JPIRRサービス開始のお知らせ

　社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター (東京都千代田区、理事長後藤滋樹、以下「JPNIC」)は、試験的に提供していたIRR(Internet Routing Registry)^*1 サービスを2006年7月31日をもって終了し、8月1日より、 JPIRRサービスとして正式に提供を開始いたしました。

　現在、インターネット全域への到達性確保のために、海外の特定のIRRへの登録が不可欠であるであるとされています。しかしながら、そのIRRに登録されているオブジェクト^*2の正確性、最新性について懸念がありました。

　このような背景から、JPNICでは、 2000年より経路制御技術の専門家による検討チームを通じて日本における IRRの必要性の検討、全世界の動向調査、技術評価を行うとともに、日本における公共的なIRRサービスの検証やIRR運用経験の蓄積を目的とした、 IRRサービスの試験提供を行ってまいりました。

　この試験サービスを踏まえ、 IPアドレスを管理するJPNICのデータベースやJPNIC認証局^*3 との連携を行う信頼性の高い経路制御情報データベースの提供、オブジェクトの更新管理や実際の経路と登録情報と比較する機能の提供など、 JPIRRサービスを利用した経路制御品質向上手法がインターネットの安定性と通信品質の向上につながると判断し、この手法の普及を見込んで正式サービスとして提供を開始することにいたしました。

　JPNICでは今後正式サービスを通じてIRRサービスの高度化を進め、併せてISPにおけるIRRを利用した経路制御品質向上手法の普及を図り、 IRRとISPの運用が両輪となった経路制御品質の向上を推進することで、情報社会インフラとしてのインターネットの安定運営に貢献する所存です。

*1IRR (Internet Routing Registry): インターネットの経路制御に関する情報を登録するデータベースです。このデータベースに登録された情報は、主に経路広告されているプリフィクスの正当性の確認や、ネットワーク間におけるフィルタリング情報の生成などの用途に用いられます。代表的なIRRとして、米国のMerit Network, Inc.が運営するRADB(Routing Assets Database) が挙げられますが、その他に大手ISPやインターネットレジストリが運営する IRRが広く利用されています。
*2オブジェクト: IRRに登録される情報の名称で、インターネット上に経路広告されるプリフィックス (IPアドレスとネットマスク)とその起源となるネットワークの情報、またネットワークの単位を表すAS番号に関する情報や優先制御情報などが、オブジェクトに登録されます。
*3JPNIC認証局: 認証局とは、 WWWや電子メール等で使われている電子証明書を発行する仕組みです。 JPNICではJPNIC認証局と呼ばれる複数の認証局を運用し、主にJPNICの登録情報に基づいた電子証明書を発行しています。これはIP指定事業者や AS番号の利用者へのなりすまし行為や登録情報の改ざんを防ぐことで、安全なインターネットの運用を促進するものです。

添付資料1

　JPIRRサービスの詳細について(PDF、35KB)

社団法人日本ネットワークインフォメーションセンターについて

　社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター (略称：JPNIC＜ジェーピーニック＞、理事長：早稲田大学教授後藤滋樹)は、インターネットの運営に不可欠な IPアドレスの日本国内における登録管理業務を行う機関です。併せて、JPNICは、インターネットに関する教育・普及啓発活動や各種調査研究活動、インターネットの国際的な広がりに対応するための国際的な調整業務を行っています。

　JPNICは、任意団体としてインターネットの急速な普及を底辺から支える活動を 4年間継続して行ったのち、1997年、科学技術庁、文部省(現文部科学省)、通商産業省(現経済産業省)、郵政省(現総務省)の共管による社団法人となりました。