コンピュータネットワークの在り方に関する調査研究報告

学術研究および科学技術分野における
インターネットの利用に関するアンケート調査

はじめに

インターネットは、 電話やテレビのように固定的なサービスを提供するのではなく、 利用者のスタイルによって様々な利便を提供する、 高い柔軟性を持った情報基盤ということができる。 このインターネットを、より便利で効率的に利用するには、 ユーザも含め、ネッワーク事業者、システム管理者、 調整機関などのインターネットの参加者が、 ユーザの置かれた環境を理解し、その環境に適した利用方法を開発し、 共有していくことが期待されている。

現在、 インターネットのユーザといえば世界中の人々を指すといっても過言ではないが、 商用化以前のインターネットは研究の対象であり、 同時に研究者の情報交換の場であった。 また、インターネットで利用される電子メールやWWW(World Wide Web) などのアプリケーションの起源も、 研究所の職員や学生などの研究者たちが自らのニーズに応えるために開発したものにある。

そして、インターネットを利用するソフトウェアの多くは、 今もなお研究者によって支えられている。 このようにインターネットと研究者とは、 インターネットの初期から現在に至るまで深い関わりを持ち続けているということができる。 したがって、インターネットの利用が一般に開放された現在においても、 インターネットの利用環境を理解する上で、 研究コミュニティの状況は多いに参考になるはずである。

今回、 社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(略称JPNIC) はインターネットの調整機関としての立場から、 研究コミュニティ、中でも研究者の活動の場である研究室および情報交換の場である学会を対象に、 インターネットの利用環境および利用の実態を理解するためにアンケート調査を実施した。
学術分野の生の声から生まれたこの調査結果が、 インターネット参加者としての皆様の活動の参考となれば幸いである。

なお、お忙しい中で時間を割いて頂き、 多くの質問にお答え頂いた学会および研究者のみなさま方には、 あらためて深く感謝申し上げる。 提供いただいたデータを十分に活用し、 今後のJPNICの事業に役立てていく所存である。

1999年1月25日

社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター

報告書目次

1 調査の概要

2 調査結果の概要
2.1 情報基盤の状況
2.2 インターネット普及率と接続形態
2.3 連絡の手段とインターネットの利用
2.4 電子メールの利用
2.5 Web ページの利用
2.6 インターネットの必要度と影響
2.7 インターネットに対する不満・要望

3 まとめ
3.1 学会におけるインターネット利用の現状と課題
3.2 研究室におけるインターネット利用の現状と課題
3.3 インターネット関連技術および利用者に望まれること
3.4 今後の調査研究の課題
3.5 JPNIC の役割

A 付録:集計結果
A.1 学会を対象とした調査
A.1.1 発送数および回収数
A.1.2 学会および回答者のプロフィール
A.1.3 コンピュータの利用とネットワーク環境
A.1.4 会員とのコミュニケーション
A.1.5 インターネットの利用
A.1.6 Web ページによる情報発信
A.1.7 その他

A.2 研究室を対象とした調査
A.2.1 発送数および回収数
A.2.2 研究室のプロフィール
A.2.3 コンピュータの利用とネットワーク環境
A.2.4 インターネットの利用
A.2.5 Web ページによる情報発信
A.2.6 研究プロジェクトにおけるインターネットの利用
A.2.7 その他

B 付録:調査票
B.1 学会向け調査票
B.2 研究室向け調査票

C 付録:標本抽出方法