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2001年2月8日

IETF会合の様相

IETF会議場の設営

IETF会合は、近年では、毎年3度開催され、 1度が北米以外というのが通例となっている。 IETF会合をホスティングするための要求条件は、 http://www.ietf.org/meetings/hotel-logistics.html に示されている。

ターミナルルーム

24時間利用可能な、無料のターミナルルームが提供される。 ターミナルルームには、共用端末、 プリンター(紙およびトランスペアレンシ)、 インターネット接続されたEtherentケーブルが提供される。 IETFのいくつかのセッションは、 M-Boneを通じてインターネットにリアルタイム中継され、また、 多数の参加者がターミナルルームからインターネットアクセスを行うので、 通常T3(45Mbps)以上の回線速度のインターネットコネクティビティーが提供される。

筆者がIETFに参加するようになった、1994年頃は、 ほとんど参加者がノートパソコンは携帯していなかったので、 ターミナルルームには端末のみが用意されており、日本からの参加者は、 日本語環境(kterm等)をターミナルルームのワークステーション (ほとんどがSUNワークステーションだった)に構築して、 日本にある各人のワークステーションをアクセスしていた。 その後、日本人を中心にノートパソコンを携帯するようになってきたが、 当初は、日本人だけであり、ターミナルルームには、 Ethernetケーブルのみを提供するテーブルはほとんどなかった。 当時、WIDEプロジェクトの研究会やシンポジュームでは、 各自がノートパソコンを持参し、インターネット接続を始めていた。 その後、北米でもノートパソコンを携帯することが普及するにつれ、 ターミナルルームにおける Ethernetケーブルのみを提供する領域が急速に拡大した。 すなわち、北米の先を行っていたことが証明されたわけである。

その後、以下の二つの事象でも、 我々が北米の約1~2年先の利用形態を実践していたことがあった。

液晶プロジェクタの利用
ノートパソコンの普及に合わせて、 IETFでも昨年(2000年)から液晶プロジェクタが利用されるようになった。 これは、既に、 数年ほど前からWIDEプロジェクトなどでは一般的になっていたことであった。 WIDEプロジェクトでは、既に、 Meeting Minutesの作成を液晶プロジェクタを用いて参加者間で共有しながら作成している。
無線LANの利用
1999年11月Washington DCで開催されたIETF会合において、 無線LANのPCMCIAカードが、初めて、貸し出された。 セッション中でもインターネットアクセスをする参加者を多数見かけたが、 これも、すでに、我々は数年前から行っていたことであった。 最近のIETFでは、 無線LANによるインターネットコネクティビティーの提供が、事実上、 定常化した。

一般的に、我が国は、インターネット技術や利用法に関して、 北米の2~3年後を追っていると言われているが、 少なくともIETFにおいては、 我が国のエンジニアはむしろ北米人よりも先進的なインターネットの利用を実践しているのかもしれない。

PBXが容量不足

IETFが開催されるホテルでは、 PBXの容量が不足することがしばしばである。 ターミナルルームからではなく、 ダイアルアップによる自組織ネットワークへのアクセスしかできない組織は非常に多いことが原因である。 IETFが開催されるようなホテルでは、 各部屋に電話回線が2回線引かれている場合も少なくなく、 市内電話は1回時間制限なしで1.00米国ドル程度が一般的なので、 チェックインの後、パソコンを接続したままにする参加者もある。 こうなると、ホテルのPBXの容量が不足することは、明白である。

最初に、この現象が起こったのは、 1995年12月テキサス州Dallasで開催された第34回IETFの時である。 この会合のホストはMCI社であった。 MCI社は、IETFの参加者に、 MCIに課金されるIETF期間中のみ有効なCalling Cardの PIN番号を参加者全員に教えた。 その結果、ホテルのPBXはパンクしたのは当然の結果であった。 このようなPBXの容量不足は、インターネットの普及とともに、 IETFが開催されるホテルに限ったことではなくなり、 今では、各部屋にEthnernetケーブルと USBケーブルが提供されているホテルも登場してきている。

IETF会合での質問プロトコル

質問や意見がある参加者は、マイクの前に立つのが、 IETFでのプロトコルである。 挙手ではなく、マイクの前に立ち、 プレゼンテーションを行っている者へプレッシャーをかける。 議論が紛糾するような意見を出すと、マイクの前に長蛇の列が並ぶ。 しかも、そこには、 IETF実力者や影響力の大きな人が並ぶこともしばしばである。

ドレスコード

ネクタイとスーツは、TCP/IPの設計と実装を行った、 Vint Cerf氏の特権であった。 実際、過去の、IETF New Commers用のドキュメントでは、 Vint Cerf氏のみが、 ネクタイを締めてIETFに参加することができると書いていた。 今でも、 TAO of IETF では、月曜日(IETFの初日) にネクタイにスーツで登場すると"浮くよ"と記述されている。 IETFにおけるドレスコードは、ジーンズ、 Tシャツにサンダルが標準である。 BBN社のCraig Partridge氏は、これを、 ITU-Tはネクタイと赤ワインの文化、 IETFはTシャツとビールの文化、と表現していたのが象徴的である。 TシャツがIETFの象徴であるのが理由か、IETFの会場では、 いろいろなユーモア溢れるTシャツが販売されるのも特徴的である。

文責 江崎 浩 (Hiroshi Esaki) 東京大学大学院情報理工学系研究科 教授/WIDE Projectボードメンバー

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