EDドメイン名新設のお知らせ(DOM-WG 最終案)
各位
以下に ED.JP ドメイン名に関する JPNIC DOM-WG の最終案を公開します。 公開が遅くなりまして申し訳ありません。
JPNIC JPドメイン名登録検討部会 は、この文書を JPNIC 運営委員会に諮り、 JPNIC の最終決定とする予定です。
1998年8月20日
JPNIC DOM-WG
EDドメイン名新設のお知らせ(DOM-WG 最終案)
- はじめに
- EDドメイン名の構造
-
EDドメイン名の登録対象組織と登録申請者
3-1. 登録対象組織
3-2. 登録申請者 -
EDドメイン名新設の理由
4-1. 第2レベルドメイン名新設の理由
4-2. 第2レベルドメイン名を ED とした理由
4-3. 初等・中等・就学前教育機関以外の組織の登録を可能とした理由 - EDドメイン名における先願主義の考え方
- EDドメイン名の導入スケジュール
- 他のドメイン名から EDドメイン名への変更時の扱い
- その他の検討項目
- 関連ドキュメント
1. はじめに
JPNIC ドメイン名登録検討部会(JPNIC DOM-WG)では、 「主に児童・生徒などの教育を受ける人が使用するドメイン名」に関して検討を行ってきました。 検討の結果、児童・生徒などの教育・育成を行う組織である高等学校以下の教育機関(初等・中等・就学前教育機関)が登録するドメイン名空間を新設することが適切であるとの結論に達し、下記の通り EDドメイン名を新設いたします。
2. EDドメイン名の構造
EDドメイン名の構造は、次の通りとします。
3. EDドメイン名の登録対象組織と登録申請者
3-1. 登録対象組織
EDドメイン名は、 「主に児童・生徒などの教育を受ける人が利用するドメイン名」と位置づけ、
こととします。
EDドメイン名の登録対象組織は、次の通りとします。
- 保育所
- 幼稚園
- 小学校
- 中学校
- 高等学校
- 盲・聾・養護学校などの特殊教育諸学校
- 専修学校および各種学校のうち、主に18歳未満を対象とするもの
- 上記に準じる組織で、主に 18 歳未満の児童・生徒を対象とするもの
さらに、次の組織も登録対象組織とします。
- 上記の登録対象組織を複数設置している学校法人およびその他の法人
- 上記の登録対象組織を複数付設している大学および大学の学部
- 公立の教育センターまたは公立の教育ネットワークで、複数の上記の登録対象組織をまとめるもの
3-2. 登録申請者
登録申請者は、 当該組織の長(学校長、園長など)または設置者(地方自治体の代表者、 法人の代表者およびそれに準じるものなど)とします。
4. EDドメイン名新設の理由
4-1. 第2レベルドメイン名新設の理由
従来、JPNIC では、 高等学校以下の教育機関に対して地域型ドメイン名による登録を行ってきましたが、
- 低価格のインターネット接続の普及
- 教育機関におけるインターネット利用拡大の気運
- 政府による初等・中等教育機関のインターネット接続の推進計画
などにより、今後数年の間に約 42,000 の学校がインターネット接続を行い、 それに伴ってドメイン名の登録申請の急増が予想されます。
JPNIC では、 これらの学校を今後も引き続き地域型ドメイン名にて登録していく可能性、 あるいは、既存の ACドメイン名へ登録することで対応する可能性等について検討しました。 しかしながら、過去2回実施したアンケート、および、 DOMAIN TALKメーリングリストやオフライン・ミーティング等を通じて集約した意見をもとに検討を重ねた結果、次のような認識を持つに至りました。
- 現状の地域型ドメイン名では、ドメイン名が長くなってしまい、 特に年少者にとっては扱いが難しい可能性がある。
- 今回検討対象となっているコミュニティを全体として識別するためには、 地域型ドメイン名ではなく属性型ドメイン名を新設することが望ましい。
- 利用者が未成年であることをドメイン名で判断するという要求が高く、 大学どの高等教育機関を対象とする ACドメイン名とは区別する必要がある。
- 今回検討対象となっている登録対象組織の大半は、 今後数年間にインターネット接続される予定になっている。 そのような状況の中で、 短期間にドメイン名申請が集中することが予想されること、 同じ名称を持つ学校が複数存在するため希望ドメイン名が多数衝突する可能性があることが予想される。 そこで、円滑なドメイン名登録作業を行なうためにはなんらかの調整が必要とされる。 このような調整作業を行うためには、 独立したドメイン名空間であることが望ましく、 先願主義で運営しているACドメイン名にそれを持ち込むことは、 同一第 2レベルドメインに、ダブルスタンダードが存在することになり、 適切ではない。
