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ニュースレターNo.84/2023年8月発行

Internet ♥ You No.19

株式会社JPIX IX技術部・グローバルビジネス部 馬渡 将隆さん

タイトルバック
現在、株式会社JPIXでIX技術部、グローバルビジネス部に所属。 ネットワーク関連のSI企業で、 エンタープライズのネットワーク構築業務をこなすことでネットワーク技術の基礎を学び、 その後、ISPに移りISPバックボーンのネットワーク構築・運用の経験を積んだ後、 2008年にJPIX入社。 IXバックボーンのネットワーク構築・運用に従事しつつ、 2013年にはIETFでIPv4/IPv6共存技術(464XLAT)の標準化作業の対応、 海外顧客に対する技術的なサポート、 国内外グローバルにコミュニティの活動にも従事。 2021年からAPIX Steering Committeeを務めている。
株式会社JPIXで、Internet Exchange (IX)の運用や、 グローバルビジネスの開発業務に従事されている、 馬渡将隆(まわたりまさたか)さんにお話を伺いました。 意外にも、インターネットに本格的に携わるようになったのは、 社会人になってからということでした。 穏やかな性格でいらっしゃる一方で、 APNICなどアジア太平洋地域のインターネットコミュニティにおいて、 幅広く精力的に活躍されている馬渡さんが、 どのような思いで日々インターネットに向き合っていらっしゃるのか、 いろいろとお伺いしました。

馬渡さんがインターネットを知ったきっかけ

インターネットに触れたのは大学時代です。 当時は自宅にインターネットを使うことができる環境はなく、 大学でしかインターネットに触れることができませんでした。 今となっては、ネットショッピングや動画視聴、 SNSなどで当たり前にインターネットが使われていますが、 当時は大学の研究室にインターネットの環境がただあっただけで、 世界中につながっているものだという知識すらありませんでした。 「Yahoo!というのがあるんだ」とか、 キーワード検索くらいは認識していましたが、 インターネットにワクワクするようなことは、ありませんでした。

大学生の頃について

大学では、工学部の電子工学科に在籍し、 コンピュータを使った画像処理のようなことを学んでいました。 進路の選択については、あまり強い理由はなかったです。 私の父親が、家電メーカーに技術職として勤めていました。 その父親を見ていて理系を選んだのかなと思います。

大学時代に一番取り組んでいたと思うのは、ジャズ研究部での活動です。 数十人の部員の中で、バンドを作って演奏するのですが、私はサックスでした。 他には、コンビニやハンバーガーチェーン店でアルバイトをしていました。

大学卒業後の進路と、これまでのキャリアについて

大学卒業後は、大学院に進むことは考えず、就職することにしました。 就職先を考えるタイミングでは、大学での専攻は通信とは関係ありませんでしたが、 業界の将来性だったり、単純に求人が多かったりといったことを踏まえ、 通信に触れるような職業が面白いかなと思いました。 その結果、SIerの中でも、主に通信系のシステムを扱っている会社に就職しました。 顧客の社内ネットワークを構築する業務だったのですが、 ちょうどインターネット利用が普及してきた時期と重なり、仕事が多くなっていきました。

そこからISPに転職し、主にネットワークの構築や運用を5~6年務めました。 NTTのフレッツが出てきて、インターネットの常時接続サービスが始まった時代です。 常時接続が主流となっていく中、 ダイヤルアップ接続のサービスがだんだん縮小していくのも目の当たりにしました。

ISPの仕事を一通りやったなと感じるようになり、 ISPのネットワーク構築から、 新しいフィールドとしてISP同士をつなげることに興味が移っていきました。 転職活動では、コンテンツ側にも興味を持ったのですが、 最終的にはIXの仕事を選びました。 入社してすぐの頃は、現在JPIXのフェローである石田慶樹さんと数人のチームで、 IPv6の普及のために、IXとして取り組むべきことを検討するという業務に携わりました。 IPv4とIPv6の変換・共存の技術はいくつかありますが、その中でも464XLATを、 NECアクセステクニカ株式会社(現 NECプラットフォームズ株式会社)の川島正伸さんと一緒にIETFに提案し、 インターネットドラフトからRFCにするという取り組みを、3年ほどかけてやりました。 464XLATは、RFC 6877として2013年4月に発行されています。 考えた技術は、Googleのスマートフォン向けOSである、Androidに実装されました。 思いがけないことで、ラッキーでした。 この取り組みが一段落してからは、 IXのコアネットワークを構築・運用する業務を担当するようになりました。

JPIXのネットワークは、シンプルに作るという考えに基づいて構築・運用されています。 一方で、IX独特な面になりますが、国内外のお客様が相互接続をするネットワークなので、 気を遣わないといけない面があります。 お客様がルータの設定ミスをして、 不要なパケットが出ていたら止めてもらうようにお願いするなど、 自分たちだけではコントロールできない部分もケアしないといけません。 いろいろな視点でネットワークの監視を行っており、 ISPやコンテンツ事業者のAS運用とは異なります。

