"Policies for Autonomous System number management in the Asia Pacific region"
翻訳文
(社)日本ネットワークインフォメーションセンター
最終更新 2003年2月25日
この文書は
http://www.apnic.net/docs/policy/asn-policy.html
を翻訳したものです。
JPNICはこの翻訳を参考のために提供しますが、その品質に責任を負いません。
AP地域におけるAS番号管理のポリシ
2002年11月19日
本文書について
本文書ではAP地域におけるAS番号の申請、割り当て、登録に関するポリシを述べる。
目次
パート1 : 背景、定義、環境
- はじめに
- 本文書が対象とする範囲
- 定義
3.1 自律システム(AS)
3.2 AS番号(ASN)
3.3 aut-num オブジェクト
3.4 マルチホーム
3.5 ルーティングポリシ - ポリシを取り巻く環境
4.1 資源の所有
4.2 ルーティングへの配慮
パート2 :AS番号管理のポリシ
- AS番号割り当ての資格
5.1 資格の審議 - AS番号の申請
6.1 所有ネットワークにおけるAS番号の使用
6.2 顧客へのAS番号の付与 - 登録の必要性
7.1 連絡担当者(contact person)の登録
7.2 ルーティングポリシの登録
7.3 登録内容の更新 - 使わなくなったAS番号の返却
- ガイドラインの追加
パート1 : 背景、定義、環境
1. はじめに
APNICはAP地域におけるRIRであり、当該地域で公共のインターネットアドレス空間とAS番号などを含む関連資源の分配、またこれらの資源の管理ポリシを策定、実装するための調整に対する責任を負う。本文書に書かれているポリシは、AP地域のインターネットコミュニティにより作られたもので、APNICがまとめ役となりコンセンサスに至ったものである。これらはAPNICおよびNIRで実装されるものである。
2. 本文書が対象とする範囲
本文書では、AP地域におけるAS番号の分配、管理、利用に関するポリシを述べる。
3. 定義
以下は本文書で使用される用語とその定義である。
3.1 自律システム(AS)
ASとは、明確に定義された統一のルーティングポリシのもとでネットワーク運用者によって運用されている、ひとつ以上のIPプレフィックスの集まりである。
3.2 AS番号(ASN)
AS番号とは、各ASにつけられた一意の2バイトの数字である。AS番号は、他のASと経路情報をダイナミックに交換させる際の識別子として利用される。BGP等の外部ルーティングプロトコルでは、ネットワーク間の情報交換のためにAS番号を必要とする。
3.3 aut-num オブジェクト
aut-num オブジェクトは、AS番号の詳細をWhois DBに登録するために使用されるオブジェクトである。本文書上で、aut-numオブジェクトはNIRのDBにおけるAS番号の登録オブジェクトのことも指している。
3.4 マルチホーム
マルチホームされたASとは、他のASにひとつ以上接続しているASのことである。
3.5 ルーティングポリシ
ASのルーティングポリシとは、そのASと他のAS間でどのようにネットワークプレフィックスを交換するかについての説明である。
4. ポリシを取り巻く環境
一般的な目標と、「APNIC-086 アジア太平洋地域におけるアドレス空間管理ポリシ」で述べられている環境的な問題への考察に加え、AS番号ポリシを決定する際には、次の問題が特有の要因となっている。
4.1 資源の所有
インターネットコミュニティは、AS番号を公共資源であり、その必要性が実証されたときのみ分配されるべきものして考える。割り当てと登録のどちらとも、資源の所有を付与するものではない。AS番号を利用する組織は、資源の「所有者」ではなく「管理者」であると見なされ、他の組織に対し、その資源を売却、譲渡する権利を有さない。
4.2 ルーティングへの配慮
AS番号の責任ある管理は、グローバルな経路表の増大の制限を促すために必要である。ひとつのAS内で、連続するIPアドレスプレフィックスを集約することにより、グローバルなインターネットへ広告される経路数を最小限に押さえることに役立つ。
パート2:AS番号管理のポリシ
5. AS番号割り当ての資格
AS番号割り当ての資格を満たすには;
- マルチホームをしている、かつ
- 自己のプロバイダのルーティングポリシとは異なる、明確に定義された統一のルーティングポリシを持つ
AS番号を受ける時(あるいは近いうち)には上記の基準を満たすと実証できる場合でも、資格を有する。
5.1 資格の審議
このような基準の下でのAS番号の申請は、「RFC1930 ASの作成、選択、登録に関するガイドライン」に沿って審議される。
6. AS番号の申請
各組織は、AS番号をAPNICまたは適切なNIRのどちらに申請してもよい。申請組織は以下の6.1および6.2にしたがい、所有するネットワークでの使用、または顧客へ提供するためにAS番号を申請できる。
6.1 所有ネットワークにおけるAS番号の使用
所有ネットワークにてAS番号を使用する組織への割り当てには、以下の追加条件が適用される。
- 申請組織は、第7節に記述されている登録を維持する責任を持つ。
- 申請組織は、たとえネットワークのピア先またはサービスプロバイダーの変更を行った場合でも、AS番号の使用を継続する権利を有する。
6.2 顧客へのAS番号の付与
顧客に対してAS番号の付与を行う組織への割り当てには、以下の追加条件が適用される。
- 実際にAS番号を使用する顧客は、第5節の基準を満たしていなければならない。
- 申請組織は、顧客の代理として、第7節に記述されている登録を維持する責任を持つ。
- 顧客が申請組織からの接続サービスを終了する場合は、AS番号を返却しなければならない。申請組織は、顧客とこの効力について契約を結ぶことが望ましい。
- 申請組織に返却されたAS番号は、その後APNICまたは適切なNIRに返却されなければならない。
7. 登録の必要性
あらゆるAS番号はAPNIC、あるいは適切なNIRのWhois データベースへ公式に登録されなければならない。APNIC(あるいはAS番号割り当てを行っているNIR)はaut-numオブジェクトを生成する。
aut-numオブジェクトの全項目は、APNICまたはNIRのWhois データベースに関する文書に従い、正しく登録されなければならない。このような一般的な要件に加え、7.1、7.2ではAS番号の登録に特有の要件を述べる。
7.1 連絡担当者(contact person)の登録
運用責任者、技術連絡担当者はAS番号の割り当て毎に登録されなければならない。
運用責任者(admin-c)の登録では、そのAS番号の責任者を登録すべきであり、一般的には、そのASのサイトに実際にいる人であるべきである。
技術連絡担当者(tech-c)は、そのASのサイトに実際にいる必要はないが、そのASの日々の運用に責任をもつ人でなければならない。
7.2 ルーティングポリシの登録
APNICは、ASのルーティングポリシがAS番号割り当て毎に登録されることを推奨する。
7.3 登録内容の更新
AS番号を管理する組織は、登録情報にいずれかの変更が生じた場合、適切なデータベースにおいてaut-numオブジェクトの更新を行わなければならない。
8. 使わなくなったAS番号の返却
本来AS番号を受けた組織によってAS番号が使用されていない場合、その AS番号は返却されるべきである。
9. ガイドラインの追加
5.1 で述べられた資格のガイドラインに加え、APNICはAS番号に関するその他のガイドラインを出す場合がある。それに含まれるものは、以下のとおりである。
- 審議手続きについての詳細な説明
- 現在、一般的に最も推奨されている運用方法 (best current practice) の要約
- AS番号申請の際に有益と思われるその他の参考情報
公開されたガイドラインはいずれもAPNICコミュニティ内で展開され、またこのドキュメントで述べられている目標やポリシとは首尾一貫したものとなるであろう。