-
JPNIC が過去2回実施したアンケート調査によれば、
学校のためのドメイン名新設(特に、EDドメイン名)の要望が多数あった。
参考: 2回のアンケートおよび意見集約の結果
http://www.nic.ad.jp/regist_search/domain.html#announce
これらの認識をふまえて、JPNIC は、 第2レベルドメイン名の新設が適切であると判断しました。
4-2. 第2レベルドメイン名を ED とした理由
第2レベルドメイン名の候補としては、ED(EDucation)、SC(SChool)、EDU、SCH、 SCHOOL などがありましたが、以下の理由で ED としました。
- 他の属性型ドメイン名と調和を取るためには、 第2レベルドメイン名を2文字にするのが適当である。
- 本ドメイン名は、 「主に児童・生徒などの教育を受ける人が使用するドメイン名」との位置づけを持ち、 学校のみを対象にしたドメイン名ではない。
4-3. 初等・中等・就学前教育機関以外の組織の登録を可能とした理由
JPNIC の最初の提案では、 EDドメイン名の第3レベルには初等・中等・就学前教育機関だけを登録できるものとしました。 しかし、関係者の意見や要望を集約する過程で、 次のような状況があるということを認識し、 それに該当する場合は、登録対象組織とする必要があると判断しました。
- 私立学校などでは、学校法人の単位でドメイン名を登録し、 その傘下の学校を識別したいという要求がある。
- 大学などでは、その大学の単位でドメイン名を登録し、 その傘下の付属学校を識別したいという要求がある。
- 地域によっては、公立の教育センターまたは公立の教育ネットワークが、 その地域の公立学校をまとめてネットワークを構成する場合がある。 このような状況で、 公立の教育センターまたは公立の教育ネットワークの単位でドメイン名を登録し、 その傘下の公立学校を識別したいという要求がある。
5. EDドメイン名における先願主義の考え方
従来、JPNIC では、ドメイン名の衝突を回避する方法として、 先願主義を採用してきました。 しかし、学校のインターネット接続は、 今後数年間という短期間に行われることになっており、 EDドメイン名においては、 以下の理由で従来の方法をそのまま適用することは適切ではないと判断しました。
- 短期間にドメイン名申請が集中することが予想されること、 同じ名称を持つ学校が予め複数存在することがわかっているため、 希望ドメイン名が多数衝突する可能性があることが予想できる。 このことは、円滑なドメイン名登録作業に支障を来す恐れがある。
- 予算の執行年度の違いにより、 先に予算が割り当てられた組織が希望ドメイン名の登録において有利になる可能性がある。
このような理由から、JPNIC は、先願主義による登録受付を開始する前に、 次のような考え方で「予約ドメイン名リスト」と「登録不可能ドメイン名リスト」を作成し、 上記課題を解決する努力をしたいと考えています。
- EDドメイン名の登録対象組織の大半を占める部分は、列挙可能であり、かつ、 比較的増減が少ないと予想される。 列挙されたすべての登録対象組織に対してドメイン名の候補を示すことは可能である。
- 各組識について、 他の組織と衝突しない「予約ドメイン名リスト」を一定の手順に従って作成する。 また、衝突が予想されるドメイン名についてはあらかじめ「登録不可能ドメイン名リスト」を作成し、 それに掲載されているドメイン名は今後登録できないドメイン名と位置づける。 「予約ドメイン名リスト」と「登録不可能ドメイン名リスト」の作成手順の詳細については現在検討中である。
- 「予約ドメイン名リスト」に掲載された組織は、 今後その予約ドメイン名をいつでも登録できるものとする。
- JPNIC は、 「予約ドメイン名リスト」と「登録不可能ドメイン名リスト」を公開する。 JPNIC は、 これら2つのリストの公開後一定期間を「予約ドメイン名リストのレビュー期間」とし、 この期間中、「予約ドメイン名リスト」に掲載された組織は、 自らの予約ドメイン名を変更するための申請ができるものとする。
