2004年6月2日
ICANNが次期「.net」レジストリ選定基準(案)に関する
第一次コメント募集を開始
現在ICANNでは、 VeriSignとの間で締結している「.net」 レジストリ契約が2005年6月30日で終了することから、 後継レジストリ指名のための準備プロセスを進めています。
その一環として、分野別ドメイン名支持組織(GNSO)に対し、 後継レジストリの選定基準に関する指針を作成するよう要請を行い、 これを受けて、GNSOは2004年4月に小委員会を設置しました。
今回、この小委員会による検討結果が報告書(案)として発表され、 一般からのコメント募集が開始されました。
ICANNからのアナウンス(2004年5月28日)
First Public Comment Period begins on Draft Criteria for .net
GNSO小委員会による報告書(案)
Dot net subcommittee draft report version 6
コメント募集期間(第一次)
2004年5月28日~2004年6月18日
コメント送付先
<dotnet-criteria@icann.org>へ英語にて送付
今後のスケジュール
- 第一次コメント締切以降:
GNSO小委員会が、第一次コメント募集の結果を反映させた報告書(改訂版)を発表 - 2004年6月25日~2004年7月15日:
報告書(改訂版)に関するコメント募集 - 2004年7月16日:
GNSO小委員会が、コメント募集の結果を反映させた最終報告書をGNSO評議会に提出 - 2004年7月20日:
GNSO評議会による採決の後、最終報告書をICANN理事会に提出 - ICANN理事会が、GNSOその他からの勧告に基づき、後継レジストリの選定基準を採択
選定手続の策定について
現「.net」レジストリ契約では、契約終了の1年前(2004年6月30日)までに、 ICANNが後継レジストリ指名のための手続を決定し採用することが規定されているため、 上記スケジュールと並行して下記のプロセスに沿って手続の策定が行われることになっています。
- 近日中に手続(案)をICANNウェブサイトに掲載し、コメントを募集
- コメント募集の結果を反映させた手続(改訂版)を作成
- 手続(改訂版)をICANN理事会に提出し、採択。その後、手続(最終版)をICANNウェブサイトに掲載(2004年6月30日まで)
※以下は、GNSO小委員会による報告書(案)の中から、後継レジストリの選定基準に関する小委員会の提案を抜粋し、JPNICにて翻訳したものです。(同提案では、選定基準が「絶対基準」と「相対基準」の2つに分類されています。)
絶対基準
(※申請者が満たすべき基準。この基準を満たせない場合は、失格を意味する)
対象に関する絶対基準
- 「.net」は引き続き「スポンサーなし」とすべきである。
- 「.net」は引き続き「チャーターなし」とすべきである。
継続性に関する絶対基準
- 既存の権利の維持
「.net」ドメイン名に投資している組織や個人は多数存在し、新たなドメイン名への移行費用は甚大なものになりかねない。既存の登録者は、本プロセスの結果生じるポリシーの変更によって不利益を被ることがあってはならない。「.net」の既存登録者は、「.net」ドメインを他者へ移転する権利を含め、現行ポリシーの下での既存契約に実質的に合致した形で、自らの登録を維持する権利を与えられるべきである。
ポリシーの順守に関する絶対基準
- コンセンサスポリシー
「.net」ドメイン名の運用において、レジストリ運用者は、ICANNのコンセンサスポリシーのすべてを順守しなければならない。これには、既存ポリシー(UDRP、WHOIS、ドメイン名の削除、レジストラ間のドメイン名移転、など)、および将来ICANNプロセスを通して策定されるポリシーの双方が該当する。 - ポリシー策定
今後のいかなる「.net」レジストリ契約も、「.net」のポリシー策定はオープンでボトムアップ式のプロセスによって行われることを明記し、ICANNの各種プロセスを通してインターネットコミュニティ全体からのインプットが可能となるようにしなければならない。 - レジストラ
すべてのICANN認定レジストラは、「.net」ドメイン名を登録する資格が与えられなければならない。「.net」レジストラとしての運用資格を持つすべてのレジストラは、レジストリ運用者によって公平に扱われなければならない。
