか、 セキュリティに相応の費用をかけてしっかり対応するという方向に変わってきていると感じます。
青田:世の中には脆弱性のニュースが飛び交っていて、 それを見た方からお問い合わせをいただくことがあるのですが、 その際に当社ではマネージドのサービスを提供していて、 脆弱性による緊急アップデートが必要となった場合でも、 定額料金の中で当社が責任を持って対応していると説明すると、 そこに魅力を感じてご契約いただくケースが増えてきていますね。
金子:当社のサービスは、マネージドのわりには料金は廉価だと思うのですが、 絶対的な料金としてはやはり多少高くなります。 なので、料金の安さを重視して選ぶお客様も当然それなりにいるのですが、 トラブルが起こるなど痛い目にあった結果、 マネージドの良さを評価して当社に戻ってくるお客様もいらっしゃいます。
例えるなら、インターネットは宇宙
▶ 本日はいろいろと興味深いお話をたくさん聞くことができました。ありがとうございます。最後に伺いたいのですが、みなさまにとって「インターネット」とは何でしょうか?
本間:もはやガスや電気、水道と並ぶインフラだと思っています。 それに尽きます。 企業が仕事をする上でインターネットは必要不可欠なものになりました。 個人的にも、仕事でインターネットをあらゆる場面で使っていますし、 プライベートでもサブスクの動画やゲームを利用しています。 我が家の子供がタブレットを使った教育コンテンツを利用しているのですが、 インターネットが使えなくなると勉強もできなくなるということで、 家のインターネットが繋がらなくなると家族からも「繋がるようにして」と連絡が来ることもあります。 公私ともども生活に欠かせないので、本当にライフラインになっていると感じます。
青田:本間の言った通り、インターネットは社会インフラの一つになってきていて、 そこは誰もが異存のないところだと思います。 無いと本当に不便ですよね。 そして、インターネットは今では単なるネットワークに留まらず、 そこを経由していろいろな人を繋いで知識や情報を共有するという、 コミュニケーションを促進するプラットフォームになっています。 その上で、昨今はChatGPTのような革新的なイノベーションも話題になっているなど、 まだまだいろいろな可能性を秘めています。 そんなインターネットの一端を私自身も担っているわけですが、 本当にわくわくした気持ちで携わっています。
金子:比喩的かもしれませんが、インターネットって宇宙だなと思っています。 果てしない空間が広がっていて、光とか重力とか惑星とかエイリアンとか、 いろんなものが存在する場。 そこには大事なこと、面白いこと、さまざまな出会いと別れが存在し、 何よりこの私自身も、グローバルネットコアという会社も、 そのインターネットという名の宇宙の一部なんですよね。 ただの便利なツールと客観視できるものではなく、そこには世界のすべてが含まれている。 やろうと思えば何でもできるし、どこまでも行けるし、あらゆる可能性がある。 ただ、ちょっと危険もある。 まさにインターネットは宇宙、だと思います。