多言語ドメイン名に対するJPNICの取り組み (案)
多言語ドメイン名に対するJPNICの取り組み (案) 2000年2月24日 社団法人 日本ネットワーク インフォメーションセンター ■ 概要 ・インターネットユーザーの広がりにより、ユーザーやサービス提供者から、従来 アルファベットで表記されているドメイン名の日本語表記による登録の要請が高 まってきている。 ・JPNICは、2000年度中にドメイン名の日本語による登録サービスの開始を目標に 検討を開始する。 ・ドメイン名システムはインターネット上の重要な基盤サービスであるため、安定 した信頼性の高い運用が期待される。そのために、サービスにあたっては技術的、 制度的な課題を解決する必要がある。JPNICは関係組織との調整を進めながら、 積極的に解決を図り、関連技術の標準化を推進する。 ■ JPNICのいままでの取り組み JPNICでは、多言語ドメイン名について主に技術的な視点で調査・検討するための タスクフォース「iDN-TF」を1999年5月に設立した。このタスクフォースでは、関 連する活動と技術の調査、分析を行うとともに、JPNICとして多言語ドメイン名を 導入するのに必要な要件の整理を行っている。さらに、多言語ドメイン名をサポー トするDNSシステムの試作、評価も行っている。 このタスクフォースの成果は、Internet Week 1999 (横浜)、IWS2000 (筑波)、 APNG (ソウル) で発表され、JPNICの日本語ドメイン名登録サービスの計画のベー スとなっている。 ■ 導入の条件 ドメイン名システムはインターネット上の重要な基盤サービスであるため、安定し た信頼性の高い運用が期待される。そのためには全体で整合性のとれた一つの名前 空間であることが重要で、多言語化することにより、分断されたり管理が重複した りしないことが必要である。また、使用するプロトコル、データフォーマットは、 インターネットコミュニティで合意がとれている必要がある。 そこで、JPNICは多言語ドメイン名を導入するにあたっては、次の事項が必要条件 であると考えている。 ・技術的、管理的な条件 - インターネット全体で整合性のある ZLD(*) またはこれに代わる多言語ドメイ ン名空間のスキーマが決定されていること (*) ZLD:Zero Level Domain、ドメイン名が多言語ドメインであること を識別する特別なトップレベルドメイン - DNSプロトコル、とくに文字コードシステムが決まっていること - トップレベルドメイン名の多言語化については、gTLD、ccTLD全体での合意と ルールがあること ・実装に関する条件 - 技術的な条件を満たした標準的なDNSサーバ (例:BIND) の実装があること ・運用上の条件 - 非日本語ユーザーへの配慮。非日本語ユーザーのために、日本語ドメイン名に 対応するアルファベットのドメイン名を確保するなどの配慮が必要となる - 商標権に関連した紛争が多発する可能性があり、そのための解決手段が用意さ れている必要がある 本格的な運用に向けて、これらの課題を、JPNICは関係組織との調整を進めながら積 極的に解決を図っていく。 また、これらの問題を解決するためには時間を必要とすることも考えられる。そこ で、JPNICでは、状況を見ながら本サービスに移行できるような形で暫定的試行サー ビスを実施することも検討する。 ■ 日本語ドメイン名の登録 現在、どのように日本語ドメイン名を登録するか検討を行っているが、たとえば 登録されている属性ドメイン登録者に対して,登録ドメイン名ごとに 一つの日本語ドメインの登録申し込みを先着順で受ける という案が検討されている。また、日本語での登録は、商標、商号に関連する紛争 が発生する可能性があるので、2000年度に整備される予定の紛争解決手続きに合わ せて登録を開始する。 また、登録の準備として ・利用する文字列、必要なSLDの追加など、技術細則の見直し ・ドメイン名登録規則の見直し を行う。 ■ 関連する活動 今回の日本語によるドメイン名の導入にあたって、JPNICは、APNG、APTLD、W3C、 IETF、ICANNおよび関連団体・企業、技術者と協力しながら次のような活動を行う。 ・前述の課題の解決 ・現在利用可能な技術の評価 ・関連する技術の開発と実験、評価 ・多言語ドメイン名に関するフォーラムの開催 ・クライアントソフトウェアの多言語ドメイン名のサポートの推進
以上