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ニュースレターNo.85/2023年11月発行

インターネットことはじめ Wi-Fi ~高速化の歴史~後編

承前

イラスト: Wi-Fi

前号ではWi-Fiの成り立ちと、 802.11から802.11bまでの規格について紹介しました。 本号では802.11g以降のWi-Fiをご紹介します。

802.11g

イラスト:JP-29 II

802.11gは2.4GHz帯を使う、802.11bの後継規格です。 2003年に策定されました。 先行する802.1aで確立された変調方式を導入することで、 54Mbpsの最大通信速度を実現しています。 802.11gは後方互換性の観点から、 2023年現在でもサポートしているアクセスポイントが多いのですが、 さすがに現役の技術とは言いがたい状況です。 後述する、Wi-Fiとしてのナンバリングもありません。

802.11gは最初から多数の周波数を用いることを前提としていたため、 802.11bまでで使われていたスペクトラム拡散方式は使われなくなりました。 54Mbpsともなると十分実用的で、 加えて802.11bと互換性があったこともあり、 この世代で無線LANの普及が進みました。

ただし2.4GHz帯はさまざまな機器が利用しているため混信・干渉の問題は解消しようが無く、 また1台でも802.11bで接続する機器があるとネットワーク全体が802.11bの速度に低下してしまうという問題もありました。

Wi-Fi4

Wi-Fi4は2007年に策定された802.11nがベースで、 現役と言えるのはこのバージョンからと言っていいでしょう。 また末尾のアルファベットで区別するのは一般ユーザーには難しいという観点から、 Wi-Fi Allianceがプロモーション用にナンバリングを開始したのはこの規格からです。

2.4GHz帯を使う802.11gと5GHz帯を使う802.11aの双方に対する拡張が含まれており、 規格上は600Mbpsが最大通信速度です。 ただし、市販のアクセスポイントでは上限300Mbpsというものが多かったようです。 このあたりになるとさほど遅いという感覚は無くなり、 日常のネットワーク環境として常用しても不満の無い速度になりました。

Wi-Fi4では高速化の手段として複数のチャンネルを束ねて使うチャンネルボンディング、 複数のアンテナを使って通信路を増やすMIMO (Multiple Input Multiple Output)といった技術が導入されました。 この二つは以降の規格にも引き継がれていきます。

Wi-Fi5

Wi-Fi5は、2013年に策定された802.11acを利用しています。 まだまだ現役で、対応する親機も市販されています。 Wi-Fi5は5GHz帯だけを使う規格で、最大通信速度は6.93Gbpsですが、 コンシューマー向けの製品では最大でも1.7Gbps程度となっています。 実用上はまだ有線LANの方が早くて安定しているのですが、 一般的には十分な通信速度になっています。

Wi-Fi6

2023年現在最新の規格はWi-Fi6で、 2019年に策定された802.11axに基づいています。 2.4GHz帯と5GHz帯を使う6と、さらに6GHz帯を使う6Eがあり、 いずれも最大通信速度は9.6Gbpsで、 数値だけならコンシューマー向けの有線LANを凌駕しています。 もっとも、 無線LANでは最大通信速度を出すのはなかなか難しいのですが。 また、6Eに対応した機器はまださほど数が多くありません。

Wi-Fi5までは親機と子機の1:1での速度を向上させることに重きが置かれていましたが、 6では複数の機器が混在する状況での実質的な通信速度の確保に重点が置かれているのが特徴です。 また規格としては別のものですが、 複数のアクセスポイントが自動的に最適な中継を行うメッシュネットワークに対応した機器が増えているのもこの世代の特徴です。

遠い祖先

802.11と直接的なつながりはありませんが、 1970年にALOHAnetという無線ネットワークが開発されています。 ハワイ諸島を結ぶのが目的だったためLANというよりはWANの範疇ですが、 無線とパケットを使う点がWi-Fiと共通しています。 上りと下りに別のチャンネルを使うものの、 すべての端末が共通の通信路を使っているのも、Wi-Fiと同じです。

ALOHAnetは既に使われていませんが、 基本的な考え方と運用によって明らかになった問題点―共通する通信路へ複数の端末が同時にデータを送信した場合―への対処方法は有線LANであるイーサネット、 無線LANであるWi-Fiに受け継がれています。

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