- 「予約ドメイン名リストのレビュー期間」中に受け付けられた変更申請の内、 衝突が発生しなかったものについては「予約ドメイン名リスト」に追加し、 衝突が発生したものについては、 JPNIC の定める調整の方法<http://www.nic.ad.jp/jpnic/domain/saisoku-2.html> を準用して、 当事者間で衝突回避のための調整を行い、 その結果を受けて「予約ドメイン名リスト」に追加する。
- 「予約ドメイン名リスト」の有効期限は2003年3月31日とするが、 状況によって期限の変更を検討するものとする。
- 「予約ドメイン名リスト」に掲載されていない登録対象組織、および、 新設によって新たに登録対象となった組織については、 既存の予約ドメイン名、登録不可能ドメイン名、および、 登録済みドメイン名との衝突が発生しない限り、 「予約ドメイン名リストのレビュー期間」以降であっても随時「予約ドメイン名リスト」へ追加できるものとする。 ただし、「予約ドメイン名リスト」の有効期限を含む諸条件については、既存登録対象組織と同様とする。
6. EDドメイン名の導入スケジュール
EDドメイン名登録に関連するスケジュールは次の通りです。
1998年9月1日 | ドメイン名登録等に関する規則の改定 |
1998年10月末までに | 予約ドメイン名リスト公開 |
1998年11月1日 | 予約ドメイン名リストのレビュー期間開始 |
1998年12月1日 |
EDドメイン名の登録受付開始 (ただし、予約ドメイン名リストにあるドメイン名のみ) |
ACドメイン名または地域型ドメイン名からEDドメイン名への変更受付開始 | |
1999年2月20日 | 予約ドメイン名リストのレビュー期間終了 |
1999年3月1日 | 予約ドメイン名リスト以外のEDドメイン名の登録開始 |
2003年3月31日 |
予約ドメイン名リスト有効期限 (予約ドメイン名リスト有効期限を2003年3月31日とするが状況によって期限の変更を検討する。) |
(注:上図で「予約リスト」は「予約ドメイン名リスト」を表す。)
7. 他のドメイン名から EDドメイン名への変更時の扱い
既に EDドメイン名以外のドメイン名を登録している組織が、 現在のドメイン名から EDドメイン名へ変更する場合には、以下のように扱います。
- 旧ドメイン名から新ドメイン名への変更については、 ドメイン名登録等に関する規則第9条第2項において「当センターの承認がある場合には、 その承認とができる。」となっているが、 この新旧ドメイン名の併用期間を 1年間とする。
- 旧ドメイン名から新ドメイン名への変更の際の変更申請費用は、 ドメイン名登録等に関する規則の別表「登録料・費用明細」に記述されている「注4)登録規則の変更等にともない、 JPNICがドメイン名の変更を依頼する場合には、 無料とする」という項目に準じる扱いとする。
8. その他の検討項目
次の項目について、JPNIC は今後も引き続き検討します。
- 費用優遇措置の可能性
- EDドメイン名に関連する業務委任の可能性
9. 関連ドキュメント
- 「教育ドメイン名アンケート」実施結果 (1998年3月)
- http://www.nic.ad.jp/topics/archive/19980305-01.html
- 「DOMAIN-TALK OFFLINE MEETING」での学校ドメイン名についての議論 (1997年12月19日)
- http://www.nic.ad.jp/jpnic/publication/presentations/DOM19971219/index.html
- 「学校ドメイン名に対するご意見募集」の実施結果 (1998年5月)
- http://www.nic.ad.jp/topics/archive/19980522-01.html
- 「ED.JPドメイン名新設の提案」の発表 (1998年6月15日)
- http://www.nic.ad.jp/topics/archive/19980615-01.html
- 「ED.JPドメイン名新設に関するオフライン・ミーティング」開催 (1998年7月30日)
- http://www.nic.ad.jp/topics/archive/19980806-02.html
- 「ED.JP ドメイン名に関するお知らせ」の発表 (1998年8月5日)
- http://www.nic.ad.jp/topics/archive/19980806-01.html
- 「DOMAIN-TALK メーリングリスト」のこれまでの議論
- http://www.nic.ad.jp/jpnic/domain-talk/
以上