2012年11月5日
各位
社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター
ITR改定に関するコメントを提出
国際電気通信連合(ITU)では、 2012年12月3日(月)から14日(金)までアラブ首長国連邦のドバイで開催される国際電気通信会議(WCIT)において、 ITUの条約文書の一つである国際電気通信規則(ITR)の改正を検討する予定であり、 それにあたり、改正案を公開するとともに、 11月3日(土)まで広く意見募集を行っておりました。
JPNICはこの意見募集に対して、11月2日(金)付で意見を提出いたしましたので、 以下の通り公表いたします。意見の要点は次の通りです。
- インターネットが劇的に拡大したのは、 その特徴であるオープンな運営方針~標準化、運用ルール策定、アプリケーション開発などの局面で、 当事者自身を含む、関心を持つ誰もが参加できることによるものである。
- ITRの改正が、 これらによる劇的な基盤拡大とサービスにおける自由な革新の歯止めにならないように充分な配慮を期待する。
JPNICでは今後も本件の動向を見守り、適宜情報提供を行ってまいります。
参考文献:
- ITU Webページ - WCIT-12: Public Views and Opinions(提出意見の一覧)
http://www.itu.int/en/wcit-12/Pages/public.aspx - ITU WCIT-12 Webページ
http://www.itu.int/en/wcit-12/Pages/default.aspx - 総務省 ITU世界国際電気通信会議(WCIT-12)Webページ
http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/cyberspace_rule/wcit-12.html - 2012年6月19日 第22回JPNICオープンポリシーミーティング発表資料
「ITRの見直しについて」作成・講演:JPNIC 前村昌紀
http://venus.gr.jp/opf-jp/opm22/jpopm22-08.pdf
提出したコメント
JPNIC recognizes the importance of ITU's role for international tele-communications and supports its purpose, which is stipulated in Preamble of International Telecommunication Regulations, ITR, as "promoting the development of telecommunication services and their most efficient operation while harmonizing the development of facilities for world-wide telecommunications".
In 24 years since the current ITR was ratified in 1988 and until now, the Internet made a dramatic expansion from what was a network for the academic purpose which mainly covered the United States, to the global infra-structure of the Information Society which now connects two billion people in the world.
JPNIC observes that this dramatic and successful expansion has arisen out of the open principles in the operations of the Internet.
The notable characteristic of the Internet, consistent from the early days, is that interested parties in each and various segments are all able to participate and be involved in its development process. It includes areas such as the developments and standardization of fundamental technologies, the technical coordinations and the policy developments of the infrastructure operations, and the developments of Internet services.
Additionally, in the standardization of fundamental technologies, the final selection of the specification is left to operators, who are the users of its technologies. This allows to have a system which incorporates the specification which truly needs to be standardized.
Likewise, having reference materials and information constantly being publicly made available in development processes of standards or operational policies allows new entrants to easily join the process.
Moreover, the network layer specializes only in transporting data from one subscriber to another, and the developments of services using such data transfer function is delegated to various service developers. This is the very reason that innovative services have always emerged on the Internet.
Even if ITR would be revised to enable ITU to fulfill its roles and objectives, JPNIC does expect sufficient and careful considerations to be made, so that any amendment of ITR will not lead to putting the break on the dramatic expansion and the creative innovation of services which the Internet has made it happen, and is still continuing to make it happen, based on its characteristics we have described.
Shigeki Goto
President, Japan Network Information Center (JPNIC)
日本語訳
国際電気通信におけるITUの役割は重要で、ITRの序文に掲げられている、 世界規模の通信設備を協調的に発展させ、 かつ電気通信サービスの開発と効率的な運営を推進するという目的には賛意を示す。
ITRが採択された1988年から現在に至るまでの24年間の間に、 インターネットは米国を中心とした学術目的のネットワークから、 世界中の20億人が利用する、情報社会の基盤へと、劇的な拡大を果たした。
この劇的な拡大は、 インターネットのオープンな運営方針に起因しているとJPNICは認識している。
インターネットの特徴は、その黎明期から一貫して、 基盤技術の開発と標準化、基盤運営の技術調整とルール制定、 インターネット上のサービス開発など、あらゆる局面において、 それぞれの当事者自身が関与できるようになっていることである。
加えて、基盤技術の標準化においては、基盤技術の利用者である運用者に、 最終的な規格の選択が委ねられていることで、 真に必要とされ利用される規格が標準として取り入れられる仕組みを有している。
また、規格や運営ルールの策定においては、 関連資料が常に公開され誰でも入手可能であることが、 新たに策定に参入することを容易としている。
さらに、ネットワークがデータを利用者から利用者へ転送することだけに特化し、 このデータ転送機能を用いたサービスの構築が、 さまざまなサービス開発者に専ら委ねられたことが、 インターネット上で常に創造的なサービスが出現し続ける結果に結びついている。
ITUがその目的や役割を果たすためにITRを改定する場合にも、 その改定が、これまでにインターネットがその特徴によって実現してきた、 劇的な基盤拡大と、サービスにおける自由な革新の歯止めになることは避けるべきであり、 この点に十分な配慮がなされることを期待するものである。
後藤滋樹
社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター 理事長
以上