安定性、セキュリティ、技術、財政の能力に関する絶対基準
-
「.net」レジストリ運用者は、現「.net」レジストリ契約の以下の項目に含まれる現「.net」レジストリの仕様を満たすか、もしくは超えなければならない。
- 付属書類C 第4項「ネームサーバ機能仕様」
- 付属書類C 第5項「パッチ、アップデート、アップグレードに関するポリシー」
- 付属書類D「パフォーマンス仕様」
- 付属書類E「サービスレベル合意書」
- 付属書類O「Whois仕様---Public Whois」
- 付属書類P「Whoisデータ仕様---Independent Whois Provider」
- 付属書類Q「Whoisデータ仕様---ICANN」
- 付属書類R「データエスクロー仕様」
- さらに、本報告書(案)別紙3には「「.net」TLDのための評価・責任基準」を含め、小委員会に提出された文書への参照先が含まれている。
-
「.net」レジストリ運用のために選定された組織は、
- 「.net」レジストリ機能を効率的かつ信頼できる形で維持する能力を有することを証明できなければならない。
- 世界中のすべての「.net」ユーザーに対する高品質のサービスに取り組む姿勢を示さなければならない。
- ICANN認定レジストラが、様々な時間帯に様々な言語で、登録、支援、および、レジストリのその他サービスを受けられるようにしなければならない。
- もしそれが妥当な場合、申請者は、「.net」を現レジストリ運用者から移行させるための計画を、具体的に次の点に留意しながら文書化すべきである:既存の機能の維持、パフォーマンス仕様、プロトコルインターフェース(すなわち、「registry registrar protocol:RRP」から「extensible registry protocol:EPP」への移行)。
- レジストリ運用者が事業継続への意欲および見込みをかなえる手段を有することを確実にするために、最低限の財政的安定性が必要とされるべきである。
相対基準
(※絶対基準を満たした競合申請者を比較・評価する際の基準。上から重要度の高い順に記載)
1. 競争促進に関する相対基準
- 消費者による選択の最大化。安定性、技術、および財政に関する基礎的基準を満たすことにより、申請者が資格を得た場合、消費者による選択および競争を改善するというICANNの使命に対して前向きな検討がなされるべきである。
- 価格。価格とは、ここではレジストリ価格(現在は$6.00)のことである。申請者が絶対基準を満たすことにより資格を得た場合、ドメイン名の価格をより低額で提示する申請に対して優先権が与えられるべきである。
- 革新および価値。申請が革新もしくは新たなサービスを提示し、それによって価値に関する提案をすることは可能である。価格に基づく評価は、提示される価値に関する提案とバランスが取られなければならない。提案されるいかなる革新もしくは新たなサービスも、影響を受ける利害関係者(主として登録者もしくはレジストラ)によるそれらの価値の評価とともに説明されなければならない。
2. 安定性、セキュリティ、技術、財政の能力に関する相対基準
- 単一の供給業者の破綻による影響を低減するために、ネットワークおよびハードウェアの供給業者については複数供給業者ベースに基づく安定性が考慮されるべきである。
- 「.net」ゾーンファイルへ追加もしくは変更されたデータが名前解決されるまでの平均時間は、既存レジストリ運用者による現行時間を超えるべきではない。強化された、もしくはより迅速な名前解決を提示する申請に対して優先権が与えられるべきである。
3. レジストリの既存の諸サービスに関する相対基準
現在「.net」では、保留中のWait List Service(WLS)、Redemption Grace Period、IDNガイドライン(http://www.icann.org/general/idn-guidelines-20jun03.htm)に準拠した国際化ドメイン名のサポートなどのレジストリサービスを提供している。申請者に対しては、「申請者はレジストリの既存の諸サービスすべてを維持することを希望するか?」という質問をすべきである。
- 答えがイエスの場合は、仕様を提供し、既存サービスを維持するためのレジストリの技術的・法的能力を証明してほしい。
- 答えがノーの場合は、そのようなサービスの撤回に関連する問題について、さらに詳述してほしい。
以上