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ニュースレターNo.87/2024年3月発行

インターネットことはじめ ルーティング

ルーティングとは

イラスト: ルーティング

インターネットを動かすために必要な機能はいろいろとありますが、 今回はルーティングについて解説します。 ルーティングとは、ごくごく簡単にまとめると、 パケットの経路を決めることです。 パケットには宛先としてI Pアドレスが記載されていますが、 その宛先にたどり着くためにどのネットワーク(ないしはネットワークインタフェース)にパケットを送り出せば良いのかを決め、 実際に送り出すことでもあります。 この機能を持った機材を、ルータと呼びます。 ルータには家庭用の小規模なものや大手ISPで使われる大規模なものなど、 さまざまな種類があります。

経路表

宛先ごとにどのネットワークインタフェースに送れば良いかをまとめた表を、 ルーティングテーブルないし経路表と言います。 例えばルータとして動いている、とあるUnix系のOSでは、 図1のようにnetstatコマンドで表示できます。

図:経路表

別の言い方をすれば、この経路表を最新の状態に更新、 維持するのがルーティングだとも言えます。

図1は家庭用のシンプルなネットワークでの一例で、 IPアドレスごとの宛先が明示されているのは、 自宅内の192.0.2.0/24と、 ISPの203.0.113.0/24という二つのネットワークだけです。 それ以外を宛先としたパケットは、defaultと指定されているem0という、 ISPと接続しているネットワークインタフェースに送ります。 つまり、宛先が明示されていないパケットは、すべてISPに送り、 任せてしまうことになります。 家庭用の小規模なネットワークであれば、 このようにシンプルな経路表で、事足りるでしょう。

ルーティングプロトコル

図:JP 29II

一方で、少し大きなオフィスや学校、工場などでは、 複数のLANをルータで相互接続するという構成もよくあります。 場合によってはルータも複数存在することになり、 こうしたネットワークの経路表を手動で矛盾無く維持するのは難しくなってきます。 ましてやインターネット全体ともなれば、 地球の反対側で行われた変更をも適宜手動で反映することはまず不可能です。

そこで経路表の更新情報を交換するためのプロトコルとして、 ルーティングプロトコルが開発されました。 これにより、ルータ同士が通信して自動的に経路表が最新のものに更新されるというわけです。

最初に普及したのは、1988年に発行されたRFC 1058で定義されたRIP (Routing Information Protocol)です。 RIPでは、目的の宛先まで何回ルータを経由するのかを計算して、 最も回数の少ない経路を選択するようになっています。 計算負荷は少ないものの、ネットワークの規模が大きくなったり、 さまざまな帯域のネットワークが混在したりすると、効率が低下します。

ついで、OSPF (Open Shortest Path First)が普及します。 これは1989年にRFC 1131で最初に定義されました。 OSPFはRFC 2328でバージョン2、RFC 5340でバージョン3に改訂されています。 RIPと違って回数ではなく、 ネットワーク全体の接続状況を反映した同じ経路表を共有することで、 接続された回線の帯域がなるべく広くなる(高速に通信できる)ように経路を選びます。 またRIPよりも、大規模で複雑なネットワークに適したプロトコルです。

これら以外にも、用途に応じたルーティングプロトコルがいくつか開発されています。

BGP

前述のRIPやOSPFは、 いわゆるAS (Autonomous System)の内部で使われるプロトコルで、 IGP (Interior Gateway Protocol)と総称されます。 ASは一つの管理者の元、 単一のルーティングポリシーが適用されるネットワークのことです(例えばあるISPが提供する一つのネットワーク)。 今日のインターネットは、ASが相互に接続されることで機能しています。 AS内部のルーティング(IGP)はASの管理者に任されていますが、 AS同士を相互接続するためのルーティングプロトコルがBGP (Border Gateway Protocol)です。 1989年のRFC 1105に始まり、 2006年に公開されたRFC 4271で最新版のBGPバージョン4(BGP-4)になりました。 2024年現在、BGP-4がAS間を結ぶ標準のルーティングプロトコルとなっています。

BGPでは、目的のASに到達するまでに経由するASのリスト(パス)をベースに、 よりローカルな経路や、自身を起源とする経路、 内部よりは外部といったさまざまな要素を考慮してパケットの送り先を決定します。 またこの10年ほどで、 RPKI (Resource Public Key Infrastructure)を利用して経路情報の信頼性を高める機能も普及しつつあります。

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