RIPE 45 Meeting Report
翻訳文
(社)日本ネットワークインフォメーションセンター
最終更新 2003年 7月 4日
この文書は
http://www.ripe.net/ripe/mail-archives/ripe-list/2003/msg00027.html
を翻訳したものです。
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第45回RIPEミーティング報告
関係者各位
去る5月12日から16日にかけて、スペイン、バルセロナの「ホテルフィラパレ ス」にて「第45回RIPEミーティング」が開催されました。RIPE NCC会員、RIPEコミュ ニティ、および政府代表など合計322名が参加されました。APNIC, ARIN, およ びICANNからの代表者にもご出席いただきました。
ハイライト
今回のミーティングのハイライトとして、以下が挙げられます。
- RIPE NCCのサービスに関するプレナリーでの公開議論
- ICANNのプレジデント兼CEOであるPaul TwomeyによるICANNの最新情報
- LIR Working Groupを"RIPE NCC Services Working Group"と"Address Policy Working Group"に分割、改称する件についてのプロポーザル
- "Tools and NetNews Working Groups"の活動終了
- RIPEミーティングのウェブキャスト実験の第二段階
APNICの事務局長であるPaul Wilson氏は、LIRに対してIPv6割り振り配布の再
構築を提起している、「rootから」という"RIPE261"に関するプレゼンテーショ
ンを行いました。RIPE216("IPv6 Address Space Management"[IPv6アドレス空
間管理])は、以下のウェブページにてご覧いただけます。
ftp://ftp.ripe.net/ripe/docs/ripe-261.txt
RIPE NCCのChief ScientistであるDaniel Karrenberg氏は、RIPE NCCが行った
measurementの活動と統計について講演を行いました。その際、RIPE271("RIPE
NCC Hostcount in the 21st Century"[21世紀におけるRIPE NCCのホストカウ
ント])についても言及しました。RIPE271は以下のウェブページにてご覧いただけます。
http://www.ripe.net/ripe/docs/hostcount.html
本ミーティングにて、"ROSIE"(RIPE On-site Information Exchange)も立ち上 げられ、最新のミーティング情報とリソースを参加者に提供しました。第46回 のミーティングでも使用される予定です。
本ミーティングの開催にあたり、ご支援を賜りましたRedIRIS, CESCA, SATEC, FocusPoint, MFN, SURFnet, およびNRNの皆様に感謝申し上げます。
要約
LIR
LIR Working Groupは2つのグループへ分割されることになります。ポリシ策定 機能は、新しい"Address Working Group"へ、RIPE NCCのサービス評価機能は"RIPE NCC Services Working Group"へ移行します。NetnodのCEOであるKurt Erik Lindqvist氏は新しい"RIPE NCC Services Working Group"のチェアとなること を承諾しました。移行期間中、LIR WGメーリングリストは保持されます。
RIPE NCCは、会員とのセキュア通信(X.509 PKI経由)を改善する計画を発表しまし
た。
http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-45/presentations/ripe45-lir-pki/
議論文書は以下のページで公開されています。
http://www.ripe.net/ripe/draft-documents/pki-20030429.html
データベース
UniVie-ACOnet, DB WGのチェアであるWilfred Woeber氏は、"status:" 項目の 変更とそのスクリプトに対するインパクトについて、コミュニティに対してフィー ドバックを依頼しました。
RIPE NCCは、大多数のメールクライアントによって挿入されている通常のインデン トによって更新を受け付ける"dbupdate"(データベース更新)の可能性を調査 します。
RIPE NCCは、ユーザがRIPE NCCのコードにより多くアクセスすることを許可する要請に ついても再調査を行います。
Wilfred Woeber氏は、DBワーキンググループのチャーターを修正する件につい て、DBのメーリングリストでの議論を提案しました。
IPv6
SpaceNet AGのGert Doering氏は、グローバルv6ルーティングの最新情報を提 供しました。挙げられた点は、以下のとおりです。
- グローバルルーティングテーブルへ漏れてくる好ましくないプレフィックスの減少
- ルーティングされる6boneプレフィックスの減少
- 上記に伴うルーティングされるRIRのv6空間の増加
ICANNのJohn Crain氏は、RIRごとのアドレス自動フィルタリングを促進させる ため、現行の/23プレフィックス委譲の手続きを変更する件についての RIR/ICANNでの議論について発表を行いました。
ICANNは、今夏の開始に向け、ルートサーバ内への"AAAA"レコードの実装テス トを行っており、RSSACと協力し、ドキュメントを作成する予定です。実際の 使用は米国商務省による承認待ちとなっています。
6bone pTLAの割り振り期限が2004年1月1日であることが言及されました。 6boneアドレス空間の段階的廃止日は2006年6月6日です。
RIPE NCCに対して、将来のRIPEミーティングのウェブキャストにIPv6を使用可 能にする業務が加わりました。
ルーティング
BGPを安定させるための2つのアプローチが発表され、議論されました。BBT
Technologies, Information SecurityのChief ScientistであるStephen Kent
氏は、RIRによる安全なBGPの実装方法についてプレゼンテーションを行いまし
た。
http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-45/presentations/ripe45-routing-sbgp/
CISCOのDavid Cook氏はsoBGPに関するプレゼンテーションを行いました。
http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-45/presentations/ripe45-routing-sobgp-ripe/
DNR フォーラム
RIPE チェアであるRob Blokzijl氏のプロポーザルの後に、RIPE Working Groupのチェアたちは、future DNS WGとDNRフォーラムセッションを、第46回 RIPEミーティングから始まる"DN*"ワーキンググループに統合する件について 合意しました。
