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ニュースレターNo.86/2024年3月発行

インターネットことはじめ リモートアクセス

リモートワークの友

イラスト: Wi-Fi

新型コロナウイルス感染症の流行を一つのきっかけとして、 すっかりリモートワークやビデオ会議が当たり前になりました。 これを支えるものの一つが、リモートアクセス機能です。 Windows 11や10では、リモートデスクトップ接続という名前で提供されています。

リモートデスクトップ

イラスト:JP-29 II

リモートデスクトップ接続は2000年に発売されたWindows 2000 Serverで採用が始まり、 2001年のWindows XP Professionalから標準機能になりました。 まだ個人で複数台のPCを使う時代ではなかったためあまり話題にはなりませんでしたが、 サーバのメンテナンスなどでは重宝しました。

元々は1990年代に米国のシトリックス・システムズ社が開発した、 1台のWindowsマシンに複数端末から、 複数ユーザーがログオンするための拡張機能が元になっています。 当初Windowsはパーソナルコンピュータ向けのOSという立ち位置だったので、 マルチタスクは可能でもマルチユーザーは難しかったのを補完する形で開発されました。 これがマイクロソフト社との共同開発に発展し、Windowsに取り込まれたのです。

最新のMacだと、一般ユーザー向けには「画面共有」という名前で、 似たような機能が用意されています。 さらに遡ると、2002年にApple Remote Desktopというソフトウェアが発売されています。 ただ、これはOS標準ではなく別売りで、現在でも開発が継続されています。

VNC

Apple Remote Desktopのベースとなったと言われているのが、 英国のオリベッティ・オラクル研究所が開発したVNC (Virtual Network Computing)というソフトウェアです。 1999年頃にGPL (GNU General Public License)で公開されたもので、 当初は画面を細かく区切り、 書き換えのあった部分だけをそのまま転送するような方法を採っていました。 クロスプラットフォーム性を重視したためと思われます。 そのため、MacをWindowsで、 逆にWindowsをMacで操作するといったことが簡単に実現できました。 その代わり、書き換え部分が多くなる動画の表示はほぼ不可能でした。

Windowsで言うとWindows 98、MacではMacOS 9の世代です。 この頃にはLANも普及し始めており、 一部のユーザーは複数台のさまざまなPCをネットワーク越しに使うためにVNCを利用しました。 オリジナル版がGPLなこともあり、派生版が多いことも特徴です。

X Window System

Unixワークステーションで標準的に使われているウインドウシステムが、 X Window System(以下、X)です。 MacOSやWindowsの、画面を描画する機能だけを切り出したようなシステムで、 比較的低レベルな描画機能の提供に特化しています。 OSとは別にインストールすることで、GUIを持たないOSに後からGUIを追加できます。 開発開始は1984年で、決して早い時期ではありません。

特徴的なのが、 設計当初からネットワーク経由での利用・動作させることを前提としていた、 ということです。 画面を描画したいプログラム(クライアント)と実際に画面を描画するプログラム(サーバ)が分離していて、 クライアントは描画コマンドをネットワーク越しにXプロトコルという形式でサーバに送信するようになっています。 1台のコンピュータで完結する場合でも、 クライアントとサーバがネットワーク経由と同じ形式で通信するという徹底ぶりです。

Xではサーバとクライアントが別のコンピュータで動いている場合、 自動的にリモートデスクトップで使うことになります。 XプロトコルはOSに依存しないため、 異なるOS間でもリモートデスクトップを使うことができます。 そのため、1980年代~1990年代に主流であった、 LAN上にさまざまなOSが混在しているワークステーション環境において重宝され、 広く普及しました。 しかし、汎用性の高さや自由度の高さゆえに実装がやや複雑になることもあり、 PCの世界ではあまり普及しませんでした。

テキストベースでのリモートアクセス

2024年現在、コンピュータはGUI (Graphical User Interface)で使うのが一般的です。 しかしサーバやルータの管理など、 テキストベースでコマンドを入力する用途も残っています。 こうした用途には現在、通信が暗号化されるssh (secure shell)が広く使われています。 ssh以前にはインターネット黎明期からrloginやtelnetというプログラムが使われていましたが、 これらは通信が暗号化されておらず、 セキュリティの観点から推奨されなくなっています。

インターネットの貢献

インターネットには、 そもそも全米に分散する学術系コンピュータを遠隔地から共同利用するために開発された一面があります。 その意味では、リモートアクセスにうってつけと言えるわけです。 現在、誰でも簡単にリモートアクセスを利用できるのは、 やはりインターネットのおかげといってよいでしょう。

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