現在は、引き続きIX技術部のエンジニア職がメインですが、 2023年1月からグローバルビジネス部兼任となりました。 JPIXには、以前より営業部の中に日本国内のお客様を担当するチームと、 海外のお客様を担当するチームがあり、 私は海外のお客様の対応に携わっていました。 2023年1月に、 JPIXが日本ネットワークイネイブラー株式会社(JPNE)と合併したことで体制変更があり、 営業部門が日本国内と海外で別の部署になりました。 そこで、海外のお客様を担当する部署として発足したのが、グローバルビジネス部です。 以前からの海外のお客様対応に加えて、 海外向けに新しいビジネスを見つけていくことがミッションになっています。

コミュニティ活動について

対外発表などのコミュニティ活動に取り組むようになったのは、 ISPに在籍していた頃で、 インターネットルーティングセキュリティについて話し合うIRS (Inter-Domain Routing Security)で、 ISPとしてパケットや経路のフィルタを設定しましょうというレコメンデーション(推奨設定)をまとめました。 この内容を海外でも紹介した方がいいのではないかという話になり、 2006年にオーストラリアのパースで開催されたAPRICOT 2006で「IP addressing Design in Practice」という発表を行いました。 これが、初めての海外発表です。

IXは、業界の中でも特殊な部分を担っています。 IX側からさまざまな情報発信を行うことや、ユーザー会などを開催し、 人が集まり情報交換を行うための場を提供することを、周りから求められており、 会社としてもそのような認識があります。 IXの情報発信では、エンジニアの方に対して行うことが多いので、 技術的な話の方が有益なケースが多いです。 それもあって、JPIXでは、 営業からもエンジニアからも情報発信ができた方がよいという雰囲気になっています。

一昨年、IX技術部の中に20代と30代の人が入ってきました。 業務に加えて、社外のコミュニティ活動も経験してもらっています。 いい加減、私の発表ばかりではなく、新しい人が担当していく方がよい面もあるので、 早めに若い人が人前に出ていくようにしなければと思っています。

今年は、2015年の福岡以来となるAPNICカンファレンスが京都で開催予定です。 JPIXからは、いつもより参加メンバーを増やせればと思っています。 国際的なカンファレンスの日本開催は多くないので、 今回都合をつけて参加してくれる人が増えればいいと思います。

今後の目標について

グローバルビジネスの部署にいるからというわけではありませんが、 JPIXとして、国内だけでなく、アジアだけでもなく、 世界全体に役立っていると実感できるような仕事ができるといいなと思っています。 現在取り組んでいることだって、すべて継続していくものかはわからないし、 社会のニーズは流動的です。 JPIXだって、もともとはIXだけでしたが、JPNEと合併することになって、 IPoEのサービスを提供するようになりました。 どんな商売もそうですが、柔軟にやっていければと思います。

馬渡さんがプライベートではまっていること

1人でお酒を飲むのが好きです。 土日でも、あまり遠出することなく、フラッと居酒屋などに立ち寄って、 ゆっくり過ごしています。

他に挙げるなら、人の話を聞くことが好きですね。 テレビやラジオが好きで、パーソナリティの話を聞くのも、「家、 ついて行ってイイですか?」とか、「YOUは何しに日本へ?」など、 一般の方の話を聞くのも好きです。 トーク番組でも、芸能人よりも、一般の方の方がドラマチックな話が聞けて好きですね。

最後にインターネットに対する愛情のこもったメッセージをお願いします!

インターネットのことは、仕事にしていることもありますし、好きです。 インターネットは、 できるだけ自由に使えるものであってほしいと思っています。 IXでは、不要なパケットを落としてもらうようなことがありますが、 ASとASがピアを張ってとか、トラフィックを流してとか、AS同士で決めてもらうものですし、 両者が合意していればよいという考えです。 その観点から考えても、あまり規制を作ることなく、 自由に使えるものであってほしいです。 私にとって、自由なものであることが、インターネットが持つ最大の魅力なのです。

写真:発表の様子
BKNIX (Bangkok Neutral Internet eXchange) Peering Forum 2023で発表したときの一コマ。
写真:晩酌
1人でお酒をゆっくり飲むのが好きで、週末はよく飲みに行っています。 これは三重県の宮崎本店の「宮の雪」の純米にごり酒です。
画面:APRICOT 2023プログラム委員会
ZoomでのAPRICOT 2023のプログラム委員会の様子。 同じく今年2023年9月に京都で開催される、APNIC 56のプログラム委員会にも参加しています。

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