DNS
技術とポリシに関するパネルディスカッションに続き、"lameless"に関するプ レゼンテーションが行われました。特にreverse treeにおけるlamelessチェッ クは、ワーキンググループの検討事項になる可能性があります。議論の場は、 DNSのメーリングリストに移されました。
TTM
RIPE NCCのChief ScientistのDaniel Karrenberg氏は、RIPE NCCによるmeasurement
activities、および統計について再び焦点を当てるというテーマで発表を行い
ました。RIPE 271を参照し、この活動による恩恵、およびコミュニティにとっ
てインターネットの運営全般に関する公平かつ信憑性のあるデータへアクセス
することの重要性に言及しました。また、RIPE NCCのmeasurement activitiesへの
新規アプローチに対して、コミュニティからの支援を要請しました。RIPE 271
は、以下のページでご覧いただけます。
http://www.ripe.net/ripe/docs/hostcount.html
RIPE NCCのインターンであるFlorian Frotzler氏は、IPv6の効果について学位論文
を発表しました。これは、native IPv6ネットワークを構築しようと試みてい
る人々にとっては特別に興味深いものとなりました。
http://www.ripe.net/ttm/Documents/Various/ffrotzler.pdf
TECHSEC
"draft-ietf-dnsop-interim-signed-root-01.txt"についての議論が行われま した。コメントはDNSEXTメーリングリストに掲載される予定です。
DISI("Deployment of Internet Security Infrastructures"[インターネット
セキュリティインフラストラクチャの展開])の最新情報が提供されました。
http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-45/presentations/ripe45-techsec-disi/
スパム対策
ISPは、2003年の終りまでにUBE(Unsolicited Broadcast E-mail)による負荷が 深刻な技術問題となると予測していましたが、実際に直近の3ヶ月間でUBEの量 が非常に増加する事態となりました。
ワーキンググループは、UBEに対抗する防衛策について「最良の実践例に関す る助言」を行うという業務を担当することになりました。
EIX
第46回のミーティングにて、EIXワーキンググループが2部に分割されることに なりました。最初のセッションはISP向けで、一連のプレゼンテーションがIXP から行われ、最近の動向や通常フォーマットでの統計について議論されます。 二番目のセッションでは、IXPに焦点を当て、RIPEコミュニティのIXPに影響を 及ぼす技術、運用、および商業上の問題についてプレゼンテーションが行われ ます。
EOF
本ミーティングでは、月曜日と火曜日にThe European Operators Forumが開催 されました。重点が置かれたのは、インタードメインルーティングとBGPのセ キュリティについてです。現在の状況から将来のRIPEミーティングへ向け、 EOFをどのように発展させていくかについても議論されました。
TUTORIALS
RIPE NCCの職員は、"RIPE NCC IP Request Tutorial"を紹介しました。RIPE NCC地域で
のアドレス空間割り当てと割り振りの手続きについての説明が行われました。
http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-45/tutorials/ip-tutorial/
また、ユーザによるリアルタイムでのBGPルート広告管理/通知システムの考
案を可能にする"myAS"システムが紹介されました。
http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-45/presentations/ripe45-tt-myas/
RIPEミーティングウェブキャスティング
本ミーティングにて、RIPEミーティングウェブキャスティング実験の第二段階
が実施されました。セッションの記録はアーカイブに保管されており、以下の
ページでご覧いただけます。
http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-45/webcast-archive.html
ホストマスターコンサルテーションセンター(HCC)
本ミーティング期間中に、RIPE NCCのホストマスターコンサルテーションセンター がオープンしました。本センターはミーティング参加者にとって有益なもので あり続け、第46回のミーティングでも提供されます。後に行われたコンサルテー ションの時間も成功裡に終了し、再度次回のミーティングでも行われることに なりました。
"MEET & GREET"
今回のミーティングでは、初めてRIPE NCCミーティングに参加する人々に対して "MEET & GREET"デスクが用意されました。"MEET & GREET"は、第44回のRIPEミー ティングにて導入されたもので、週を通して、ニューフェイスの方々を参加者 の皆様やRIPEコミュニティの主要な人々、ソーシャルイベントへ紹介しました。
第45回RIPEミーティングの参考資料ページ
第45回RIPEミーティングでの45セッション、チュートリアル、およびプレゼン
テーションの正式なリストは、以下のページでご覧いただけます。
http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-45/index.html
第46回RIPEミーティング
第46回RIPEミーティングは、2003年9月1~5日の間、オランダのアムステルダ ムにて開催されます。
本ミーティングに関する情報は、今月後半に以下のページにて参照可能となり
ます。
http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-46/
RIPE NCC 総会
RIPE NCCの執行理事会は、2003年の年次総会を、アムステルダムでの第46回RIPEミー ティングとあわせ、9月5日の14時から17時に開催する旨を発表しました。
RIPE NCCの年次総会についての詳細な情報は、以下のページをご覧ください。
http://www.ripe.net/ripencc/about/gm/
新規LIR(Local Internet Registries)の皆様へのご連絡:
2002年に入会したLIRの皆様は、第46回RIPEミーティングへの無料参加チケッ
トを2枚ご利用いただけます。このチケットは登録料のみを対象としており、
RIPEディナー、旅費、ホテル宿泊費には適用されません。新規LIRの方々への
チケットについての追加情報は、以下のページでご覧いただけます。
http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-45/new-lir.html
または、<meeting@ripe.net>宛に電子メールにてご連絡下さい。